松原容子展「自分定規」2002 – 2020 △8.31-9.12 まとめ

展示とワークショップの期間 
2020年8月31日から9月12日まで。12日間(日曜休廊)
場所 ギャラリー 檜F 東京都中央区京橋3-9-2 宝国ビル4F

ギャラリー来場者 210名 ( 複数回来場者11名)
芳名帳に住所記入 46名

ワークショップ
会場での参加者(接触型ワークショップ) 6名
作品を持参・郵送してくれた人(非接触型ワークショップ)3名
「自分定規」キット販売 13セット

展示
ギャラリー檜は多くの作家や美術愛好家が立ち寄る(今回来てくれた半数以上の人と私は知り合いでなかった)。
たくさんの方々に『自分定規』の活動を知ってもらう機会になった。

反応
何かしら言葉を残してゆく人が多く、絵画やインスタレーションの時よりもずっと多くの感想をもらう。
おおむね好意的だが、拒否的な態度も見て取れた、台座に置かれた彫刻や絵画ではない作品への対応に迷っている感じすらある。
展示物の多くが作家の手になるものではないことに否定的な意見もあった。
「おもしろい」「子供の頃を思い出しました」「すっきりした」「言いたいことが言えた」「書いたら逃げます!」「もう一度行って自分定規にトライしたかった」「大切な活動だと思う」「解放される」「難しい」「おそろしい」「松原さんが考えていることの尻尾を掴んだ」
「こんなことして、何が面白いのかわからない」「アートではない」
「これ、あんた?似てないね(二度目の来場者から)」

『自分定規』の問題点とレスポンス的なこと。
問題点
心理療法的な危うさを内包している。
医療の専門性を持っていない私は『自分定規』が美術の表現から出ないように気をつけているが、時にアートセラピー的なことが起こる。
レスポンス
1.漆原先生(日赤医療センター精神科勤務)の感想
「それぞれの心を全体的にも個々としても、楽しく美しく見ることができるのはアートの力」。この言葉は『自分定規』がアートの領域からはみ出していないと判断してくれたように思えて、私はほっとした。
・土屋恵さんによる『自分定規』ワークショップにおける作家の立場
(インタビューによる)
https://www.facebook.com/674161569/posts/10157659508091570/

コラボレーションについて
2016年から3年間、成増図書館の好意で施設に隣接したギャラリーで発表しているうちに、展示スタイルのマンネリ化という問題に突き当たった。京橋に場所を移しても内容が同じであることは簡単に看破されるだろう、ここでもまた同じような展示を繰り返したくなかった。
新しい要素が欲しいと考えていて、特殊照明家 市川平さんの仕事を思い浮かべた。市川さんは彼が現代彫刻家であった昔から憧れのアーティストだが、もしかすると協力してくれるかも、私の展示を観に来てくれた時に「いつかコラボ」という言葉が出ていたような気がする。連絡したら「やりましょう」とうれしいお返事が来た。
圧倒的な技術と力量を持つ市川さんだが「自分定規」という微妙なものを、ゆっくりと動く影で繊細かつ幻想的に演出してくれた。さすがとしか言いようがない。今回のコラボで強烈にリスペクトしました。

クロージング・イヴェント
タイトル「片手でする拍手」9月/11(金)18 : 00~
パフォーマンス、万城目 純+市川 平
『片手でする拍手』とは、江戸時代中期の禅僧、白隠和尚が修行僧に問いかけた「両掌(りょうしょう)打って音声(おんじょう)あり、隻手(せきしゅ)に何の音声かある」という言葉から万城目さんが選んだタイトル。

映画好き・映像好きな人たちが偶然集まって、数ヶ月に及んだコロナによる自粛期間の闇を開くような時間はとにかく楽しかった。
出演を快諾してくれた万城目さん、2つの照明と衣装持参で(緑色の細かい光を放つ照明は開発したばかり)参加した市川さん、イベントに参加してくださった方々に心からの感謝を伝えたい。

まとめの纏め
政府のコロナ対策は方針定まらず、矛盾と曖昧さに満ちている。感染拡大防止で外出や移動を規制する一方、経済対策として旅行や外食に出かけるよう扇動している、検査には非積極的。地方と首都圏が敵対し、隣人同士が監視をしているようで息苦しい。
そのような時に、自分の言葉を直裁に表現する、何か自分なりの判断を迫られたり、来し方行く末について考え記録する時間を持つ、『自分定規』的アプローチは大切だと思えた。
新型コロナの感染拡大が止まらない状況で、外出を控えている方が多い、残暑厳しい9月上旬に実施するイベントだったので、ワークショップもブレーキとアクセルの両方を踏みながら、終始大きな迷いを内在させながらの開催だった。

展示が終わってちょうどひと月が経った。
終わってから一週間後におおよその纏めを作り、その後少しづつ文章が変わってきたが、最後に冷静な視線でまとめてみました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?