「聞きたくない話」と鍼灸
皆さんには「ちょっとそれ、聞きたくないなぁ」と思う話、ありますかね。
私はあります。
最近はもうそんなに気になりませんが、すこし前までは「夫の愚痴の話」を聞くのがしんどかったです。
元々、身内を悪く言う話は聞くのも話すのも好きじゃないので、彼が生きてた頃に彼のこと悪く言うことはあまりしなかったです。
でも、なぜそう出来ていたかと言えば、彼がものすっごく素晴らしい人で文句なんてひとつもないから✨と言うことではなくて、何か違和感や好ましくないことがあった時には周りではなく本人に直接伝えて、対話をしていくということを大事にしてきたからです。
だから愚痴が出てくる時って、相手との間にはまだやり取りする余地がある感じがしていて、それが何だか羨ましくて苦しい時がありました。と言うか正直、生きてるだけいいじゃない!って。
そんな風に自分が聞きたくないなぁって話をしている時にそのことを相手に伝えられなかったり、その場所から立ち去れない時って、鎖骨の下辺りがキュッと苦しくなる感覚があるなぁと言うことに次第と気づきました。
胸に秘めた思いとはよくできた言葉で、胸骨を閉じることでその内側にあるものを守る感じの動きがある、と。
そして胸骨が閉まると、呼吸が浅くなって、話すことがしにくくなって、気持ちもより内側に溜まっていくような感覚もありました。私にはそれが結構苦しいことでした。
それが、整体や鍼灸の施術で身体の方を先にスペースを空けることで呼吸が深くなると、気持ちを声や言葉にして出しやすくなることがわかりました。
そうしたら、「生きてるだけでいいじゃない!」というちょっとツンケンしてた気持ちだったのが、「その話を聞くのは、私にとってさみしさが広がるのよねぇ」と、すこしまろやかになることが増えてきました。
もちろん、わざわざ先に身体からアプローチをしなくても、カウンセリングなどで気持ちを話せる人はいると思います。ただ、私には身体からの方が心も楽にしやすかった、ということなだけです。
もしかしたら、わたしと同じように感じている人もいるかもしれない。そんな人に届けたい。
それが鍼灸師になろうと決めた理由のひとつです。
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