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リズと青い鳥とかいう神映画。山田尚子とかいう天才。

おはようございます。この投稿が初投稿になります。ツイッター繋がってる方ならなんとなくわかると思うのですが、僕の普段のツイートは文章がやたら長いし多いのと、最近のモットーは「勢い」と「初期衝動」なので、noteとやらに手を出してみることにしました。

さっそく本題に移りますが!このnoteには結論も主張もなく、読破したところで利益や知識を得られるわけでもないただの自己満であることをご了承ください!

リズと青い鳥 と 監督の概要

一応、これからダラダラと述べていくリズと青い鳥というアニメーション映画についての概要ですが

  • 2018年4月に京アニより公開

  • 監督は山田尚子(なおこ)という女性監督(84年生まれ当時33歳←神?)

まずはみんな知らないと思うので、山田尚子という天才について紹介していきますね。

アニメ監督といえばジブリの宮崎駿、
「君の名は。」でめっちゃ名を馳せた新海誠、
「サマーウォーズ」「時をかける少女」の細田守
などが有名どころですが、彼らとは異なるベクトルで山田尚子は最強アニメ監督であると考えています。具体的には、架空の人間をリアルに描写する能力 に最も長けているなーと思います。

山田尚子監督の来歴についてもみてましょう。

  • 2004年 20歳 専門学校卒業後 京アニに入社。「AIR」「CLANNAD」などのアニメに原画として参加 (すごすぎる)

  • 2009年 4月より全41話放送されたアニメシリーズ「けいおん!」の監督に25歳ながら抜擢され、爆絶ヒット

  • 2011年 27歳にして劇場版「けいおん!」自身初の長編アニメ映画監督

  • 2013年「たまこまーけっと」にて初のオリジナル作品の監督

  • 2014年 長編アニメ映画「たまこラブストーリー」監督

  • 2016年 長編アニメ映画「聲の形」にて監督を務め、こちらも超絶ヒット

これらを踏まえた上で2018年、氏が監督を務めた「リズと青い鳥」ついて述べていきますね。
やっと本題かも。
ちなみに上にあげた作品は全部見てください。

率直に、この映画のなにがどうすごいか
なんですけど、それはもちろん「架空の人物がそこにいること」なんですよ。単純に作画力とかはもちろんなんですけど、レイアウト、効果音、音楽、声優の演技が主に。

山田尚子監督の演出をまとめている動画があるので、興味ある人はまずこれを見てほしいなー

この動画ではBGMがついているので効果音とかは無理なんですけど、主に「レイアウト」一般的に言えば「画面の構図力」がよくわかると思います。
動画にも度々登場しますが、彼女を代表する演出といえばやはり「表情は映さない手や足での演技」です。

劇場版けいおん!のラストシーン
リズと青い鳥 希美と夏紀の会話シーン

まあ山田尚子監督によるこの演出はあまりに有名で、僕みたいな素人が紹介するなんておこがましいレベルなんですけどね!
まあこんな演出をする監督なんだよーと知っていただいた上で、彼女が全編1人で絵コンテ(画面の設計図)を描いたリズと青い鳥についての僕の感想をご覧下さい。
↓↓↓

こっからがまじで本題

この映画、第三者として客観的に見進めていった場合と、2人に感情移入しながら見た場合とで、得られる情報量の差が10倍くらいあるなーと毎回おもいます。
僕は幸いどちらにも感情移入できる経験を持っていたのでラッキーな人間かもしれません。感情移入できないよって人は、とりあえず下に大事な情報まとめたからそれ踏まえてもう1回映画みて。
(視聴中のスマホ使用禁止を強く推奨してます)

本作の主人公
鎧塚みぞれ 担当楽器 オーボエ AB型

位置づけ的にはスピンオフである 本作でのデザイン
本編 響け!ユーフォニアム での鎧塚みぞれ
  • 中学のとき希美に誘われ吹奏楽、オーボエを始める

  • 人と関わるのが苦手なので、声をかけてくれた希美がマジで大好きでいつも1番

  • 天才なので先生に音大受験を勧められる

主人公その2
傘木希美(のぞみ) 担当楽器 フルート A型

リズ
本編
  • 吹奏楽とフルートが大好き、中学は強豪校である南中学校吹奏楽部の部長を務めていた

  • 中学でも高校でも友達たくさん

  • みぞれのことは好きだが、彼女が天才である故に劣等感を抱いている

本編と絵のタッチが違っててどっちもかわいいですよね。「リズ」では西屋太志という方がキャラデ及び総作画監督を務めたことによるものです。作画について語ったらとっても長くなるので、今回は山田監督の演出に少し触れながら、あらすじを整理しつつ2人の心情についてまとめていきます。

みぞれと希美のすれ違い

映画序盤、朝の音楽室にてふたりで演奏を合わせるシーンから、2人のすれ違いは顕著に見受けられます。

みぞれ「(希美と演奏できて)嬉しい。」
希美「わたしも嬉しい。この楽曲を演奏できて。」
(会話はニュアンスだけ汲み取ってます)

音楽室に他の部員が入って挨拶してきても、みぞれは希美を見つめたまま動かなかったり
みぞれは希美以外に全く興味を示していないのに、希美が好きと言ったリズの本をすぐに図書室へ借りに行くのもみぞれすぎて好き。

「すれ違い」ときて絶対に記述しなきゃいけないのは生物準備室でのシーン。みぞれと向かいの校舎にいる希美との言葉を用いないやりとり。みぞれが目を閉じた瞬間に希美は他の部員に声を掛けられしゃがみこみ、みぞれからは見えなくなってしまう。

↑該当シーンの切り抜き動画 (ダブル無断転載)
ちなみにこの場面で用いられる音楽は 「reflexion,allegretto,you」という曲。このシリーズはサントラも最高なので是非。楽器の反射光を用いて人物のやりとりを描く演出、圧巻です。

すれ違い と言っても、基本はみぞれからの重すぎる愛を希美が無意識に回避し続けるといった構図にはなってますね。それがつらいんですけど。

新山先生がみぞれに才能を見出してしまう

生物準備室でフグにエサをやっているみぞれに新山先生が声を掛け音大を勧めるシーンから、物語は動きます。

フグ、かわいいらしいです。


みぞれが手にしている音大のパンフレットを受けとり、”新山先生に勧められた”という言葉を聞いた希美の表情が見えない描写、みぞれと同等になりたいが為に、自分もここの音大受けようかなと強がってしまう希美。
不穏な空気を段々と漂わせてくる演出がたまんないです。

みぞれとの”才能の差”を理解し始めてしまう希美

”みぞれが音大の受験を勧められた”という事実を受け、希美が新山先生に挨拶をしに行く場面。自分も音大受験を考えている話をするも、新山先生からは「頑張ってね」以上の言葉は引き出せない。会話の”間”からも、希美の期待が丸わかりで、個人的にかなりキツいシーンです。
希美はこの件以降、みぞれとの差を受け入れたくないがためにみぞれとの接触を避けてます。ここでも「大好きのハグ」はすれ違いの象徴として扱われてましたね。

楽曲の真意を理解したみぞれが覚醒してしまう場面 「愛ゆえの決断」

作中に登場する童話と楽曲「リズと青い鳥」は、ひとりぼっちの少女「リズ」のもとに「青い鳥」がやってきて、楽しい生活が始まる といった話です。孤独だったみぞれ、声をかけた希美はそれぞれ みぞれ=リズ、希美=青い鳥 と認識して物語を解釈していました。

しかし童話「リズと青い鳥」の終盤では、羽ばたける翼と大空を持つ青い鳥に対し自分は鳥籠で あると比喩したリズは、ある日突然 青い鳥に別れを告げます。自分=リズと認識していたみぞれは、好きな人を自分から突き放すこの行動を理解することができず、演奏に気持ちが入り切らない状態。

そんな状況のみぞれにまた声を掛けたのが新山先生。「もし鎧塚さんが青い鳥だったら?」
言葉を受けたみぞれは考えます。リズのことが大好きだからこそ、リズの「逃がす」という選択を否定できず羽ばたくことを決意した青い鳥。青い鳥は愛ゆえに決断したのだと理解する鎧塚みぞれ。
青い鳥=みぞれ そして リズ=希美 であると、物語の真意を理解した鎧塚みぞれは合奏で覚醒します。

僕自身、音楽の経験も知識は皆無なため技術的な事には触れられないので客観的な事実をもとにまとめていきます。

リズと青い鳥 第三楽章「愛ゆえの決断」
覚醒したみぞれのソロ演奏が異次元すぎるあまり同様する部員一同、ピッチがズレる金管、唯一食らいつく緑ちゃんのコントラバス。
”みぞれには才能があって自分には才能が無い” と理解したくなかった現実が叩きつけられ、希美は泣き初めてしまうも演奏は止まらない。これがまさに非情な世の中を現しているようでつらいですが名シーンです。

演奏を中断してしまう希美

合奏後の希美とみぞれ

本作1番のシーンですね。心に傷を負い、ひとり生物準備室へ逃げ込んだ希美をみぞれが追いかけます。自分の元から飛び立ってしまったみぞれを引き止める手段はもう無く、希美は無理やり受け入れようとします。希美からみぞれへの依存も、実はかなり強いのがわかるシーンです。


みぞれ「希美の笑い声が好き、希美の話し方が好き、希美の足音が好き、希美の髪が好き、希美の全部…」

希美「みぞれのオーボエが好き」

希美は、みぞれにすらフルートについて言及されなかったのはかなり堪えたと思いますが、「みぞれのオーボエが好き」というセリフはリズ(希美)が鳥籠の扉を開けたことの現れであると言えるでしょうか。また「よく覚えていない」と語った中学時代を、みぞれより鮮明に記憶していた希美。みぞれに抱いている劣等感から自分とも素直に向き合えなかった希美でしたが、心に傷を負いながらも受け止めたことで希美はみぞれに対する依存を脱却することができます。

ふにゃーって笑うみぞれかわいい

そうして希美は普通大学へ向けて勉強を始めるわけですが。2人の帰りの会話でも、話が少し噛み合っていないのが伺えましたね。アイスのくだりとか。でもそれを良しとしているこの2人の関係性は本当に本当に素敵です🥲

あとがき

演出は全てのシーンが素晴らしいので、ほとんどあらすじをまとめただけでしたが、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。自分でもこの作品に対する整理ができたのでとっても良かったです。

本当に!この作品をてきとーに見流してしまうのは映像としても物語としてももったいないので、俺のこのnoteとか踏まえた上でまた視聴して頂けると作品に対する解像度あがってもっと楽しめるかなーと思います😏
(スマホ等の使用は厳禁で!)


本作の監督である山田尚子氏は、今年2024年8月にまたも監督を務めた新作長編アニメ映画を公開します。現在は京アニから巣立った山田監督ですが、「リズ」や「聲の形」の主要スタッフらと共に再び手がけるこちらの作品も是非。



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