『黄昏に舞う』
ボカロ民族調曲投稿祭2024参加曲に関するあれこれを語りたいと思います
『黄昏に舞う』動画はこちら
今回の曲では色々やりたいことを詰め込もうと思っていました
視聴者の方には?と思うところもあるかと思いますので興味がある方は読んでみてください
曲の解説
ツインボーカル -テトさんとフリモメン-
1.曲の解説
この曲はアンサーソング
この曲の制作の大前提にあるのが昨年のボカロ民族調曲投稿祭で発表した『胡蝶の夢』の存在です
動画はこちら
胡蝶の夢あらすじ
親しい人を亡くし行く当てもなく彷徨う主人公が
旅路の夜蝶に誘われ自らも蝶となって遊び舞う
我に返ると美しい春の野や青空は消え去り
荒野に一人立ち尽くしている自分の姿だけがありました
亡くなった人が蝶の姿で現れるのは東西問わずある伝承ですが
自らも蝶となるのはいつまでも同じ世界に在りたいという主人公の願望なのでしょう
自分の生きるこの世界を失うことより
親しい人の存在が消えることへの、また自分が置き去りにされることに恐怖を感じるのは前作『海鳴り』と共通です
黄昏に舞うの舞台
秋の収穫祭が行われる街を訪れた主人公
「永い逡巡の果て」とあるので胡蝶の夢(晩秋が舞台)のすぐ後ではなくそれなりに時間が経っていると思われます
「昼と夜の間」
に交わる彼岸、言い換えれば逢魔が刻ですね
この世界ではないあちら側と繋がるという黄昏時
「夏と冬の間」
収穫祭(イラストイメージではハロウィン)は秋分の頃の日本でいうお彼岸とは時期が違いますが夏でも冬でもない境目という連想をしてほしくて「夏と冬の間」「彼岸」の歌詞をあえて使いました
彼岸はあくまで”あちら側”の彼岸です
ハロウィンの夜が彼岸と交わり先祖が現世に戻ってくるという(日本でいうお盆的)ケルトの伝承も汲みました
「燈火に浮かぶ名も知らぬ人々」
主人公にとっては訪れた街の初対面の人々ですが、その中には生きた人ではない人も交じっているのでしょう
余談ですがこの歌詞の部分でぼんやりと踊る人々の姿が重なっているの気付いてくれたかしら?
2コーラス目で「篝火に浮かぶ姿 懐かしさに笑みが零れる」以降の歌詞で主人公が”会いたい人”に今夜限りの再会したことを指しています
アンサーソングの役割
『胡蝶の夢』で救いのない世界を描いてしまったので今回『黄昏に舞う』では前向きに生きていく姿を描けて肩の荷を下ろした感があります
2.ツインボーカル -テトさんとフリモメン-
ストーリーの主人公がテトさん
収穫祭の街の住人がフリモメンの設定です
『胡蝶の夢』の知声さんはどこへ行ったんでしょう…
曲の中間部に挟んであるメロディは『胡蝶の夢』の一節ですが
楽しい収穫祭の踊りの最中に主人公が見た幻のようなものなので『胡蝶の夢』ではマイナー調だったところを一部メジャーにアレンジしてあります
このパート、フリモメンには無関係なのでテトさんの独唱です
蝶が青いことでフリモメンか?と誤解を生みましたがw
(動画コメントありがとうございます)
『胡蝶の夢』の画像素材を使いまわしただけなんです
むしろそこまで考えて頂きありがとうございます
収穫祭の夜、立場は違えど大勢の人が楽しく歌い踊るというコンセプトでツインボーカルにしました
収穫を祝い「帰りくる人」に会いたいのは誰しも一緒です
今は亡くなってしまっても自分が大切と思える人と共に過ごした経験は「出会えた奇跡」としか言いようがないので誰がどのパートを歌ってもいいつもりで書き分けはしなかったのですが(手抜きじゃないぞ!)
歌詞入力を始めた際フリモメンに「出会えた奇跡に」を歌ってもらったんですよ、そしたら…
テトさんを口説いてるようにしか聴こえない
って気持ちが湧き上がりましてw
すべてフリモメンのせいイケボのせいです
なのでパートを交代しました
制作中のトラブルはこれ1回だけです
悲しみを帯びつつ前向きに生きることを選んだ主人公を歌い上げるテトさんと
イケボで低音から結構な高さまで魅力的に歌い上げるフリモメン
二人のボーカル最高です
またこのコンビでいつかきっとお目にかかりましょう
長文読んでいただきありがとうございました
耀子