見出し画像

「香港ライブ2023」中編/ディマシュin中国7-3

(「香港ライブ2023」前編 からの続き)

(Dimash 39)
(12,455文字)
(第1稿:2023年12月24日~2024年1月15日)



【第3部の続き:12~13曲目】


・11曲目のデュエット曲の途中から~17曲目まで。
★YouTube動画『Dimash Hong Kong concert Part 3』
by Dimash iran 2023/12/24


「じゃあ、次の曲では、もちろん可能なら、君らは大騒ぎする必要があるんだよ。
 だって次は、ギブ、ミー、ユア、ラ~ブ💖」


《12.ギブミ―ユアラブ Give Me Your Love》

 またまた色気たっぷりである。
 イントロのギターが非常にはっきりした音で、気分がノリ易い。
 リフで入るキュイ~ンというフレーズとか、音のキレとか、ハードロック好きには大好物な感じだ。
 そして、漢気(おとこぎ)をそそられる音でもある。

★mysoul_dimash 12月24日付。
・後半のダンス~アウトロ。


《■ 香港ライブのバンドサウンド解説》

 ギターは何をやっているか分かり易いので、ここではドラムスを中心に、リズムや縦ノリについて考えてみよう。
 今回のCAI CHONG YANGという人のドラムスは、この曲の最初のハイハット4発が高いD5(レ)の音のようで、他の楽器がインしてリズムが入ってからは、2拍目のバスドラがG2(ソ)、4拍目のフロアタムかな?がD3(レ)に聴こえる。
 そのため、ドラムスだけですでに完全5度の和音とメロディが出来上がっている。
 今「アルマトイ・ライブ2022」のこの曲と聴き比べてみた。
 アルマトイで叩いているロマン・アレクセイエフさんのドラムスは、スネアドラムの音が音階の無い破裂音で、リズムインしてからは2拍も4拍も同じ音。和音があっても香港の完全5度ほどの開きはない。そのため、全体的に品が良く、香港に比べるとやや大人し目。
 また、両者ではドラミングの手数も違う。コーラス直前では、アルマトイはタラッタッタ、香港はタラッタッタドンドン。
 てことで、アルマトイのサウンドはフュージョン系で横ノリ。
 香港はハードロック系で縦ノリ。
 縦ノリだと、今回のライブでディマシュが無意識でやっているように、自然とその場で膝でリズムを取るようなダンスになる。
 縦ノリは、長時間のライブだと割と体力を使うのだが、ヤルぜヤルぜ的なヒーロー気分を味わえるというか、普段の生活ではほどんと使わないような「カッコいい自分」をやれるというか(笑)

 ただし、ハードロックの縦ノリが万能というわけではない。
 特に『アヴェ・マリア』では、いつものパーカッションのイリヤさんがいないので、高い打音をハイハットで代用していたが、それはちょっとな……と思った😅
 要するに、アンビエント系の音作りに必要な楽器やメンバーがいなかったのが難点だったわけだが、これはまあ、今回は目をつぶることにする。

 また、どちらの音が良いか悪いかという問題でもなく、メンバーによってサウンドが変わり、それぞれに向き不向きがあるというだけのことだ。

 ディマシュに話は戻るが、今、アルマトイと見比べていて気がついた。
 ディマシュは発声の訓練のため、体幹や背筋などが強く、そのせいで歳に似合わず落ち着いて見えるが、横ノリでテキトーにゆらゆらするのが不得意なんだな(笑)
 縦ノリで上下に動くのは、体幹を揺らさなくてすむので動き易そうに見える、というか。

 なので、今回のライブを見ていると、ディマシュがこのライブを終わらせたくないと思っているのがありありとわかる。
 このバンドの音で歌ったり踊ったりするのが、相当に楽しかったのだろうと思う。

 というわけで、今回の香港ライブのディマシュは非常にアグレッシブで、やる気満々の若々しい男性的な色気が出ていて、いいっすね~💖
 しかも曲が終わって気を抜くと、すんごくカワイイ色気まであるという(笑)
 ひと粒で2度おいしい、この夜のディマシュであった(笑)


《13.ビーウィズミー Be With Me》

 公式MVが非常に面白いストーリーだった曲。
 歌の途中にはカザフスタン語でラップが入る。何言ってるかは全然わからない(もちろん公式動画には日本語訳がある)。
 まあ他のシンガーの英語ラップでも(実は日本語ラップでも)何言ってるんだかほとんどわからないからべつに気にしないが。
 個人的には言葉の音の面白さは、英語よりカザフ語の方が上だと思う。
 ラップ部分の最初、低いキーで喋っているところは、ヤクザ映画で菅原文太が凄む広島弁のようだし、後半普通のキーのところはなんか津軽弁で喋ってるみたいだし(笑)
 そしてやっぱりギターがいいな。
 最後、三連符4拍のあとの繋ぎの「ジャーン!」は、ロックバンドのライブでよく聴いたアウトロ直前のコード展開で、懐かしかった。

★dimash_dqd 12月27日付。



【第4部:ドンブラ物語1、14~17曲目】


 ひきつづき、こちらの動画から。
・11曲目デュエット途中~17曲目まで。
★YouTube動画『Dimash Hong Kong concert Part 3』
by Dimash iran 2023/12/24


《インターバル4:ドンブラ物語1+ドンブラ演奏》

 ディマシュの語りで、スクリーンには「ドンブラ物語1」が映される。
 カザフスタンの伝統音楽で、「キュイ」の伝説「アサハック・クラン」の物語。
 チンギス・ハーンの息子ジョチは狩猟が好きだったが、父に狩猟を禁止された。だがある日父に内緒で狩りに出かけ、クラン(ロバの一種)を狩り始めた。すると一頭の足の不自由なクランが現れ、ジョチの馬を襲い、彼を殺してしまった。チンギス・ハーンは息子の悪い知らせを持って来た者には鉛を注ぐと怒り、部下たちはその仕事をカザフスタンの偉大な詩人ケトブガ・ババにさせた。詩人はドンブラの音色で息子の死を語り、ハーンは詩人ではなくドンブラに鉛を流しこむことにした。その時からこの楽器にはその穴が開いている。カザフスタンでは、真のカザフスタン人は人ではなく楽器ドンブラだという。
「アルマトイ2022、Part.2」公式動画でこの物語のショートムービーを見ることが出来るが、ディマシュのライブだけで見せるのがもったいないくらい、非常に良い出来だ。(⇩該当箇所を頭出し)


 そのあと、「Temirlan & Yernat」というドンブラ奏者2人組(オルザバイ・テミルランOlzhabay Temirlanとイエルナト・ナウリズYernat Nauryz)による、超カッコいいドンブラ演奏。

★temirlan_yernat_official 12月24日付。


《14.マンスール登場、ギター演奏》

 照明がいったん落ち、明るくなった舞台にスキップで躍り出てきたのは、ストラトキャスターを抱えたマンスール。
 おお! 兄貴のおさがりじゃなくて、新しい衣装じゃないか(笑)
 途中、スキップでステージを駆けまわったり、ヘッドバンキングしたりと、非常にアグレッシブだ。
 おっと、兄貴と同じくステージにひざまずいて弾き始めた。
 以前より髪が長くなっているので、ヘドバンが華やかで様になっている。
 あ、曲が終わると舞台に寝っ転んだ(笑)

 えーと、マンスールのギターに関しては、まだ評価しないことにする。
 なにせ、あと2週間で17才という時期だったが、やっぱりまだ17才という若さだ。
 身体が成長途中で、指の骨なんかもまだ固まっていないだろうから、運指が安定していない。安定してないのに、ミョーに難しいギターソロを弾こうとしてるしなあ😅 
 この兄弟、才能はあるが成長が遅いのだ。
 個人的には、弟君はもうちょっとフュージョン寄りのバックの方が合ってそうな気はする。
 しかし、ちょっと髪の伸びたマンスールは結構な美形に見えて、フツーに女の子に人気が出そうなタイプだと思う。

★dimash_dears_the_best 12月28日付。
・演奏全編。

★tulip_daisy_18 12月31日付。
・エンディングあたり、膝をついてヘッドバンキング、からのゴロリン。


《◉ 幕間6:兄弟揃い踏み》

 曲が終わり、ディマシュ登場。
 な、なんすかそのキラキラ光る紫の謎のコートは!!?

「僕の弟です。みんなに何か言うかい?」
「アッサム……(以下聞き取れません)」
 話の途中で噛んじゃって、自分で笑っちゃうマンスール君。

★mingyayue78 12月24日付。
・演奏のあと、兄が出て来て弟を紹介する。


 ディマシュ、⇧の返信欄で散々「酷えマントだ、脱がせろ」「キルコロフだ」などと言われている🤣
 仕方ないよ、中国のフツーの人の認識では「お金が掛かっていて遠くからでも良くわかるほどド派手」というのが最もカッコいいことなんだから。「三国志」で有名な「赤壁の戦い」が実際に行われた現地の長江の崖には、なんと!「壁赤」と、観光客のためにものすごいデカい字でデカデカと書かれているのだ。それが中国クオリティなのだ。

★moon.kudaibergen_2 12月28日付。
・演奏のあとの、ものすごーく良く撮れている弟の写真。


《15.Together》

「アルマトイ2022」でこの曲の初披露の時には、マンスールはピアノを弾いていたが、今回は引き続きストラトキャスターのリフで兄貴のバックを務めている。
 マンスールのギターがワイヤレスなので、兄弟2人で花道を歩く。
 兄貴が弟をすっごく心配、してるわけでは決してないのだが、なんかもう参観日の父親みたいで(笑)

★moon.kudaibergen_2 12月28日付。
・音と映像はピカいちだが、マンスールがあまり写っていない。

★mysoul_dimash  12月24日付。
・遠景からで、マンスールがずっと映っている。


《◉ 幕間7:ママと家族を紹介》

 カザフスタン語で家族を紹介するディマシュ。
 ディマシュがママの手に接吻するの図。

★dimash_dqd 12月27日付。

★dimash_dears_downunder 12月25日付。
・正面から。ディマシュが弟の背中をどつくのがよく見える。

・この投稿者の別の動画のコメント欄に、この時のディマシュの話の全訳があった。以下要約。

「この歌を(僕達が)誰に捧げたかを、英語を知らないその人に告げたい。
 いつも世界から来てくれる皆さんが分かるように努めているけれど、僕は同時にカザフ語を話すカザフ人の代表でもあります。
 どうぞ立ち上がってください、子供の頃から大きなスタジアムで大きな拍手を、あなたに見せたかった、スベータ・アイトバエヴァ!(Svetlana Aitbaeva)」
 客席に座っていたママが立ち上がり、舞台へ近づく。
 ディマシュがステージから屈みこんで、ママの手に接吻。
「マンスールのママです」と、ディマシュ。
「あなたのママでしょ」
 マンスールが笑いながら言うと、ディマシュが弟の背中をどつく(笑)
「父がこの会場のどこかにいます。僕はもう30才になるのに、今でも僕の面倒を見てくれて、人生について教えてくれます。この拍手はあなたに。
 ラウシャンはどこ?
 次の曲は『フライ・アウェイ』!
 マンスール、幸せになれよ、お前の創造性が高く成長し、長く続くことを願っているぞ」

(マンスール君、兄貴が「マンスールのママです」って言ったのはね、君がママと握手しようとしたらママが客席の方を向いてしまってそれが出来なかったから、兄貴は君に気を使ってそう言ったんだよ)

「皆さん、もしまだ疲れていないなら、(中国語)、
 一緒に歌おうぜーーーっ!」


《16.フライ・アウェイ Fry Away》

 ディマシュ、謎の紫のコートを脱ぐ。
 下に着ていたのは、キラキラした黒いフリンジがたっぷり下がった上着。
 えーと、なんか鳥の「キーウィ」に見えるのは私だけ?
 首にかけているネックレスは、これだそうです。

★matza0210 12月26日付。


 ディマシュの動きが非常に良い。
 腕を振り上げる、ジャンプするなどのしぐさが、自分のリズムになっている。凄くフリーな感じ。
 なるほどー、いつものあの大男に特有ののっそりした感じは、上品なフュージョン系のリズムに合わせた動きだったのかな?と思った。
 この香港ライブでは、のっそり感はあまりない。
 むしろ、ちゃんと「A4の大きさ」の動きだ(笑)
 歌の終わりに「That's all.」と言って振り向き、客を笑かすディマシュ。

★dimash_dqd 12月27日付。
・Part.1、曲の前半。


★dimash_dqd 12月27日付。
・Part.2、曲の後半。


★di.llusion_ 12月25日付。「開くのか開かないのか」
・上のPart.2の最初頃にディマシュが襟元を掴んで吠えるが、このサムネがちょうどその場面。

★di.llusion_ 12月24日付。「ザッツオール」
・Moonさん撮影の超絶可愛い「きゅるりん振り向きディマシュ」は、前のNOTE投稿記事「When I've Got You 香港ライブ版・妄想感想」の最後にあるので、こちらでは、きゅるりんのあとの笑顔が見える角度で。



《◉ 幕間8:『ワンスカイ』前の、英語のスピーチ》

 花道から舞台に戻ると、その場に座り込んで水を飲むディマシュ。
 水飲んでても可愛いのが分かる写真がこちら。
★dimash_dqd 12月24日付。


 ディマシュは次の曲の前に、非常に長いスピーチを英語で行った。
 その全文。

「アッラーが皆さんを祝福してくださいますように。神が皆さんを祝福してくださいますように。
 親愛なる紳士淑女の皆さん、ご存知のとおり、数年前、僕がこの曲を書き始めた理由は……そして、んー、その曲の名前は『The Story of One Sky』です。(観客Year!)そうです。
 この曲を書いた理由があります。
 今世界では、凄く沢山のクレイジーなことが起こっているからです!
 沢山のクレイジーなことが!
 あることが僕には理解できません(※↓)……以下のことは問題にはならない、あなたが中国人でも、あなたがイタリア人でも、あなたがフランス人、ロシア人、ドイツ人、カザフ人、ウクライナ人でも。うーん…問題じゃないんだ……(会場から声が上がる)タイだね! どれだけ多くの……
(と言いかけるが、観客が自国の国名を一斉に叫び出したので、ディマシュはイヤホンを外してそれを聞いている)
 ありがとう。続けさせてね。
 最も重要なこと、僕たちが理解しなきゃいけない最も重要なこと、それは、あなたが誰であるかは問題ではない、ということです。つまり…あなたがどの国の代表かということは重要ではないのです。
 僕たちが覚えておくべき最も重要なこと、それは、僕たちは皆、同じ空の下に住んでいるということ。僕たちはひとつの空の下で生きているのです。
(※ 彼が言う「理解できない」とは、国籍が問題ではないということを理解できない人がいる、ということか、もしくは「戦争」のことか。)
 僕たちはお互いを愛する必要があります。
 僕たちはお互いを尊重する必要があります。
 そして、んー、あなたたちのおかげで、僕は多くのことを理解しました。
 たとえば、このステージでは皆さんの姿が見えます。
 そして皆さんは、まるで大きな、ハッピーな家族のようだ!
 幸せな大家族だ。
 時々、僕たちが教えている時…何かをしようとしている時…どう言えばいいのかな…何かをしようとしている時…ええと…子供たちに教育を受けさせるのを手伝っている時…僕たちは時々考える必要があります。この人生をどう変えていけるかを。
(※ 別のスピーチでは、人生を考えるうえで子供から教わることがある、といつも言っているので、それと同じことを英語で言いたかったのだろう)
 子供たちが殺し合うという話を、僕は聞いたことがありません。
 子供たちのせいで国が滅んだという話も、聞いたことがありません。
 しかし、何人かのせいで……たったふたりの人物のせいで、世界中で何百万人もの子供たちが亡くなりました。
 では、いったい誰が賢いのでしょうか?
 大人ですか、それとも子供ですか?
 時々僕はそれについて考えます。僕が言いたいのは、僕たちはこの世界に対して何かをする必要がある、僕たちはこの世界に対して何かをする必要があります。
 僕にとって、僕たちにとって2つの人生があります。
 それは政府の人生です……政治家と国民の人生です。
(※ これから歌う『ワンスカイ』の意味から考えて、政治や政治家の言いなりになるか、ならないか、ということだと思われる)
 誰かが僕に同意しない場合は、申し訳ないと言っておきます。
 これは僕の考えであり、僕の意見です。
 最もクレイジーなこと……何人かのインタビュアーや何人かのジャーナリストが、戦争について僕の意見を知りたがった時、どう答えるべきなのでしょうか?
 彼らは僕に次のようなことを尋ねます。
『私たちは知りたい、あなたが……(観客が何かを叫んだのでyesと言い)
私たちはあなたのことを知りたい、あなたはどちらの道を選びますか?』
 そんなふうに、ね。
 僕の下手な英語でごめんね。
 そしてただ……僕は何も言いません、何を答えればいいんだろう?
 僕の使命は、あなたたちのサポートを得ながら、ただ歌って、僕の音楽でこの世界が変わるように試みることです。
『The Story of One Sky』。ありがとう。」

★dimash_dears_downunder 12月26日付。Video cr: DiDiB。
・ディの英語のスピーチ全文がコメント欄と返信欄にある。

★dear.sharly 12月27日付。
・画面に英語字幕あり。途中の国名部分をカット。

(※ ちなみにディマシュはこの「ストレンジャー・ツアー」でロシアに行くことを拒否したそうだ)


《17.ストーリー・オブ・ワンスカイ The Story of One Sky》

 前半は、公式のMVより少しテンポが遅い。
 とても感情移入しているような歌い方で始まった。
 前半の「so,tears and blood won't follow death」で、先ほどのスピーチと相まって感極まったらしく、そのあとからコーラス1の前までしばらく涙声になる。
 ヴァース2でも少し声が乱れたが、立ち上がって声を張り上げることで持ち直す。
 背後のスクリーンに映る去年のディマシュのライブ用映像と、歌っている今回のディマシュの雰囲気が、本当に驚くほど違う。
 中盤以降、曲の構成によって会場が全く別の場所になる。
 状態の悪いファンカム動画でも、歌の「世界」に会場全体が呑み込まれ、ディマシュという人物が内包する「物語」に呑み込まれていくのがわかる。
 彼のこの「他人を別世界に連れて行くパワー」は、本当に凄まじいなと、いつも思う。
 曲のあと、最後にディマシュはこう言った。
「Actually, we need only peace. Thank you.」
(実際、僕らが欲しいのは平和だけ。ありがとう)

★di.llusion_ 12月26日付。歌の全編。

★simona.paeonia 12月24日付。
『听完這首歌,你就知道我来的理由
 この曲を聴けば、あなたは私がなぜここに来たかを知るでしょう』


《◉ 幕間9-1:ファンから花をもらう》

 さて。
 ここで、「前日譚」のところで出て来たYouTubeのリアクション動画主「JohnReavesLive」のジョンさんが登場する。
 彼はライブ前にディマシュに捧げる花を調達しようとしたが、1輪のバラしか手に入らず、とりあえずそれを持って会場入りした。
 彼は直前の『ワンスカイ』に涙し、この曲のあとで花を渡そうと思ったようだ。
 ディマシュは、花道の先でジョンさんが花を持って近づくのを見て、
「Thank you,  bro,  thank you!」
と言いながら彼から花を受け取り、握手した。
 ジョンさんは「やったぜー!」とガッツポーズ。
 ライブ前に知り合ったdearsからも「やったわねー!」と声がかかった。
 ディマシュは、他のファンからプレゼントをもらいながらも、
「これが初めてだ、男から花をもらったのは……」
とつぶやき、ジョンさんが来た方を振り向いて「ありがとう」と言いながらも、ちょっと吹き出して笑っていた。
 しかしなんと、ディマシュに花を捧げる男性がもう一人あらわれた。
「ありがとう兄弟、君はふたり目だね!」
 この男性陣に他意はない。ロシアやカザフスタンの風習(日本でも昔はやっていた)で演者に花束を渡すのは、欧米では珍しいらしく、みんなそれをやってみたいと思っているのだ(笑)

★dimash_dears_downunder 12月24日付。正面からの動画。

★johnreaveslive 12月24日付。
・ジョンさん本人の投稿より。彼のYouTubeチャンネルには現在、この時の「香港ライブ参戦記」がアップされている。
https://youtu.be/DFLmS8eKpAU

★moon.kudaibergen_2 12月24日付。その時の非常に美しい写真。



《◉ 幕間9-2:カザフスタン語でスピーチする》

「衣装替えの前にちょっと話そう」

 ディマシュが「カザフスタン人はここにいる?」と聴くと、客席後方にいたカザフ人の男性陣がカザフの国旗をかかげて、
「ディマシュ先輩(Dimash alga)」コール。
 ディマシュが「おおー!ありがとう。みんなありがとう、兄弟たち!」と、感謝した。

★dimash.family_fan 1月4日付。
・カザフ男性陣のすぐ横からの撮影。


 ディマシュがカザフ語で熱弁をふるうが、何言ってるのかさっぱりわからない🤣

★kalmykia_dear 12月25日付
・この投稿のコメント欄にディマシュのカザフスタン語スピーチの全文が載っていた。マジでありがたいです。

「皆さんと出会ってから10年、『Singer2017』から世界への旅が始まってからでも7年、でも人生のほんの一部だね。
 あなたたちは僕の欠点を許してくれるよね、そのことに何千回も感謝します。
 もちろん僕はそれらを見せないように努力していますが、時には避けられないこともあります。
 あなたたちは僕の良い面を強調し、輝かせてくれる。
 誠実で、優しさと美しさを愛する皆さん、本当にありがとう!
 あなたたちの支援で、僕は満員のスタジアムでコンサートが出来ます。
 さまざまな国での僕の歩みは、あなたたちの愛への僕の答えです。
 僕のコンサートは、祖国への捧げものです。これらは僕の偉大な国民に捧げられ,僕の国の文化と利益の普及へのささやかな貢献です。
 だからこそ、僕は様々な国のファンに会いたいんだ。
 カザフ語だけでなく、他の言語でも僕の歌を応援してくれた、美しい少女たちや女性たち、兄弟たちに感謝します。
 僕のコンサートでは、様々な民族、宗教の人々を目にします。
 僕たちの心は一致し、僕たちの考えや感情は同じです。
 まるで同じ家族の一員みたいに歌を歌う素晴らしい瞬間を一緒に経験したという事実、こんなに素晴らしい瞬間を僕に目撃させてくれて、僕の運命と人生に関わってくれて、こんなに素晴らしい日々をあなたとともに過ごしたという事実に、何千回も感謝します!」

「服を着替えさせてね。戻ってくるよ、戻ってくるからね」
わざわざ断って衣装替えに行く、やっぱり律儀なディマシュ。

★dimash_dears_downunder 12月24日付。



【第5部:ドンブラ物語2、18~25曲目+アンコール1曲】


・「インターバル4」~18曲目~最後まで。
★YouTube動画『Dimash Hong Kong concert Part 4』
by Dimash Iran 2023/12/24


《インターバル4:ドンブラ物語2》

『身重の女性が兵士の夫を探して戦いの終わった戦場を歩く。
 長槍に白い布切れを見つけて叫び、その槍に取りすがる女性。
 男たちの戦う映像。
 彼女が生んだ赤ん坊はやがて大人になり、彼は老人が彼に向かって1本の木を指さす幻影を見る。
 息子は松の根と楓のエキスから楽器「コブス」を作り出す。
 楽器を手に取り、過去と現在を結び、この世に良きことをもたらす歌を奏でよ。
 老人となった息子は死ぬまでコブスを弾き、息絶える。
 砂漠の砂に埋もれる楽器。
 年月が過ぎ去り、草原を歩いていたフードをかぶった男が、導かれるように楽器を砂から掘り出す。
 そこへもう一人、フードの男が現れる。
 楽器を掘り出した男は、コブス奏者のオルジャス。
 そして、もうひとりのフードの男は、ディマシュその人であった。』


《18.ストレンジャー Stranger》

 コブス奏者のオルジャスが、『ストレンジャー』のイントロを演奏する。
 ディマシュは、背中に「Be Yourself  Be Real」と銀色の刺繍で文字が書いてある黒いジャケット。刺繍の文字からは銀色の糸が数多く下がっている。
 刺繍の文字の上には、星座をかたどったような模様が見える。
「ペルセウス座」だろうか。

★di.llusion_ 12月25日付。
・衣装の刺繍が分かる写真。


 また、ジャケットの両方の襟もとには、銀の細い鎖が幾筋も下がった2個のブローチ。
 首には真珠とチェーンで2重のネックレス。
 襟付きの赤いシャツ。シャツの下、腰にも銀の細い鎖のアクセサリーが下がっている。裾から蝶々などのチャームがいくつか見えている。
 コブス奏者のオルジャスも赤いラインの入ったズボン。
 この歌はいつもと違って聴こえはするが、元々マーチ(行進曲)だったので、今回はドラムスがマーチっぽさを強調したサウンドになっている。
 また、タムタムなどが音階を持っているので、いつものカザフステップの表現というよりは、アラビア音楽のように聞こえ、アラブの砂漠を行くストレンジャーのように聴こえるのが面白い。

★moon.kudaibergen_2 12月27日付。
・画質・音質ともに良いが、途中まで。

★di.llusion_ 12月28日付。全編。


《19.ドンブラ合戦、アダイ Adai/Адай》

 この曲の全体的な編曲も、ハードロックになっていた。
 途中途中でドラムスが消えてドンブラだけになるが、アルマトイと比べると、なんとなく中国っぽい雰囲気が漂うのが面白い。
 土地柄ってあるんだよね。演奏場所の標高とか、海に近いか内陸かなどで空気が全然違うから、音の響きも全然違っちゃうのだ。特に標高はその変化が顕著になる。アコースティック楽器はそれがよくわかる。
 そして、ディマシュの所作が全体的にやっぱりカッコ良い。

★kudaibergenov.dimashディマシュ公式 12月24日付。

★moon.kudaibergen_2 12月24日付。ディマシュONLYの動画。


《20.ドゥラダラス Durdaraz/Дүрдараз》

 カザフの民謡。
 夫婦や恋人たちの口喧嘩を歌にした面白い曲だ。
「惚れた娘に会いにきた男に、娘はお茶を入れてクローブを5粒落とす。
 娘が苛立って『あなたはちっとも会いに来ないわ』と言う。
 男が苛立って『君の方こそ会いに来たらいいじゃないか』と言い返す」
 ただの痴話喧嘩だが、これって全世界共通だよね(笑)
 それをこんなにカッコ良い民謡に出来るってのは、この歌を初めて聴いた時、カザフスタン侮りがたし!と思った(笑)
 間奏の途中で、ディマシュがこぶしを握った手を振り回しながらジャンプしたら、彼の右胸のブローチがぶっ飛んで、細い鎖一本で引っかかった状態になってしまった。
 途中で、マネージャーさんのスマホをぶんどって撮影しながら歌うディマシュ。ブローチが必死でディマシュにしがみついているのが面白い(笑)

★dimash_dqd 12月27日付。

★kanat_sveta_aitbayevtar(公式) 12月24日付。
・カナト・パパが撮影した、モニター室の様子。


 ディマシュは、曲が終わって「ありがとう」と言いながら頭を下げた時、ブローチが外れてぶら下がっていることに気がつき、それを手に取って、
「あちゃー、どうしよう……」
と思ったようだ。
 しかし運よく衣装の着替えのタイミングたっだので、照明が落ち、舞台裏に引っ込むことが出来た(笑)


《21.エル・アモール・エン・ティ El Amor en Ti》

 この歌は「アルマトイ2022」で初演された、トリッキーな演出が見ものの曲だ。
 私はいつもディマシュの過去のライブを見ながら、彼を撮影しているカメラとそれを映し出している巨大スクリーンの映像が、ワイヤレスでデータを飛ばしているため、どうしてもタイムラグが発生することが残念だなと思っていた。
 すると、どうやら彼らも同じことを考えていたらしく、ディマシュはこの歌でそのタイムラグを逆手に取り、3基の巨大スクリーンに3声をそれぞれ担当する3人の自分の映像を映し出し、映像の歌に生演奏の方が合わせることで、このタイムラグを解消した。
 アルマトイ・ライブの動画でそれを初めて見た時、世界初ではないだろうが、うまくやりやがったな!と思ったものだ。
 曲調は、巨大な黒ディマシュがクラシックで、巨大な白ディマシュがタンゴで(歌詞がスペイン語なので)、巨大な赤ディマシュがクラシックとタンゴを混ぜたヴォカリーズで歌う。
 そして最後に、ちっこいディマシュが舞台に躍り出て近代的なブルース・ジャズっぽいメロディでバリエーションを歌う。
 この取り合わせが非常に面白い。
 香港ライブに戻るが、歌の後半、衣装替えして飛び出してきたディマシュは、今度は白のふわふわの細い羽根がたくさんついた黒い上着。
 照明がつくと、その羽根が上着から取れてふわりと舞っている。
 ドラムスがやはりハードロック調になり、ちっこいディマシュのパートがさらに現代風ロックになる。
 いつもよりアグレッシブなので、ディマシュが動くたびに白い羽根がいくつもふわふわ落ちている(笑)

★tulip_daisy_18 12月25日付。
・曲の最初からエンドまで。
 巨大スクリーンの3人のディマシュもよく見える。
・黒い影のディマシュが舞台にダッシュ&ジャンプで飛び込んでくるところが、超~カッコいい。
 このサムネが、その超~カッコいいディマシュの「走り飛び込み」。


(「香港ライブ2023」中編、終了)
(「香港ライブ2023」後編へ続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?