銀蝿一家祭〜そして全てのピースが揃った夢の時間

前にも書いたが、当時の銀蝿一家という現象がたまらなく好きだった。横浜銀蝿を先頭に嶋大輔、杉本哲太、紅麗威甦が続き、紅一点の麗灑が後ろに控えている。さらにはツッパリの枠を飛び越えた岩井小百合と矢吹薫が両サイドを固め、森一馬、BLACK SATAN、ユタカ、ロージーローリー…様々なキャラクターが揃い、みんな兄貴分の横浜銀蝿に必死についていこうと頑張っていて大きな軍団として花が咲いていた。あの時代の銀蝿一家の躍進は見ていて清々しいほどだった。

そんな銀蝿一家総出演のライブイベントが銀蝿一家祭である。当時この銀蝿一家祭という言葉の響きが大好きだった。にもかかわらず、銀蝿一家祭に参加できていなかったことを何度も後悔してきた人生だった。そんな銀蝿一家祭が開催され、念願叶って参加することができた。

個人的に40thのファイナルツアーを終えた後にこの銀蝿一家祭があったという部分がとても重要だったと考えている。これは40thから「2年間応援してくれてありがとう」という粋なプレゼントだったとオレは受け止めている。

横浜銀蝿40thのファイナルツアーはフルコースだった。これ以上何も求めるものはないほどにお腹いっぱいになった。そしてこの銀蝿一家祭だ。フルコースの後のデザート。それもこれ以上ないほどの豪華なデザートだ。40thのファイナルツアーでお腹も心も充分満たされていたがデザートは別腹だ。40thのライブとはまた違った期待感に満ちていた。

銀蝿一家祭は、昔レコードでライブ音源を聴いただけで、実際には体感していないからどんな風にライブが進むのか想像するだけでワクワクした。どんな順番で出てくるのか？そもそも1バンドづつ出てくるのか？最後はみんなで演奏するのか？何も分からないからこそのドキドキワクワクな感情で羽田に向かった。

トップバッターがJohnnyという全く想定していなかった状況に驚き歓喜する。思わず「わぁ！Johnnyだ！」と声が漏れてしまった。そして期待していた白い衣装の白Johnnyで登場。やられた。この日最初の涙ポイントが初っ端からきたのだ。もうこの時点で感激してしまっているのだから、もうこのイベントが間違いない内容になることは明らかだった。

「土曜の夜はHighway Danceで」で始まったJohnnyのステージ。バックバンドにJackさんがいることを確認し安定感のある演奏が聴けることを確信した。Johnnyは少し緊張したと言っていたが、楽しそうにイキイキした姿で歌ってくれていた。

前日に翔くんがインスタグラムに「あのコーラスグループが一夜限りの復活」と記していて誰が出てくるのか気になっていたがついにその全貌が明らかに。翔くんとTAKUによる13B2TGデュアル50φが白いドカン姿で登場したのだ。しかも曲は大好きな「セクシー・ルウ」だ。レコード音源ではJohnnyの歌がオーバーダビングされた声のミルフィーユだったが、ここでは翔くんとTAKU、そしてJohnnyによる声のミルフィーユとなっていて最高だった。それにしても白ドカンはやっぱり似合う。あの当時にタイムスリップしたような感覚に。

そして最後にJohnnyは「88の星座」を披露。もしかしたら？とは思っていたが実際演ってくれると本当に感激した。あの頃どれだけこの歌に励まされてきたことか。Jackさんのイントロのギターにはしびれた。40thで動くJohnnyを初めて見れたわけだが、最後の最後にソロのJohnnyも目撃できるなんて本当に幸せだった。この白いJohnnyは絶対に忘れない。

Johnny セットリスト
　1. 土曜の夜はHighway Danceで
　2.$百萬BABY
　3.セクシー・ルウ
　4.ジェームス・ディーンのように
　5.88の星座

2番手は麗灑。10キロのダイエットに成功したというほっそりした姿で現れた。初めて生で聴く麗灑の歌はさすがの声量で抜群の歌唱力に驚かされた。話には聞いていたがここまで凄いとは…！

大好きな「あたいのRock'n Roll」は心底感動して涙が出た。麗灑もこの曲にいつも元気づけられてきたそうだ。泣ける。2曲しか演奏されなかったのは残念だったが麗灑の歌はこの日のMVPだったと言える。歌はもちろん、ブランクがあるのに堂々としたステージングやMCも心に響いた。この人は歌声ひとつで金が取れるホンモノのシンガーだということを強く感じた。

麗灑 セットリスト
　1.ROCK'N ROLL恋占い
　2.あたいのRock'n Roll

3番手は矢吹薫の登場。全身真っ白な衣装でまさに貴公子といった雰囲気。トレードマークのレスポールを弾いてデビュー曲の「お前がまぶしすぎて」を歌う。歳をとってもこの人は変わらない。イサオさんと一緒に作ったという「揺れてFall in」を2曲目に歌う。2曲しか歌わないのにこの曲をチョイスするのは薫くんのイサオさんへの想いが垣間見れた。しっかりとギターソロも自分で弾いていて好感が持てる。翔くんも言っていたが、きっとイサオさんも聴いてくれていたと思う。

矢吹薫も2曲しか演奏されず残念だった。今回この銀蝿一家祭の開催が発表された時に弟分の出演の多さに歓喜したが、出演者が多いということは、1アーティストごとの演奏される曲は減ってしまうということで、それは見る前から覚悟していた。見れただけでもただただ感激なのだ。

矢吹薫 セットリスト
　1.お前がまぶしすぎて
　2.揺れてFall in

続いて4番手として紅麗威が登場。個人的には一番楽しみなバンドだ。先日見た秩父でのライブよりもかなり小慣れた演奏になっていて安心して聴くことができた。秩父のライブでは聴きたい曲はほとんど演ってくれたが、唯一「YUKIKO」だけ聴けなかったことが残念だったが、この日は「YUKIKO」を演ってくれて感動。「桃子の唄」は演奏が桃太郎のシングルバージョン、歌が紅麗威甦のバージョンのミックスでLeerの歌も聴けてお得だった。紅麗威には来年以降も活動を続けて欲しい。

今回の銀蝿一家祭では、各アーティスト演奏が終わると、翔くんとJohnnyがMCでインタビューがあったのだが、紅麗威へのインタビューが行われる前になんと！ここで一番の盛り上がりとなった杉本哲太からのビデオメッセージが届いた。紅麗威甦として参加できなかったのは残念だったが、こうやって銀蝿一家の一員として繋がっているだけでも嬉しくなる。左手にはトレードマークの包帯を巻いていて最高だった。哲太ありがとう。

哲太からのビデオメッセージから続いて紅麗威のインタビュー。ここでの桃太郎の先輩翔くんへのイジリがなかなか面白かった。紅麗威の他のメンバーは真面目なのだが、桃太郎だけふざけたキャラが際立っていた。桃くんはやはり愛すべき憎めないキャラクターだった。

紅麗威 セットリスト
　1.俺達最後のRock'n Roller
　2.YUKIKO
　3.HEY!彼女
　4.桃子の唄

翔くんに銀蝿一家のラスボスと紹介されて登場したのが嶋大輔。笑ってしまうくらいにデカい。白い衣装が大柄のお医者さんの白衣にしか見えないという。

この日一番演って欲しいと思っていた「暗闇をぶっとばせ」を演ってくれて感動。紅麗威のサポートギタリストの夏井詠悟さんが頑張ってギターソロを弾いてくれていた。矢吹薫が参加しての「大輔・哲太のRock'n Roll」を挟んでお待ちかねのオリジナル「男の勲章」を披露。途中で大輔は涙が込み上げてきて歌えなくなる場面も。こちらももらい泣き。後から大輔が「銀蝿さんの前で歌う男の勲章は自分にとっては特別で、涙腺崩壊してしまいました」と言っていた。

「男の勲章」以外はステージで歌うのは久々だったはずの大輔だが、そこはさすがで貫禄十分でのパフォーマンスだった。

嶋大輔 セットリスト
　1.Sexy気分の夜だから
　2..暗闇をぶっとばせ
　3.大輔・哲太のRock'n Roll with矢吹薫
　4.男の勲章

あまり詳しくはないのだが、今回のバックバンドのメンバーは、ベースがDOH-Kさん、ギターがJackさんと夏井詠悟さん、キーボードが菊地圭介さん、ドラムが藤崎涼さんの皆さんでした。とても安定感があり、また銀蝿一家の世界観をうまく作り上げてくれました。リスペクト。

15分の休憩を挟んで横浜銀蝿40thの登場。やはり役者が違うという感じで他を圧倒。「ぶっちぎりRock'n Roll」と「羯徒毘璐薫'狼琉」の2曲で完全に会場の雰囲気を40th色に染めあげてしまった。これが本当にファンの前で演奏する40thの最後のステージ。気負った部分は微塵もなく、肩の力が抜けて余裕すら漂うパフォーマンスだった。

最初のMCで翔くんは「何を今日演ったらいいのか考えました。最終的にオレたちがやりたい曲、これが最高だという曲を演ることにしました」と言って「あせかきベソかきRock'n Roll run」を演奏。久々に聴くあせかきベソかきに盛り上がる。横浜銀蝿から影響を受けて、彼らの言葉に希望とか熱さとか色々なものを受け取ってきた人生だったことを改めて思い出す。そしてこの曲聴くとやはり当時の銀蝿一家メドレーが蘇る。

「お前サラサラサーファー・ガール　おいらテカテカロックンローラー 」でのバリバリダンスは新バージョンも飛び出して楽しかった。そして話には聞いていた嵐さんの酸素吸入器を吸う音がここで聞こえてきて笑えた。翔くんが喋っている後ろでスースースーって音がほんとに聞こえてきて嵐さん最高だった。

腹抱えて笑うほど楽しかった後は、少し真面目に翔くんが語る。それに続く「哀愁のワインディングロード」「横須賀BABY」で、いよいよ終わりが近づいてきていることを実感することになる。もしかしてこれで終わり？突然のお別れ感に襲われ少し戸惑った。まだ終わりたくない。さよならしたくない。

そんな寂しい気持ちを吹っ飛ばすかのように40thはもう1曲やってくれた。最後は「バイバイOld Rock'n Roll」だ。バーイババーイババーイババーイと手を振りお別れだ。最後に横浜銀蝿と出会った頃の初期のこのナンバーでお別れだった。

曲間のブレイクで各メンバーからの一言があった。「今日はどうもありがっとう！Johnnyでした！」「ほんとどうもありがとう。ベースのTAKUでした。よいお年を！」「40年間も付き合ってくれてありがとう！嵐でした」「感動をありがとう。Atsushiでした！」そして「ありがとう！」と最後に翔くんが叫び40thの有観客最後のライブ本編が終わる。

本編が終わりアンコールでは予定にはなかったという横浜銀蝿40thバージョンの「男の勲章」を演奏。大輔がステージに出てきて一緒に歌うというとても感動的なシーンだった。銀蝿一家のメンバーにとっても、ファンにとってもこの曲は大切な曲なんだと改めて思う。

いくぜRock'n Roll！という翔くんの掛け声とともに始まる「銀ばるRock'n Roll」だ。勝手な思い込みかもしれないが、銀蝿一家祭にはこの曲は欠かせないと思っていた。40th渾身の「銀ばるRock'n Roll」は圧巻だった。曲のテンポが昔のテンポに近くて疾走感があり、個人的に過去最高の「銀ばるRock'n Roll」だった。聴いていて胸が熱くなった。

最後に今日の出演者全てを呼び込み、「ツッパリHigh School Rock'n Roll（試験編）」でフィナーレを迎える。翔くんの起立！の合図で客席も全員立って、そのままスタンディングで試験編を一緒楽しんだ。ステージで弟分たちが息切れしそうになりながら一生懸命ツイストを踊る姿にほっこりする。最後は三三五拍子でエンディング。

横浜銀蝿40th セットリスト
　1.ぶっちぎりRock'n Roll
　2.羯徒毘璐薫'狼琉
　3.あせかきベソかきRock'n Roll run
　4.お前サラサラ サーファー・ガール　おいらテカテカロックンローラー
　5.哀愁のワインディングロード
　6.横須賀BABY
　7.バイバイOld Rock'n Roll
アンコール
　8.男の勲章
　9.銀ばるRock'n Roll
　10.ツッパリHigh School Rock'n Roll（試験編）with麗灑、矢吹薫、紅麗威、嶋大輔

夢のような時間が終わってしまった。3時間という長丁場のイベントだったけれど、あっという間だった。最初に白いJohnnyが出てきて確信したとおりにこのイベントは最高に楽しく多幸感に満ちたお祭りだった。40thとのお別れという側面もありながら、銀蝿一家の一体感を楽しめる側面もあり、本当に贅沢なものとなった。大満足。

40thは最後の最後に銀蝿一家祭という当時のファンにとってはたまらない伝説のイベントをやってくれた。これでまたひとつ夢が叶ったというわけだ。40thのおかげでたくさんの青春時代の忘れ物を回収させてもらい、最後に銀蝿一家祭まで用意してくれるとは。これで最後のピースが埋まって、オレの銀蝿一家に対する後悔は全て解消し、思い出として完成した。

麗灑が言ってたが、この銀蝿一家祭の計画は今年の5月から進められていたそうだ。オレはてっきり「最後に銀蝿一家祭やっちゃおうよ！」という軽いノリでやってくれたものだと思っていた。しかし、彼らはZeppツアー中から既にこのお祭りの企画を立てて準備してくれていたのだ。Johnnyはなんとかして横山みゆきさんとデュエットしたくてみゆきさんを探したんだとか。

その想いに凄く感動した。そしてこの企画に賛同して集まってくれた哲太を含めた弟分たち。弟分たちの銀蝿メンバーへの態度を見ていると、本当に頭が上がらないようだ。とても微笑ましい光景を生で体感できたのは本当にありがたかった。オレが大好きだった銀蝿一家は40年近く経ってもまだ存在してくれていたのだ。しかも今でもキラキラときらめいていた。

途中、何度か涙が溢れたし、40thのライブ中は半分くらいは泣いていた。この日の涙は間違いなく嬉しくて感動した涙だ。そして、笑いが絶えないお祭りでもあった。これは40thから「今までありがとうな！」という粋なクリスマスプレゼントだったと改めてそう感じる。

会場を出た羽田は海風が強く、めちゃくちゃ寒かった。けれど、近くに見える羽田空港の綺麗な灯りと共に、銀蝿一家からもらったプレゼントで心は暖かかった。本当に夢のような、そして夢が実現した素晴らしい時間だった。あの花札の銀蝿一家のマークを見ると、今でもあの時と同じようにワクワクする。それはこの先も変わらない。

残るは大晦日の配信ライブとトーク。もうこれ以上、40thから頂くものはないくらいたくさんの思い出を頂いている。もう思い残すことがないのだ。画面に向かって感謝の気持ちで40thを見送ろうと思う。そして最後は笑って散るのだ。

it's only Rock'n Roll
Special Thanks to銀蝿一家