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【テキストカバレージ】裏湘南CS day2 決勝:酢酸カーミン vs Grace

ライター:ヨーカン
撮影者:ヨーカン

熱戦を繰り広げた超CSⅣ宮城。その"裏"で開催されたCSがある。裏湘南CS。横浜で170人規模で開催されたCSの名だ。
オリジナルフォーマットでの2日連続開催。
コロナ禍でめっきり減ってしまった、イベントホールでの大規模CSだ。

主宰のNASATOはコロナ禍でも神奈川県でCS運営を続けてきた。この日参加しているプレイヤーもほとんど把握しているという。
プレイヤーから大きな会場でCSができて嬉しいという声を度々聞くことができた。我々ジャッジもそうだ。
イベントホールでのCSはまた格別で、違う高揚感がある。
NASATOの努力の積み重ねによって開催された、この裏湘南CSに携われたことを誇りに思う。

その最高に熱い裏湘南CSの、day2の決勝をここではお届けする。


Game 1

先攻:酢酸カーミン

墓地には《The邪悪 寄成ギョウ》が捨てられ、後攻のGraceの使用デッキは墓地退化と判明する。
対する、酢酸カーミンが唱えたのは《獅子王の遺跡》。デッキは5cコントロールだ。

5cコントロールは人によって構築の差が大きいとされる。全ての文明を入れられる都合上、プレイヤーそれぞれの好きなカードを違和感なく構築に組み込みやすい。
そんな中、横浜や川崎で母数が多いとされる5cコントロールがある。
それがこの日、酢酸カーミンが使用している《禁時混成王 ドキンダンテXXII》をメインに据えた5cコントロールだ。
この《禁時混成王 ドキンダンテXXII》入りの構築は酢酸カーミンらのグループが構築をシェアして使っているという。
「さっき40枚同型を下してきたところなので、彼のためにも…」
この日惜しくも3位となった、ほしまちを思いやり酢酸カーミンはそう言った。
そのほしまちは観戦エリアから手を合わせ願うように、酢酸カーミンの勝利を待っている。

この戦いは、決勝。
2日間に渡って開催された裏湘南CSで、最後のマッチアップなのだ。

Graceは墓地の《The邪悪 寄成ギョウ》を進化元に《死神術士デスマーチ》を召喚し、すぐさま《龍脈術 落城の計》を唱える。
《死神術士デスマーチ》が退化し、バトルゾーンに出現する《The邪悪 寄成ギョウ》。
《The邪悪 寄成ギョウ》は非常に強力なカードだが、酢酸カーミンの使用する5cコントロールに対しては、勝利に直結するような制圧力までは持ち合わせていない。

酢酸カーミンはひとしきり悩んだ後、《S・S・S》を唱え、《The邪悪 寄成ギョウ》を破壊し、その場をしのぐことを選択する。
しかし、Graceは先ほど手札に戻した《死神術士デスマーチ》を再度召喚し、続けて《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》を召喚。
またもバトルゾーンに出現する《The邪悪 寄成ギョウ》。
酢酸カーミンは《禁時混成王 ドキンダンテXXII》の能力を《The邪悪 寄成ギョウ》に奪われながらも、《禁時混成王 ドキンダンテXXII》を召喚。
それぞれの強力な制圧力を持つクリーチャーが直接にらみ合うバトルゾーンとなった。

バトルゾーンは互角、しかしGraceは続けざまに《The邪悪 寄成ギョウ》をバトルゾーンに出すために手札を消耗していて、ビッグアクションが起こせない。
次の一手を誘い込むべく、Graceは《Disジルコン》を召喚する。


――――混成ディスペクターの王、《禁時混成王 ドキンダンテXXII》に取り込まれたミラダンテの能力が発動する!
《禁時混成王 ドキンダンテXXII》が唱えるのは、マナ武装を達成した《謎帥の艦隊》。
バトルゾーンは一瞬にして《禁時混成王 ドキンダンテXXII》の支配下となり、その強大な力で、このゲームをも支配する。

その後もGraceがようやく墓地に捨てることができた《竜魔神王バルカディア・NEX》を進化元に、《死神術士デスマーチ》を召喚し、少ないチャンスに賭けようとするが、またも《禁時混成王 ドキンダンテXXII》の《謎帥の艦隊》が立ち塞がり、追加で召喚された《聖魔連結王 ドルファディロム》の攻撃によって酢酸カーミンが1ゲーム目を勝利した。

Grace「以前、《禁時混成王 ドキンダンテXXII》入りの5cと対戦したことがあるんですけど、《禁時混成王 ドキンダンテXXII》が立って詰め切れなくて負けて、その時から結構目の敵にしてるデッキです。」
酢酸カーミン「それはそれで光栄なことです。」
Grace「《禁時混成王 ドキンダンテXXII》強いんだよなー。書いてあることが……」
またも、Graceの前に立ちはだかる《禁時混成王 ドキンダンテXXII》。次のゲームこそ、その壁を打ち破ることはできるのか。

酢酸カーミン

Game 2

先攻:酢酸カーミン

Graceは《Disジルコン》を召喚し、1戦目では活躍することのなかった《竜魔神王バルカディア・NEX》を墓地に捨てる。
Graceの使う墓地退化は王来篇以降、《竜魔神王バルカディア・NEX》を切り札とし、大会で度々結果を残してきたデッキだ。

殿堂発表で「退化といえばこのカード。退化で環境を席巻したのはこのカード!」とまで言われた退化最強のカード、《竜魔神王バルカディア・NEX》。
その切り札《竜魔神王バルカディア・NEX》が、墓地退化を最強デッキの一角へと押し上げた実力が認められ、8月15日に名誉ある殿堂入りを果たす。
そして、この日は8月14日。
Graceの使う墓地退化が今のままの構築で戦えるのはこの日まで。その最後の日で、Graceは決勝まで登りつめてきた。
このマッチを制することができれば、墓地退化で有終の美を飾ることができる。

しかし、無情にも酢酸カーミンは《お清めシャラップ》を唱え、墓地の《竜魔神王バルカディア・NEX》を山札に戻す。
なかなかバトルゾーンに出させてもらえない、Graceの《竜魔神王バルカディア・NEX》。
《天災 デドダム》を召喚するも墓地へ捨てられたのは、《Disジルコン》だ。
またも、《竜魔神王バルカディア・NEX》が出現することなく終わってしまうのか。

しかし、それは杞憂となった。そう、Graceはこの日、決勝まで幾度となく《竜魔神王バルカディア・NEX》で勝負を決めてきたのだ!
《エマージェンシー・タイフーン》で、捨てられたのは《竜魔神王バルカディア・NEX》。《死神術士デスマーチ》召喚、《龍脈術 落城の計》。
バトルゾーンに残ったのは《竜魔神王バルカディア・NEX》。退化最強の《竜魔神王バルカディア・NEX》だ。
Graceの《竜魔神王バルカディア・NEX》はお供の《禁断竜王 Vol-Val-8》を連れ、すぐさま、酢酸カーミンを襲う!
酢酸カーミンは《霊宝 ヒャクメ-4》をトリガーし、《怒流牙 サイゾウミスト》を抱えるも、《Disジルコン》と《天災 デドダム》まで並んだクリーチャーの攻撃に耐えることができなかった。

Grace「アナハンで出ようかなってずっと思ってたんですけど、アナハンでボロ負けしてて、結局これが1番最強でした。」
信じた墓地退化でここまで戦ってきた。泣いても笑っても、次の一戦が最後だ。

Grace

Game 3

先攻:酢酸カーミン

両者《天災 デドダム》を召喚し、好調な滑り出しを見せる。そして、Graceの墓地には《竜魔神王バルカディア・NEX》が落とされた。
ここでは譲れない酢酸カーミン。《お清めシャラップ》を唱え、《竜魔神王バルカディア・NEX》への退化をしっかり阻止する。

Graceは《天災 デドダム》を召喚し、手札にダンディナスオ、《死神術士デスマーチ》、《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》を抱え、次のターン必殺の一撃を狙う。

酢酸カーミンはその手札を襲った。《ロスト・Re:ソウル》!――――古から伝わる、魂を奪う一撃だ。
しかし、Graceが使うのは墓地退化。魂は墓地にあると言っても過言ではない。すぐさま《Disジルコン》を召喚し、手札を増やしていく。
《エマージェンシー・タイフーン》、《Disジルコン》、《天災 デドダム》で手札を減らさずクリーチャーを並べるGrace。
それに対抗するよう、酢酸カーミンも、《天災 デドダム》、《ドンドン火噴くナウ》、《ドンドン水撒くナウ》で手札を減らさず、クリーチャーを除去していく。

そうして静かな4ターンが経過した頃、Graceの墓地の大型クリーチャーは山札に返されたものの、バトルゾーンのクリーチャーが5体、手札が3枚となっていた。
対する酢酸カーミンは、《禁時混成王 ドキンダンテXXII》が引けず、時間の猶予がないことを悟る。

《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー》を召喚、《SSS級天災 デッドダムド》で侵略し、Graceのクリーチャーを2体破壊!
《天災 デドダム》2体にも《SSS級天災 デッドダムド》で侵略し、Graceのクリーチャーを2体破壊しながらシールドを4枚ブレイクした。

Graceの手札は8枚、マナは9枚。それだけあれば出てこないはずがない。《竜魔神王バルカディア・NEX》!
唯一残っていた《天災 デドダム》と、召喚された《死神術士デスマーチ》が睨む中、《竜魔神王バルカディア・NEX》の攻撃が酢酸カーミンが襲う!

しかし、《竜魔神王バルカディア・NEX》とともに走り抜けているのに、Graceは不安そうな表情だった。

墓地とマナに見えている《禁断竜王 Vol-Val-8》。
長期戦になり、山札に残る大型クリーチャーはもういない。
《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》を出し、《竜魔神王バルカディア・NEX》の攻撃に、全てを託すしかない!

「S・トリガー。《霊宝 ヒャクメ-4》2枚!」

酢酸カーミンの力強い宣言は、このゲームの、このマッチの、このCSの、勝者を決定づけるものだった。

勝者:酢酸カーミン


両者一進一退の攻防は、酢酸カーミンの的確な妨害から攻めに転じたプレイングに、デッキが応えた形となった。

Grace「これが初めての決勝で良かったです。いい試合できました。」
酢酸カーミン「決勝の相手がGraceさんで良かったです。ありがとうございました。」

2人とも、戦いを終えた後の、どこかすっきりしたような顔がそこにはあった。

デッキリスト

酢酸カーミン:5cコントロール

Grace:墓地退化

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