良い会社かどうかを診断する方法

会社も人間の身体と同じです。健全な成長・発展のためには、自社の状態を客観的データに基づき良く知ることが第一です。自社の状態を的確に把握することで、ありたき未来の姿とのギャップ、望ましい成長・発展のルート、手法を明らかにすることができるのです。

会社の健全な成長・発展のためには、まず自社を総合的に経営診断すること。ーーー 中小企業経営の現場におけるこれまでの研究、企業経営、そして、経営コンサルティングの経験から、そう確信しています。

会社の健全な成長・発展のために私たちが確信しているポイントは、「企業経営のメカニズム」を理解して、的確な「経営のフレームワーク」に基づき思考、行動することです。そして、その前提として、社員の幸せを第一に考えるということが大切です。

私たちは、「成長ドライバ理論」を、企業経営のメカニズムを正しく描写した、企業経営に関わる全ての思考・行動のベースとなるフレームワークとして提唱しています。これまでありそうでなかった経営のフレームワーク。「成長ドライバ理論」を手にすると、そうお感じいただけることでしょう。

そして、私たちはさらに、このフレームワークに基づく総合経営診断システム「会社の健康診断」を開発しました。

企業経営を全体的・包括的に捉え、経営の原動力である「社長」「経営理念・ビジョン」「ビジネスモデル」「システム化・型決め」「行動環境」の全てを同時に診断できるものです。経営を良くしていくためには、健康診断・人間ドックと同様に、自社の状況、強み・弱みを的確に把握することが第一です。「成長ドライバ理論」という理論・フレームワークに基づく診断システムにより、要改善事項、その優先順位、経営行為による改善効果が伝播するプロセスを正しく把握・予測することができ、有効かつ効率的な経営改善工程を設計することができます。

相互に複雑に絡み合った多くの経営課題を、「改善工程」という明快な処方箋に落とし込み、無駄な回り道や失敗をすることなく、社員が成長し、業績が上がり続ける「良い会社」に近づくことができるでしょう。

私たちが目指す世界。それは、全ての経営者・ビジネスパーソンに世界最先端の統合経営フレームワークを提供し、企業経営の拠り所としていただくこと。さらに、「成長ドライバ理論」や総合経営診断システム「会社の健康診断」が、各社が目指す理想的な会社像を明確にし、全社で共通言語を持って、そこを目指していくことのできる指針として活用されていることです。

社員の幸せを第一に考える経営、そして、経営のメカニズムに沿って的確な打ち手が講じられる経営によって、すべての社員がやりがい、働きがいを感じて仕事に打ち込むことができ、社員が成長し、業務の仕組みが進歩し、顧客への提供価値が上がり、顧客満足が高まる。その結果、会社の業績も伸びる。こうした経営、会社が増えることによって、社会における「幸せ」の総和が拡大すること、そして、もっともっと暮らしやすく、物心両面で豊かな社会が築かれることを目指しています。

それでは、良い会社かどうか、理想とする状態にどの程度近いのか、自社の状況、強み・弱みをどのように診断することができるのか、診断システムについてご説明いたします。

「良い会社」とは。これは、これまでにいくつかのnoteで整理してきたように、「社員を大切にし、社員と会社がともに成長する会社」という言葉に集約しています。そうした「良い会社」に至るまでのプロセスを、これまでに何十社もの事例を通じて見てきました。それらのプロセスを「成長ドライバ理論」のフレームワークに沿って整理してみますと、そこに到達するプロセスはさまざまでした。

例えば、ネッツトヨタ南国さんの場合、メインドライバ「社長」から、同じくメインドライバ「行動環境」へと大きな影響を及ぼしていくところからスタートしていきます。つまり、社員が自分で判断し、行動し、結果を反省し、さらに改善していく。そういう社員が育つような行動環境を徹底して作られている。その結果、お客さまに満足していただける様々な取り組み、システム化・型決め、それからビジネスモデルの改善へとつながっています。ですから、成長ドライバ理論のフレームワーク図で示すと、「社長」から真下の「行動環境」にブルーの矢印が示され、「行動環境」が高まり、さらにそこから「ビジネスモデル」と「システム化・型決め」に影響が伝播するブルーの矢印が示されるということになります。

それから、ホテル志戸平さんのケースでは、どちらかというと「ビジネスモデル」主導型であると言えます。ビジネスモデルが原動力で、「システム化・型決め」へと影響を及ぼしていきます。もう少し具体的に説明しますと、温泉旅館のホテル志戸平さんは、旅館のハード面でのリニューアルを実行したのですが、やはりお客様への接客がとても大事だということで「ありがとう運動」という施策を講じました。システム化・型決めですね。その施策に「ありがとうの詩」を作るという仕組みがあります。それによって社員が育つ。接客を重視するというビジネスモデルが原点。そして、システム化・型決めで「ありがとうの詩」を作るということをやって、それによって社員が育つ。社員が育って、育った社員がさらに「システム化・型決め」をより良くしたり、ビジネスモデルを進化・発展させたりしている。同じように成長ドライバ理論のフレームワーク図で示すと、最初の「ビジネスモデル」から「システム化・型決め」への矢印は薄いブルーとなっています。「ありがとうの詩」づくりという「システム化・型決め」によって社員が育つ行動環境が強力に作られていきます。だから濃いブルー。育った社員がさらにビジネスモデルを進化・発展させるということで、行動環境からビジネスモデルへの矢印も濃いブルーとなっています。

ここでは以上2つの事例をお示しするにとどめますが、その2つの事例からもお分かりいただけるように、「良い会社」に到達するまでのプロセスは多様なのですが、到達した「結果」を見てみますと、プロセスほどの多様性はありません。

したがって、到達した結果の方を見ることで良い会社かどうか、また、良い会社にどの程度近いのかを診断するというロジックが成り立つということになります。

良い会社かどうか、どの程度近いのかは、アンケート調査等によって良い会社に見られる特徴がどの程度存在するのか、どの程度できているのかということを把握して診断します。

そのあるべき姿については、これまでの様々な経営に関する先行研究の結果、また、私がこれまで十数年、経営の現場に深く密接に入り込ませていただき、調査、実験を重ねてきた経験などをベースにしてとりまとめています。

上図に示したものがその例なのですが、これまでの調査研究、先行研究等から明らかになっています。こういうものを生かしてアンケート項目を作っているわけです。

また、こちらが実際のアンケート設問項目の例です。

合計70項目の質問を作成しました。それらに対して、5段階で同意の程度をたずねる5件法の回答方式で聞いています。

アンケートのそれぞれの質問には、各ドライバの状況、程度を推測できる要素が入っています。したがって、全社員によるアンケートの回答結果をこれまでの知見をもとに作成した一定のアルゴリズム(ウェイト付け)を通して集計することによって、各ドライバ、つまり「社長」「経営理念・ビジョン」「ビジネスモデル」「システム化・型決め」「行動環境」、そして、「行動環境」の内訳であるサブドライバ「ストレッチ」「サポート」「自律」「規律」「信頼」のドライバ値、状態を推測することができるのです。さらに、「企業環境分析」「成果分析」「成果」も同様にアンケート設問項目とその回答結果によって状態を診断し、合計100点満点で「会社健全度」を定量評価することができます。

ドライバ間の整合性もチェックすることのできるデータも、統計学の手法を用いて算出、表示しています。

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