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縁側とお茶

婆 おじいさん、お茶が入りましたよ。
爺 おう、ありがとう、どうじゃお前も座ってお茶を飲まんか。
婆 縁側でゆっくり座ってお茶を飲むのもいいですねぇ。
  私の分も煎れてきますね。
爺 あいかわらずお前の入れてくれたお茶はうまいのぉ。

婆 はい、私の分も煎れてきましたよ。
爺 おう、それじゃ隣に座りなさい。
婆 はいはい。
爺 こうして2人で縁側でのんびりすると、
  色々と懐かしいことが思い出されるな。
婆 そうですね。子供も孫もよくこの庭を駆け回ってましたからね。
爺 あいつらももう立派な大人。どうりでワシらも年もとる訳じゃ。
婆 おじいさんはいつもでもお若いですよ。
爺 どこがじゃ。すっかりおいぼれてしまったよ。
婆 お気持ちがですよ。
  知ってますよ。昨日私がうたた寝している時に
  「いつもありがとうな」って言ってくれましたのを。
爺 起きておったのか。
婆 ちょうど起きそうになった時に聞こえてきたんです。
爺 なら、空耳じゃな。
婆 そうですか?
爺 ワシはそんなことは言っておらん。
婆 そうでしたか。嬉しかったんですけどねぇ

爺 それにしてもワシらも連れ添ってずいぶんと経つ。
婆 そうですね。
爺 そして、いつもこうやってうまいお茶も入れてくれる。
婆 それくらいわけないですよ。
爺 それもワシが飲みやすい温度で入れてくれる。
婆 そうですね。
  いつの間にかそうやって入れていくのが当たり前になりましたからね。
  おじいさんは猫舌ですから。
爺 恥ずかしい話じゃがの。
婆 そうですね。ふふふ。

爺 ワシはな。
婆 はい。何ですか。
爺 いつまでも、お前とこうして2人ならんで、お茶を飲みたい。
  だから「いつも一緒にいような」と言ったんじゃ。
婆 おじいさんったら、恥ずかしいですよ。
  でもずっとおそばにおりますよ。
爺 そうじゃな。ずっと一緒じゃ。
婆 はい。

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