さかなの1/26

今日はお茶運びのバイト

さかなはこのバイトを始めて2年になる
そしてもうすぐ辞めるんだ

作業内容は、はっきり言って何も難しくない
ふつうに、ふつうのことをする
高度な技術や高い専門知識はほぼなくていい

でもさかなにとって、この職場は壮絶なものであった

作業内容はふつうにふつうのことをするのだけど
そもそもの、基礎の部分がぶっ飛んでいるのだ

例えるなら、
この世界には地面があるのがふつうだと思って生きてきたんだけど
この職場はその地面がプカプカ浮いてて
そのプカプカの上でシゴトをしている
そのプカプカが当たり前だと思って働いている人たちにとっては
そのプカプカがふつうなんだろうけど、
地面というものは土でできていてどっしりしているものだと思っていたさかなには
カルチャーショックの、いやショックなんて生やさしいものではなくて
カルチャー衝撃の連続だった

こんなプカプカな世界ってあったんだ…

カルチャー衝撃の世界ではさかなにとっての”ふつう”は”ヘンテコ”と思われてしまって
慣れるまで時間がかかった

いやちがうな
慣れてきたように見せかけるのには、そんなに時間はかからなかったんだけど
実際、さかなの内面はすり減っていた
自分にとっての”ふつう”を押しころして
プカプカの世界の様子を一生懸命観察してその世界になんとか自分を合わせていると
自分の内面が削られてスカスカになっていく
スカスカになりながら本当は成りきれていないプカプカの世界の人を生きてても限界はすぐくる

いっぱい泣いたし
寝れない夜は数えきれないほどあったし
もう生きることさえ諦めそうになった

一見、ふつうのことをふつうにしているだけで
カンタンにできそうと思われるその職場で
さかなは荒療治をいくつもいくつもいくつもいくつも体験してきた

ここ最近はその試練を乗り越えたのか
眠れるようになったし
マインドフルネスを心がければ
なんとかバイトの1日1日をやり通せるようになった

この職場での修行はひとまず終えたのかな
と思ったりしているのだ

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