夏へのアプローチ

夜勤明け、駅前でチューハイを飲みながら真っ直ぐ伸びる県道をじっと眺めていると

「この道路は夏へ通じているのではないか」と思います。

坂を走る自動車が陽炎でぼやけるからです。

今は6月。

2月、12月に続いて、6月は3番目に好きです。

夏は大嫌いですが6月は好きです。

雨が好きだからです。

別に新宿御苑の四阿に待ち人が居るわけでもないですが

雨の音が好きです。

傘に当たる雨粒の音が好きです。

雨の当たらない場所で聞く雨の音が好きです。

家の中で聞く豪雨の音が好きです。

雨が降ると町から人が居なくなるのが好きです。

傘をさしていても、服や足が濡れてしまうのが好きです。

夏が訪れる少し前の、この感覚がたまりません。

そのうち雨が降ったら、誰も居ない大きな自然公園を1人で歩き回ってみようと思います。

黒くて大きな、こうもり傘をさしながら。

無人駅やバス停の待合室で、ただ1人乗り物を待とうと思います。

冷え切ったアスファルトに降り注ぐ、小雨の音を聞きながら。

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