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『You Raise Me Up』 by ディマシュ in 中国/感想 & ちょっとだけ歌の解説


 ディマシュのこの優しい笑顔を見てっ!🥰(見出し画像)


(Dimash 56)
(第1稿:2024年6月9日)
 
 
 
★YouTube動画:
『Dimash Qudaibergen - You Raise Me Up (Beauty and Harmony, CCTV-1, Сhina)』
By Dimash Qudaibergen(公式) 2024/06/08




【ディマシュ『ユー・レイズ・ミー・アップ』を歌う】

 昨日の6月8日、中国のTV「CCTV-1」で放送された番組『美美与共(美と調和)』での、ディマシュ歌唱2曲のうちの、2曲目です。

 ちょっとショックを受けるほど、深くて美しいバリトン。
 その声の、優しさ。
 その、愛情に満ちた声。

 これは私にとって、男性ボーカルの「理想形」かもしれないと思いつつ、聴き入りました。


【もう1曲の『Golden』はというと……】

 こっちも、実はけっこう「おお!」と驚く歌唱ではあったのです。
 この曲の放送バージョンは、ちょっと生歌っぽい気もします。
 そして、番組をライブで見ている時、もしかしてキーを下げたのかな?と思っていました。
 お友達dearも、トルコ・コンサートの前だったからキーを変えてあったらしいという、他のdearsの意見を知らせてくれていました。
 しかしあとでよく考えたら、キーを変えるなら、曲のバックトラック(オケ)を全部録音し直さないとイカンけどそんなことする暇あったか?と思いまして、原曲や過去のライブ映像などと聴き比べました。
 そうしましたら、「原曲通りのキー」でした😅
 
 なんでみんなして、キーを低くしたと思っちゃたのか。
 それはやっぱ、ディマシュの声が以前より深くなっていて、おそらくですが、頭部より胸部の方の「共鳴」が強くなってるからじゃないかと思います。言ってみれは、年齢相応というか。
 それと、この歌ではディマシュの声にロック系のディストーション・ボイスが入るのですが、以前よりそれがはっきりしてきて、しかも自然に出ている感じというか。
 この歌の、若い世代が上の世代に向かって反抗的に気勢を上げる意味合いから、また違った意味に聴こえて来ます。
 自信と存在感、それに、もう少し経ったら「洒脱な感じ」が出せるようになるかも?

 実は、クイーンのフレディ・マーキュリーも、30歳前後で澄んだ美しい声にディストーションが入るようになって歌唱が安定し、31歳の時に世界的大ヒットになった『We Will Rock You』『伝説のチャンピオン』を録音しています。
 ディマシュもそういう年齢になったのかな、と。

 という『Golden』だったのですが、なにせ2曲目が破壊的に良かったため、みんなこの曲のことを忘れましてねえ(笑)
 YouTuberの公式動画の視聴回数も、『ユー・レイズ~』が『ゴールデン』に2倍の差をつけて驀進中です🤣
 なので、下の動画で『Golden』、見てあげてね💖
 
★YouTube動画:
『Dimash Qudaibergen - Golden (Beauty and Harmony, CCTV-1, Сhina)』
By Dimash Qudaibergen(公式) 2024/06/08



【『ユー・レイズ・ミー・アップ』の解説】

 原曲は、「シークレット・ガーデン」という、ノルウェー出身の作曲家でピアニストのロルフ・ラヴランドと、アイルランド出身のヴァイオリニストのフィンヌーラ・シェリーによる、ニューエイジ・ミュージックや新古典派音楽を演奏する2人組みバンドが、2002年に発表した曲です。
 作曲がバンドのロルフ・ラヴランド、作詞がアイルランド出身の作家の、ブレンダン・グラハム。

 日本では、2006年トリノ・オリンピックで金メダルを獲得したフィギュアスケートの荒川静香選手が、エキシビジョンの演技でこの曲を使用したことで有名ですね。
 この時の歌は「ケルティック・ウーマン」の歌唱でした。

 この曲は、一説には、アイルランド民謡の『ダニーボーイ』のメロディがベースになっていると言われています。
 実はコーラス部がそっくりそのままです。
 
 そしてその『ダニーボーイ』は、アイルランドの民謡『ロンドンデリーの歌』に、新たに歌詞をつけたものです。
 第一次世界大戦の前年、1913年に発表されたそうです。
 なので『ダニーボーイ』の歌詞は、戦争に出兵する子供を想う親の心情を歌ったものでした。

 もとになった『ロンドンデリーの歌』には、もともと多くの歌詞が付けられていますが、一番有名なのは「私がリンゴの花だったら」という歌詞で始まる『アイルランドの恋の歌』だそうです。
(ちなみにカザフスタンのアルマトイ市は、リンゴの発祥の地と言われています)

 さらに、この『ロンドンデリーの歌』は、遡ること18世紀から伝わる古いアイルランド民謡(メロディのみ)の『若者の夢』(Aislean an Oigfear/The Young Man's Dream)に基づいた曲なのだそうです。

 時代によって形を変え、歌詞を変えて歌い継がれてきた名曲が、21世紀になってまた別の形で歌い継がれたわけですね。
 
『ユー・レイズ・ミ―・アップ』の歌詞は、「疲れ切って困難に見舞われた時、あなたがそばにいてくれると、私は今以上の人間になれる」という内容です。
 歌詞に使われている数々の単語や言い回しの傾向から、この曲はクリスチャン・ソング(キリスト教の賛美歌)ではないかとも言われています。
 とはいえ、聴いてる方はあんまりそんなこと考えてませんけどね。



【ディマシュの歌唱】

 で、ですよ。
 今回も「中国の番組」ですので、舞台ではディマシュは生の声で歌っていたのを、番組の編集段階で「録音された歌唱」に差し替えられているかもしれません。
 というのも、5月17日に番組が収録され、その2日後の5月19日にリリースされた番組のプロモーションビデオでは、いつものライブでのディマシュの声だったのです。
 
★jadecheung0524のIG 5月19日
『「You raise me up」(17.05.2024 H州 Z江省)CCTV1の「美と調和」のプロモーションビデオ。Cr. CCTVセット (CCTV 1 - WeChatアカウント)』

 

 それが、昨日(6月8日)放送された番組と、そこから切り取ってディマシュ公式のYouTubeやインスタに投稿された動画は、プロモーションビデオとは全然違う声だったのです。
 プロモーションビデオの方が差し替えの可能性もあるけど、その辺よくわかんないので、とにかく違う、と。
 で、その番組と公式動画での歌唱が……

(もう一回埋めときます)



 驚きました。
 あまりにも良い声で
 生歌かとか、録音かとか、もうそんなこと、関係ありません。

 2月のイスタンブールでの記者会見でディマシュは「皆さんはまだ僕の35%しか見ていない」とかなんとか言ってましたが、それはつまり「これを隠し持ってた」ってことだったの!?
 もしかして、ドミンゴとデュエットしたことで、この声を解禁する気になったのか!?などと妄想してしまいました。

 この歌のカバーバージョンは結構たくさん聞きましたが、これほどまでに「与える愛情」に満ちた歌声は、聴いたことがありません。

 それも、昨年(2023年)9月、中国の『国際情報コミュニケーション・フォーラム』の壇上で、ディマシュがア・カペラで歌った、あの思いやりに満ちた温かい『ドゥダライ』の、超絶進化バージョン。

 そしてやっぱり私は、「香港ライブ」で初めて『When I've Got You』を聴いた時にも思ったように、この歌をそっくりそのままディマシュに歌い返したいと思いながら聴いていました。
 
 君の声が照らし出して見せてくれた、この世界の思わぬ美しさ、愛らしさ、愛おしさ。
 この世は生きるに値すると感じた、君の声の優しさと柔らかさ。
 
 そういう感覚を、この声にも強く感じます。
 生きてこんな声を聞けるとは。
 これを「幸運」と言わずしてなんと言う。

 そんなことを思いながら、呆然とその声を浴びた、至福の2分47秒だったのでした。



(終了)
 


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