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[ALE&BOOKS]

神奈川県の茅ヶ崎市で中華料理屋を営んでおります、横濱屋の青 木と申します。当店のオススメはパシフィックブリューイングの ビールとニクヤキソバのコンビです。 おそらく近未来。奇妙で獰猛な生物が蠢く、混沌とした世界を生 きる人々の物語を紹介させていただきます。
[武装島田倉庫]椎名誠 七篇からなる連作短編集。凶暴な[魚乱魚齒(かみつきうお)] や檻に閉じ込められた謎の少女など、様々なものが運びこまれる 島田倉庫で働き始めた可児才蔵とその同僚達の日々。 やがて来るであろう[白拍子]からの襲撃に備えて輪胴式の火縄 銃で武装する島田倉庫の面々を描く表題作からこの物語ははじま ります。
泥と油に塗れた海で小さな連絡船を渡し商売を始めた元[漬汁 屋]の三人組や、[北政府]に追われ犠牲を出しながらも旅を続 ける群族、巨大な装甲貨物車を操り、略奪集団[耳切団]と争い ながら目的地に向かう運送屋など、人間同士殺し殺され、巨大に くねる灰褐色の肉食植物[壺口]に襲われ、時にラブロマンスも 多少ありつつ様々なトラブルを潜り抜けながら生きていく人々の 様子が描かれていきます。 随所に出てくる奇妙で個性的な固有名詞やなんだか不思議で優し い文体はとても魅力的で、僕が多いに影響を受けた部分でもあり ます。
僕は飲食店なんだけど。

はっきりとした起承転結が無いので、この世界の日常の一部分を 切り取って貼り付けている。そんな印象を受けます。
椎名誠の1990年代前後のSF小説は沢山あるのですが[アド・ バード][水域]と、この[武装島田倉庫]がシーナSF三部作 と呼ばれています。同じような世界観ですが全く違った視点から のお話なので本作が好きになられたら是非とも次に選んでみてく ださい。
必死になって中華鍋を振り終わり、ドロンドロンのべチョンべ チョンになった夜、ビールを飲みながらシーナSFを読んでいる と、是非とも行きたいような死んでも行きたくないような退廃し た、でも不思議と惹かれるこの世界に潜り込んだような気がして きてしばし朦朧となり、ふと正気に戻ると「俺もなんとか生きて んだなぁ...もう一杯飲んで寝よ、へへへ」と明日への生きる糧に なるのです。
この作品には残念ながらビールのようなものは描かれていません が[烏賊の金玉しぼり][招魂酒(ふぬけ]等、シーナワールド 特有の名前のお酒が出てきます。どんな味がするのだろうか。 パシフィックブリューイングをはじめ、目の前に現れたクラフト ビールもまずネーミングから想像したりします。 例えば僕の大 好きな[CURIOUS]ただのきゅうりと思いきや、調べると(好 奇心旺盛)(奇妙な)と出てきます。きゅうりのビール、確かに 好奇心旺盛で、奇妙です。

[余分]と、いうことでパシフィックさんのビール[烏賊の金玉 しぼり]のリリースを期待しています。なんなんですかね、[烏 賊の金玉しぼり]って。

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