会社には、社員を育成するための工夫された仕組みがある

社員を育成する仕組み、すなわち、「サポート」と「システム化・型決め」に関係するアンケート設問項目です。

社員が仕事を通じて学び、成長する。そうした行動環境が、中・長期で成長する会社を作るためには不可欠です。そして、社員が学び成長することを支援するのは、会社、上司にその役割を担うことが求められます。個々の上司のスタンスや力量に委ねるのではなく、会社として社員を育成することを重要課題と位置付け、社員育成、上司の育成力向上のための仕組みを構築することが望まれます。

また、「社員を育成するための仕組み」ではなく、「工夫された仕組み」としているところに注目してください。

実際に全社員アンケートを実施すると、「仕組みはなくはないが、『工夫された仕組み』と問われると考え込んでしまった」ということを社員の皆さんから話していただくことがあります。

この「考え込む」という機会は、より良い会社をつくっていく上でとても重要なことだと思います。

成長ドライバ理論に基づく総合経営診断システム「会社の健康診断」を実施することにより、社長、幹部、一般社員の皆が同じアンケート設問に答えることを通じて、例えばこの「社員を育成するための『工夫された仕組み』」とはどのようなものか、自社の仕組みは十分に工夫されたものだろうか、十分な効果を上げるための工夫をしていると言えるだろうか、・・・といったことを考える、考え込むことによって、さらなる改善につなげていくということです。

さて、「工夫された仕組み」を講じることによって、その工夫、工夫の意図が社員の皆さんに伝わらないということも多く見受けられます。

社員の皆さんにとって、
「自分たちは育成してもらう側」
と捉えるか、
「仕事を通じて自ら育つ」
と考えるかは大きな違いがあります。

前者のように考える社員が多ければ、社内研修や外部セミナー、技能研修の機会や受講支援など制度の充実度がこの設問の回答を左右することとなるでしょう。

後者のように考える社員は、研修、セミナーといった形式ではなく、業務を通じて社員の育成を支援する仕組み、例えば、さまざまな先輩社員と組んでプロジェクトの遂行を担うチャンスが全員に与えられていることであるとか、会議の場で意識的に後輩社員を育成するような会話がなされたり役割を与えられたりすることだとか、特定の部課、業務に従事させるのではなく、さまざまな部課を異動し、多様な業務を経験させるようはからっているといった会社の姿勢、風土、方針といったものをして「工夫された仕組み」と捉えることでしょう。

いくらそのような仕組みがあっても、前者のように考える社員が多ければ、「工夫された仕組みがない」として、このアンケート設問についての回答スコアは低いものとなるでしょう。そして、高いスコアの社長や幹部との間にギャップが生じるということになります。

「工夫された」というのは「お金をかけないよう工夫する」という意味では決してありませんが、ただやみくもに研修・セミナーに資金を投じるのではなく、親身になって社員の成長を願えば仕事の現場でできることも数多くあるということは認識しておく価値があるでしょう。

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