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マウントレーニア

突然だがおれは要領が悪い。
音楽に限った話ではないがおれが一ヶ月かかるような事を他の人はだいたい一瞬で出来る。また、おれがまったく気付かないことや取りこぼしてしまう大事なことを周りの人はそつなくこなす。
おれがパソコンとインターフェースの仕組みについて唸っている時にみんなは曲を打ち込み始めていたし、家庭崩壊レベルでゲームをやっても酷い有様だった。加えて壊滅的に記憶力が悪く、大抵のことは次の日には消失している。アニメの話をする時なんか酷い有様で名前を全て忘れてしまう為、呪術廻戦の話をするときは火山のあいつ(漏瑚)とかお兄ちゃん(脹相)と言われないと話が出来ない。こないだなんかワンピースのルフィを忘れて、なんだっけ…主人公…ゴムのあいつ…って言うもんだから友人にまさか…ルフィ…と言わせてしまった。すごく不安そうだったがいつも痺れを切らさず話をしてくれる友人には感謝してもしきれない。事あるごとにこのなんも出来らんポンコツ人間について嫌ってほど嫌な気分になってきた。散々マウントを取られ、挙げ句の果てには"お前がひとつ成した頃俺はそこにいない。だから一生追いつけない"などと言われる始末。カッとなった事も一度や二度や何万度か忘れたけど、前述したすぐ忘れるスキルが発動し覚えてない。文字を書いているのもほぼ奇跡だ。ところで最近気付いた事がある。みんなすぐに活動を辞めるのである。一年経って二年経って状況が変わらないとすぐに辞めてしまう。笑える。幸か不幸かチンタラ生きてたせいで要領いい人には沢山出会えたけどなんかみんな飽きて辞めてしまう。そりゃそうだよね。何か活動やるって言い訳死ぬほど出てくるもんね。仕事が、嫁が、子供が、時間が、金が、どうせうまくいかない、何のためにやるのか、いまからやっても、そもそも意味は?この時間で何が出来た?などなどね。多分賢いんだろうね。そんなこと考えるならそりゃそうよね。そしたらおれはこのままでいい。だって不貞腐れて辞めないおかげで少しずつ出来るようになっているから。このまま死ぬまでやったらきっとすごいのが一つや二つ出来るだろう。8割の凡人に産まれてしまったからには弾数が大事だ。そしてその一発一発を愛でれば良い。サインを描いてやろう。きっと唯一過去の自分と顔を突き合わせて自分のことを認められる瞬間だと思う。アホで忘れっぽくても作った作品は半永久的にそこにある。それが波を産んだならこの上ない幸せだと思う。

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イヌのご飯代にします