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茨城県水戸市 明利酒類さん訪問レポート

明利酒類さん蔵見学

茨城県水戸市にある明利酒類さん。
日本酒を勉強している人ならきっと聞いたことがあるかな?

日本酒を発酵させるために必要な「酵母」

日本醸造協会は良質な酵母を培養して全国の酒蔵に頒布しているのですが、その酵母のひとつ
「きょうかい10号酵母」の生まれたところが
こちらの明利酒類さんなのです。




仙台国税局鑑定官室長だった小川知可良先生が在任中、東北6県から数百の醪(もろみ)を集めてきて、中から優良な酵母を選抜し培養するという作業をし 退官後入社した明利酒類にて開発したのが後のきょうかい10号となる明利小川酵母。


ちなみに東北6県のどの酵母が10号の元になったかは公表されておらず、十四代の高木酒造さんのとも八鶴の八戸酒類さんのとも言われています。


その後、より香り立ちが良く「品評会に出すと金賞が獲れる」と言われるM310酵母も開発。
Mは明利のM。
310は3(ミ) 10(ト)で水戸のことだそう。


普段一般の人は入ることができない
酵母の開発室にお招きいただき、酵母開発のお話や全国への頒布の仕方などなど詳しくお聞きすることができました。


M310に続く素晴らしい酵母を研究されているのだそうですよ。まもなく発表されるもよう。
いままた見直されている香気成分「酢酸イソアミル」が綺麗に出る酵母です。
楽しみですね。


明利酒類さんは酵母開発、頒布以外にも
吟醸酒に欠かせない「醸造用アルコール」の製造も行い こちらも全国の酒蔵さんに販売しています。
ブラジルから廃糖液を輸入し蒸留。
約96%のアルコールが巨大タンクに入って並ぶ
まるでコンビナート!酒蔵さんではあまり見かけない光景です。
危険物なので当然、火気厳禁。
危険物取扱の免許を持った人が管理しています。



酵母も醸造アルコールも 
各酒蔵へ販売といっても「そんな値段で?」と思わず言ってしまうお値段。全国の日本酒蔵の継続のため、そこは儲けではなく使命感でされているのですね。


コロナが蔓延しはじめ、国内の消毒用アルコールが不足してしまった時に
「醸造用アルコール」が使えるのでは!
と真っ先に世に出してくれたのも 
当時、会社を辞めて実家の酒蔵の危機を再建しようと帰ってきた 加藤喬大常務率いる明利酒類さんでした。
まだ31歳の加藤常務。
博報堂で大手のブランディングやプロモーションを手掛けていたエリートサラリーマンでした。
若者のアルコール離れ、右肩下がりの日本酒販売、そこへ追い討ちをかけたコロナ。
いよいよ実家の経営状況を何とかせねば!と
一念発起し、会社を辞めて明利酒類に常務取締役として入り 経営改革を推し進めています。


【商品ラインナップ】
日本酒は地元で愛される「副将軍」と「水府自慢」を製造。
蒸留施設があるので焼酎も製造しています。


梅酒も大人気。
全国梅酒大会で日本一になったこともある「百年梅酒」はすっきりとした甘さと良質な梅の香りとエキスがしっかり出ていて美味しい。


スコッチウイスキー樽とバーボン樽、シェリー樽がずらりと並ぶ貯蔵庫で
なんとウイスキー樽で熟成した梅酒というのがあり 特別に試飲させていただきましたがこれがもう素晴らしい美味しさ!うっとりする香り。



そしてこれらの樽、
本当にウイスキーにも使用する予定なのです。


明利酒類さんではウイスキーの製造にも着手しはじめました。
米(米粉)を大麦麦芽を使って糖化発酵させた
グレンモルトウイスキー。
熟成前のニューポット(無色透明なウイスキーの原液)をテイスティングさせていただきましたが、とても良い香りが出ています。
これを樽熟成させたら…

楽しみでしかないですね!


今後も明利酒類さんには注目です✨

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