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「ヒッチハイクのその先に」寺尾一成 |ひよこになる日


日々出会うたまご達の世界観に迫りながら、共に作品を作っていく企画「ひよこになる日」。ひよこになる日を夢見て、殻にコツンとヒビをいれていきたいな。そんな思いで連載しています。

初回の今回は、南條の大学時代の盟友である寺尾一成さんにインタビューしました。彼はコーヒーに魅せられてコーヒー留学(?)をした人です。そしてヨコサワ キャンパスブレンドを一緒に作ってくれた人です。


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寺尾一成 ( Issei Terao )/ 1996年千葉県生まれ。神田外語大学外国語学部イベロアメリカ言語学科スペイン語専攻4年。大学を休学し、コーヒーを追求するためメキシコ、エルサルバドル、コスタリカへ留学。帰国後は留学を薦めてくれた千葉県みどり台にあるEureka Coffee Roastersにてアルバイト中。

コーヒー沼にハマった学生時代。

南條:まずは、自己紹介をお願いします。
一成:寺尾一成と申します。あいちゃんとは同級生で、現在は神田外語大学外国語学部イベロアメリカ言語学科スペイン語専攻の4年生です。( 2020年6月時点 )大学ではラグビー部に所属していて日々練習と筋トレをしています。空いてる日はカフェでアルバイトをする6年目の大学生活を送っています。

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南條:大学の中でもスペイン語専攻って割と珍しいよね?
一成:元々は英語専攻を志望してたんだけど、高校の担任の先生が神田外語大学のスペイン語専攻の卒業生で、スペイン語専攻を勧められたことがきっかけで、オープンキャンキャンパスに行きました。その時に貰った冊子に載っていたスペインの建物に興味を持って、スペイン語を学んでスペイン旅行をしたいと考えスペイン語専攻をしました。(笑)ちなみにラグビー部のポジションは、センターとフランカーをやっています。

南條:今回の企画のテーマであるコーヒーとの出会いは?
一成:大学1年生の時に某有名チェーンカフェでアルバイトを始めまして、バイトを始めたきっかけはカフェで働いてみたいという単純な理由でしたね。そこで働いている中で色々なコーヒーに出会い、その味にそれぞれの特徴があることに気がついて、興味を持ちました。

南條:その後、大学を休学してコーヒー留学(?)されたそうですが、休学に至るまでのきっかけを教えてください。
一成:ある日見た「おいしいコーヒーの真実」というドキュメンタリー映画でエチオピアのコーヒー生産者がすごく貧困って取り上げられてたんですよね。この映画がきっかけでコーヒー農家の生活状況やコーヒー栽培に興味を持ち、現地に行き自分の目で確かめたいと思いました。そこで、千葉県・西千葉でスペシャリティコーヒーを提供しているEureka Coffee Roastersのオーナーである宮島さんに相談したところ、メキシコに詳しい方を紹介してもらえました。そして、休学して留学しよう!ということになりました。

おいしいコーヒーの真実

南條: 留学までの展開がはやすぎない? (笑)
一成:いや、実際留学に行きたいと考えてから実際に行くまでは半年以上かかってるよ。
南條:(いやめちゃめちゃ早い!!!)

南條:留学して何を「確かめたい!」と思った?
一成:映画で見たような現実が本当にあるのか自分の目で見たいと思った。コーヒー農家が本当に貧しいのか、なぜ貧しいのか、貧困を解決する方法はあるのかを確かめたかった。実際、エルサルバドルで訪れた農園は品評会で優勝したこともある優良農園で、農園主は高級外車を乗っていて、農園で成功されている方は自分たちよりもお金持ちだと思ったよ。(笑)

南條:休学に関して親の反対はなかったの?
一成:最初はめちゃくちゃ反対されたよ。親には英語圏に留学し、英語を習得した方が将来のためにいいんじゃないかといわれました。それと親がメキシコ、エルサルバドル、コスタリカをどんな場所かわからないので心配していました。(笑)

南條:ですよね!!!ここで!メキシコ、エルサルバドル、コスタリカ紹介!名前は聞いたことあるけど、どんな国だっけ?私もよくわっかていなかったのでこれを機に調べてみました!(知っている人は飛ばしてください)

メキシコ共和国


メキシコシティを首都とする人口約1億2800万人のメキシコは北にアメリカ、南東にグアテマラ、ペリーズに囲まれていて、周囲は太平洋、カリブ海に囲まれています。国土面積は日本の約5倍を誇っています。みんなだ〜いすきな、メキシコ料理ですが実はユネスコ無形文化遺産に指定されています。ブリトー、タコス、トルティーヤ、チアシード!なんとユネスコが世界で初めて食文化を世界遺産にしたのがこのメキシコ料理だそうです!ちなみに現在は、5つの食文化が無形文化遺産に登録されています。我らがニッポンが誇る「和食」「フランス料理」「地中海料理」「トルコ料理」の5つだそうですよ。

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そして、メキシコ観光で有名なのが、メキシコ中部に位置するコロニアル都市、グアナファトというエリア。なんと街全体が世界遺産!どこから写真を撮ってもインスタ映えすると有名なので女子旅に人気な場所だそうです! 17〜18世紀のスペインの植民地だった時代にコロニアル建築にて作られた都市だそうです。

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エルサルバドル共和国


(わたし、ずっとブラジルのどこかの都市だと思ってましt.... )
サンサルバドルを首都とする人口約650万人のエルサルバドルはグアテマラ、ホンジュラスと国境を接し、国土面積は四国ほどの広さしかありません。ということはほぼ、岩手県。なので人口密度が米州で一番高い。そして無念にも「世界で一番危ない国 」とも言われるこの国は殺人率がなんと世界一で、10万人当たり60人との統計が出ています。ちなみに日本は168位で60人当たり0.24人とのことです。そんな小さな国ですが、実は火山と湖がいくつもあり、自然に恵まれていている国なんです。なんと過去には、英国有名旅行紙Lonely Planet のおすすめの国ランキング(2010)の1位に選ばれたという自然豊かな国です。

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そして、実はあの「星の王子さま」の作者サン・テグジュペリの妻であるコンスエロ・デグジュペリ氏の母国なんですって!お話に登場する「よその星からやってきた種から咲いた1輪のバラ」とは奥さんのことらしいですよ。なんてロマンチックなんだ。そして、その風景も実は、エルサルバドルの自然をモチーフにしたと言われています。その中でも星の王子様が住む小惑星には3つの火山があるのですが、その火山のモデルとなったのが、なんと、イザルコ火山なんだそうです!こちら!

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出典:Global Volcanism Program - Smithsonian Institution

本当にこのイザルコ火山をモデルにしたのかについては、デグジュペリ氏の亡き今は闇の中ですが、イザルコ火山がとても美しいのでどっちでもいいですよね。(笑)


コスタリカ共和国


サン・ホセを首都とする人口約580万人の国コスタリカは面積が約510,00 km と 岩手と九州を合わせたくらいの大きさで、西は太平洋、東はカリブ海に面しています。またあの「ジュラシック・パーク」の舞台として取り上げたことで有名で、「生き物の楽園」と呼ばれるくらい自然環境に恵まれています。なんと、地球上の全動植物種の約4%が生息し、国土の1 / 4が保護国指定されているなど自然豊かで肥沃な自然環境を有しています。

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改めて、世界は広いですね。私も南米は行ったことがないのでコロナが収束したら早く旅に出たいと思います。この先は南米に一成がいるイメージをしながら読み進めていただけると嬉しいです。それでは、インタビューに戻ります。

休学して留学。

南條:休学の1年間はずっと焙煎の勉強をしていたの?
一成:メキシコ経験者の方からのアドバイスもあって、最初の半年はスペイン語とメキシコの生活様式や文化に慣れるため、比較的治安が良いメキシコ中西部・アグアスカリエンテスに住んでいました。紹介してもらった日系の幼稚園MLS (My Little Sunshine) でインターンシップをしながら、メキシコシティにあるパンアメリカン大学でスペイン語を勉強しました。半年が経ち、スペイン語も上達したので、コスタリカに行き観光者向けのコーヒー農園をいくつか回り、紹介してもらったコーヒー農園で仕事を手伝い、生活を共にしました。次にエルサルバドルのコーヒー農園に行きました。そして再びメキシコに戻りベラクルス州のにあるコーヒー農園で働き、さらに途中からは現地の焙煎所で働きました。

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南條:元々、焙煎に興味があったの?
一成:あったね。最初は生豆を買って手網で焙煎したけど全然美味しくなくてびっくりした (笑) 最近は毎週日曜日に店長と焙煎所に行き、焙煎を教えてもらってます。

コーヒー農園の1日
朝6時に起床し、フルーツなどを軽く食べて7時から仕事が始まります。まず始めにコーヒーの実が干してあるアフリカンベットと言われる乾燥棚にかかっている雨よけシートを剥がしコーヒーの実を均一に乾かすように攪拌します。9時ごろに一回休憩があり現地の労働者はこのタイミングで朝食を食べてました。その後前日に収穫し麻袋に入っているコーヒーの実をアフリカンベットに広げ、手作業で未熟な実を取り除きます。お昼休憩が1時間あり、それから収穫します。コーヒーの木は標高1200m以上の急斜面に生えており、転げ落ちないよう注意しながら一粒ずつ完熟な実のみ手摘みで収穫していきます。それから出荷前のコーヒー豆を選別します。最初に機械で、豆の大きさと豆の比重を選別します。その後人の手で豆がカビていないか、虫に食われていないか、変形していないか確認します。とても地道な作業なので慣れるまでが大変です。選別を終えた豆をトラックに積み、乾燥棚に雨よけシートを被せその日の作業は終わります。その後みんなでご飯を食べ、疲労困憊で8時には寝てしまいます。


南條:帰国後はどんな生活をしてる?
一成:帰国後は留学のときにお世話になった Eureka Coffee Roasters でアルバイトを始めました。去年の10月からは、毎週日曜日に店長と焙煎所へ行き焙煎を教えてもらっています。またコーヒー豆の品質を点数化するためのテイスティングスキルも学んでいます。コーヒー留学の集大成として神田外語大学の学園祭でコーヒーを販売しました。学園祭限定のオリジナルブレンド「 KUIS BLED 」を作りました。2日間で350杯を販売し、たくさんの好評を得ました。

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※ KUISとは Kanda University of International Studies (神田外語大学)の略です。


YOKOSAWA CAMPUS BLEND ができるまで。


南條:紫波町と出会ったきっかけは?
一成:2018年の夏、大学3年生のときにラグビー部の先輩と青森を目指してヒッチハイクしていました。

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南條:ラグビー部の先輩?というと?どこかでみたことある人だね(笑)
一成:ね、佳祐さんだね(笑) ヒッチハイクの途中で、あいちゃん経由で紫波町にある藤屋食堂に泊まらせていただくことになりました。紫波町には3日間滞在し、その間に食堂の店長、賢次さんが紫波町を案内してくれました。

ここで出てくる佳祐さんはよこきゃんメンバーです!

南條:佳祐先輩が途中でヒッチハイクを断念したって聞いたんだけど? (笑)
一成:ヒッチハイクやったのが夏休み中かな。佳祐さんが同じ年のGWにラグビー部のOB戦で膝の靭帯を痛めてたんだよね。それで宮城の松島を散歩していたら佳祐さんが同じ箇所を痛めて歩くのが困難になって、夜行バスで帰った気がする。その時自分は一人で北を目指し進みました。だけど一緒に千葉に帰ってたら紫波町とは出会わなかったですね 。

南條:YOKOSAWA CAMPUS BLENDは私が一成のインスタにDMしたことから始まったよね。
一成:そうそう。学園祭でコーヒーを販売しているときに、インスタでカフェ出店のことを宣伝していたら、その投稿を見たあいちゃんにオリジナルブレンドを作って欲しいと頼まれてこれがきっかけでYOKOSAWA CAMPUSに関わるようになったよね。

カッピング中の一成。私も一緒にカッピングしてブレンドを作りました。

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南條:逆に紫波がなかったら、一成と仲良くなってなかったかもだよね(笑) 
一成:ね、仲良くなってなかったかもね (笑) オリジナルブレンドを作って欲しいと頼まれたときはすごく嬉しかった。しかもヒッチハイクでお世話になった町でやると聞いてびっくりした。

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上記以外にも色々と取り揃えていますのでチェックしてみてください

スペシャリティーコーヒーとYOKOSAWA BLEND。

今回、私たちと一緒にブレンドを作って頂きました、一成が働いているEureka Coffee Roasters (エウレカコーヒーロースターズ)さんは千葉県・西千葉にあるスペシャリティーコーヒーを扱うマイクロロースター(自家焙煎店)です。Eureka Coffee Roasters さんは世界各地のコーヒー生産者とダイレクトトレードを行っており、実際に現地の農園まで足を運び、生産者さんと共にTop Qualityのコーヒーを作り上げています。

スペシャリティコーヒーとは?『カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)スペシャルティコーヒーと一般のコーヒーは、SCAJのカップ評価基準に基づき、コーヒーの液体の風味(カップ・クオリティ)により判別・区分する。』出典:日本スペシャルティコーヒー協会HPより

一成の解説 : 今までのコーヒーはその地域やグレードで分けられてたけど、スペシャルティコーヒーは基本的にはどこの誰がどの品種どんな精製処理したか、生産履歴がわかるようになったこと、あとカッピングといってコーヒーの風味を数値化するんだよね、それとコーヒーの風味を表現する共通言語ができた。カッピングには8項目あり、各項目8点満点。8項目×0〜8点+基礎点36点。スペシャルティコーヒーは80点以上、なので各項目オール5点だと76点でスペシャルティコーヒーにはならない。オール6点で84点。なのでその項目が5点か6点の違いはすごく大きい。6点をつけるということはスペシャルティコーヒーでネガティブな要素がないってこと。オール7点だと92点、これは品評会で優勝するレベル。88点以上であればトップオブトップと呼ばれていて品評会だとトップ10には入る。

<各項目の説明>
クリーンカップ(スペシャルティコーヒーの基本!この項目が良くないと他の項目にも悪影響がでます。例えば質感がざらついたり、フレーバーがはっきりしていない、後味が心地よくない)、甘み(豆の熟度を表します。完熟か未熟)酸の質(酸の鮮度。新鮮なりんごを食べるとシャッキって感じだけど鮮度が落ちるとぼんやりとした味になる感じ)、液体の質感(クリーンカップ、質感(トロッとした感じ、滑らか、丸い感じなど)、液体の重さの3つで評価する)、フレーバー(フルーツや花に喩えたりします。それがどれだけ明確に感じられるか。)、後味(まずあと後味が残るか、そしてそれが甘さと一緒に残るか)、バランス(それぞれの項目でバランスが取れているかを見ます、なにか突出するもの、たりないものがあるか)総合評価

南條:今後のコーヒー業界をどんな世界にしていきたい?
一成:もっと多くの人にスペシャルティーコーヒーを飲んでもらいたいですね。なのでまずはスペシャルティーコーヒーの認知度を上げたいです。

これからの夢。
一成:まずは社会に出て働き方を覚えつつ、コーヒーの専門も高めていきたいです。将来的には買い付けなどの農園側に近い仕事をしたいと考えています。また、大学内でもスペシャルティコーヒーを販売してみたいと思っています。

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編集後記

今回このYOKOSAWA CAMPUS ブレンドを作るに辺り、一緒に企画してくれた一成、本当にありがとうございました。そして、何から何まで応援して頂いた Eureka Coffee の宮島さんありがとうございました。

友人と企画から販売までできちゃうなんて、大人になったもんだぜと嬉しく思います。周りには様々な世界線で活躍している子が沢山いてすごく興味深く刺激を頂いています。しかし、大人になるにつれていつのまにか居心地の良い場所に着地してしまうのがちょっぴり寂しいなと、と思って「ひよこになる日」を企画しました。これからもたまごを探しながら、私自身もコツンとヒビを増やしていきたいと思います。

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