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Guの筒の話

はじめに

2021年になりました。
早一ヶ月、お正月には福袋や初買いで何か記念に購入された方も多いのではと思います。僕は楽器を買いました(持病)。

年明けおこたでゴロゴロしているとネットでSonobeさんのE2 hijazが出ているのを見つけました。お正月の朦朧とした頭でメールをして、数日後現地の工房に行かせてもらい受け取りに行ってきました。

園部さんはとてもフレンドリーな方で、最近はayasaのシェルを使っていたり、E2はSonobeさんのところのサイズのヘルムホルツ共鳴[1]と合うのでいいと思うらしい話を聞いたりとても楽しかったです。


色々機械も見せてもらって、お金貯まったら自分でもやって見たいなと思いました。

そしてウキウキるんるんで家に帰りケースから出したところボトッと何かが落ちました。

ん...?

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そう、この筒です。

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F2やE2というとても低い音のdingのハンドパンの場合、どうも空気が漏れちゃうそうで底のGuの穴に木の筒を入れるそうです。

もっとも素材が金属のところに木ではめているので、微妙にジャストフィットにはならず、筒をくるくる回すとスポッと取れます。夏とか気温が変わるとまた合わなくなるかもしれないので、その時は調整に持ってきてねと言われました。

正直筒でどう変わるか分からへんかったので早速、普通につけた場合と外した場合でどう音が違うのかを調べます。

ちなみにiPhoneで録画するとこんなですた。



手法


マイキングは以前と同様トップにベリンガーC2 + AKG P220 で上下から取って位相反転させてミックスします。とった音はsonic visualizerでソノグラムにします。

たたく音はE2-> E3 -> E4 です。なんか鳴り終わったっぽいタイミングで次の音を叩きます。

結果

なんか一発目がうまく録れているか分からなかったので2回写ってますが気にしないでください。また右上の音程は画像でマウスが写っていないのですが、左端の音のピークの場所です。

#1 木の筒あり

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#2 木の筒なし

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比較すると確かに音の出方が変化しています。
低い音域に加え全体的に筒ありの方が鳴りがよく、広い音域の音が出ているように見えます。もっともここはグラフを見やすくするためにlogったので、そのせいかもしれません。あとはなぜか叩く強さはできるだけ同じように叩いたつもりですが、筒がある方がE3/B3と倍音部分も鳴りがよくなっているようには見えます。

聴感上は、筒を抜くとサスティンが短く、音の輪郭が弱くなったような印象があります。あとはなんか微妙い音程に聞こえる印象があったのですが、下のグラフを見るとちょっとF2あたりが入っているように見えます。このdingは他のに比べると弱いと聞いたので、なんか平面がフラフラしているのかもしれません。完全に感覚ですが、ステンレスのは叩いた後に後のせサクサクで"ぶゎぁぉん"という音がアタックのちょっと後にくる印象があるので、その辺りがなんか揃わない状態になっているのを拾ってしまってるのかなという感じがします。

筒を入れる事でこれらの差分が出る理由が全くわかりませんが、低音は遅かったり回折しやすかったりするから、それが影響するのかな。。。[2][3]

E2の音の場合は周波数が 82.407hz [4] なので、波長の長さ[5]はλ = c / f に代入して20℃でざっくり4.12m。シェルの中の直で出ていかなかった音も回折してくるんではと思われます。

あとは低音は指向性が弱い?らしい[6]ので、木の筒でその方向性を揃えるとかかなーと思われます。

イメージはこうシェルの中でぐるりんぱするような。。

画像3

知らんけど。

* 僕は物理学と出会い頭にお別れしたので詳しい方はご教授下さい。

ドラムやカホンではキックポート(https://kickport.com)という筒をつけると低音が強くなるという製品があるそうです。原理は調べても出てこなかったのですが、キックのヘッドがスピーカーと同じようになる、とかヘッドにミュートするのと同じみたいなコメントが見つかったのでスピーカーのバスレフみたいな事かなと思われます。[7][8]

FDTD法を使って鐘の中の周波数の変化をシミュレーションして視覚化する研究などは見つかったので、この辺を勉強してる方だとよりわかるのかもしれません。[9]

(それにしても鐘を作る前にイメージできるようになりたいのが意義とかニッチなテーマの論文。。)

結論


SONOBEはいいぞ。

E2はいいぞ。

*このE hijaz( = A harmonic minor )なんですがbottomにEb が入って(hijaz kar Kurd?)なかなか変で面白かったので次回があればきっとhijazはいいぞします。

参考文献


[1]上智大学 理工学部 情報理工学科 荒井研究室 研究分野:音声コミュニケーション HP

http://splab.net/APD/A700/index-j.html

[2] ONO SOKKI HP

 https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/nakaniwa/keisoku/kaisetsu.htm

[3]日本音響学会 Q and A (059)

https://acoustics.jp/qanda/answer/59.html

[4] Tom’s web site

https://tomari.org/main/java/oto.html 

[5]上智大学 理工学部 情報理工学科 荒井研究室 研究分野:音声コミュニケーション HP

http://splab.net/APD/A400/index-j.html

[6]flavor 社ブログ第8回 ”音”を調整するための基礎知識について

http://mm-flavor.com/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E9%81%93%E5%A0%B4-vol-08

[7]林正義のオーディオ講座

https://www.phileweb.com/magazine/audio-course/archives/2007/06/28.html

[8]wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/バスレフ型

[9] 佐藤雅弘, 豊田政弘, 会田哲夫, 飴井賢治, “和梵鐘のシミュ レーショ ンと実験の音色比較”, 日本音響学会誌71巻12号 (2015),pp.661-664

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/71/12/71_KJ00010136705/_pdf


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