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【購入検討者向け】公道を走れる電動キックボードを1年間使い倒しての感想とレビュー

2020年、外を歩くと颯爽と街を駆ける電動キックボードを見る機会が増えたのではないだろうか。今もそのほとんどがナンバープレートを取っておらず、厳密に公道走行が認められてはいないが、今後の普及を予感させる雰囲気もまた感じる。

筆者は、2019年11月に公道走行の要件を満たしたものを購入して、実際に1年間日常の移動手段としてほぼ毎日使ってきた。その中で普通の住宅街から幹線道路まで一通り走り、トラブルやメンテナンスも一通り経験したように思うので、今後、購入を検討される方向けに所感とレビュー記事を拙文ながらザァーっと書いてみたいと思う。

購入までの経緯(レビューを見たい人はスキップ)

もともと2019年の頭あたりから、欧州を中心に移動手段の一つとして大衆に浸透してきているようなニュースを見聞きしていて、欲しいとうっすら思っていた。

というのも、筆者は、自転車が主な移動手段の生活スタイルだったため、この自転車を漕ぐのが電動キックボードに変わったら相当移動時の負担軽減になるだろうという期待が大きかった。

ググると、日本では法整備がまだ進んでおらず、今の法律に照らすと、要件を満たすために方向指示器や前照灯、速度計などを具備する必要があり、個人が改造などで部品を集めてセットアップするにしてもなかなかハードルが高く思われた(Facebookで検索するとその頃に改造してナンバープレートをとっている人もチラホラ見つかった)。実際に検索しても販売しているのは公道は走れない旨の注釈付きのものがほとんどで、自分の利用用途と合うものはなかなか見つからなかった。

自分の場合は、以下の2点を重視して当初から合法で公道走行可能なものを探していた。

1. 取り締まりが強化された際に乗れなくなる可能性
2. 厳密には違法に当たる場合は、やはり乗っていて心地よくないし、堂々とできない気持ち悪さが容易に想像できたこと(筆者が旅館業や民泊関連の事業をしていることもある)

ちょこちょこ販売情報などを検索する中で、2019年11月に公道を走れるタイプの電動キックボードが販売開始になるというプレスリリースを見つけて、即購入した。当時はクラファンなどしているプロジェクトもあったが、実際に手元にくるまでの早さでいくと、筆者の購入元のネット購入がおそらく一番早かったはずである。

購入したもの

https://zero9.hop-on.jp/

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元のメーカーはシンガーポールだが、サイトを比較した感じだと、日本の専門の販売代理店が、原動機付自転車として公道走行できるように後射鏡や番号灯、方向指示器を取り付けているように見受けられる。

最高時速も40km/時、連続稼働も40kmというスペックなので他のものと比較してもハイスペックの部類に入ってきそうである。

購入から公道を走るまでの流れ

購入して、2週間くらい待って無事届く。

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購入しても、ナンバープレートを取得しないと公道を走れないので、12月半ばに区役所に出向いてナンバープレートを受け取った。ナンバープレートって、想像の通りアルミ素材のものだが、区役所の執務ゾーンからすんなり出てきて申請からものの5分ほどで受け取ることができた。

ただ取得した自治体でも初めてだったようで、最初は事務の女性に"タイヤの大きさがわからない"とか"信頼できる情報源がない "とか言われ、頑なに断られる状況で、申請にあたっては結構ゴタゴタであった。大手の市場に流通しているものと異なり、要件に適合しているか自治体側も確認しにくかったようだ。一個役職が上の人を呼んでもらって、製品のサイトURLを確認してもらいやっと認めてもらった状況であった。粘らなければ手持ち無沙汰で帰るところだっただろう^^;今後、取得される方は取扱説明書の持参とURLを提示できるように準備して行かれることを強くお勧めしたい。

あとは、原付扱いなので、自賠責保険に入る必要があり、これはコンビニなどで手軽に加入手続きができた。

乗った感想

これは購入時から今まで変わっていない感想である。総合点としては、自分のライフスタイルに移動革命が起こったので、2019年のベストバイであり、満点である。

細かい点としては、ブレーキ、アクセル、ライティングは特に問題なし、ブレーキは自転車と同じようにグリップを握った状態から奥のレバーを手前に引くことで作動する。アクセルも右手側にあり、グリップを握った状態で、人差し指だけアクセルのレバーにかけて調整ができる。ライトは走行開始時に速度メーターのボタンを押すだけ。

問題だったのは方向指示器のOn/Offである。こちらはグリップの両端についていて、充電式のものだが、点灯させる際に、端にあることから、握っているグリップを横にずらして小指で押す、もしくは、一度手を離して人差し指で押して点灯させるという2択に自然となると思う。できればグリップを握った状態で操作できるのが理想であり、この点は、走行時毎回操作性の悪さを1年経った今でも正直感じる程悪い。

あとは、タイヤが自転車より、原付よりはるかに小さいため段差と衝突するとおそらく跳ね返されて点灯することになると思う。タイヤがあと3-4倍大きくないと段差はどうにもならないだろう。

検討者に推したいポイント

▶︎自転車との比較
想像に難くないが、自分は自転車ユーザーであったので、短中距離移動において体力の消耗が減り、目的地への到達時間が少し早くなった。自転車利用者が、電動キックボードに切り替える場合はこの点を強く推したい。電動キックボードの場合は、道路交通法を当然ガチガチに守って走行するので、自転車が事実上無法走行できるような現状と比較すると走行の自由度は落ちるものの、それを踏まえても得たメリットはかなり大きく感じた。

▶︎原付との比較
いわゆる原付に乗ったことがないので当事者として語ることはできないが...
電動キックボードは片手で持ち歩けるぐらいに折りたたむことができるので、階段を上げたり、屋内、自宅に入れる携帯性、保管容易性がある。写真はなっていないが、ハンドルも折りたたんで畳むことができる。また、道路交通法の扱いはどちらも現状は原付のため、上限速度や守るルールも同じだ。原付の方は、走行時は座位を取るので比較すると消費カロリーは電動キックボードより低いかもしれないが、正直そこまでかなと。走行時の起立姿勢に懸念がある人や、かなり長時間走行する場合を除いて電動キックボードに軍配があがる気がする。
他には電動キックボードは電気で充電、いわゆる原付はガソリンスタンドという相違もある。

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検討者に留意してほしい点

自分の場合は、うまくライフスタイルとフィットしたのだが、人によっては、常用を意図して購入しても、うまく日常に組み込まれず倉庫行きになってしまうボトルネックがいくつかあるように感じる。下記で書き出してみた。

▶︎重さ
重さが18kgなのだが、これは冗談抜きに軽いとは言えない重さである。基本的に折りたたまなくても使っていけるなら良い。ただ、折りたたんで運ぶ必要のある場面が多いと結構負担になるように思う。男性なら良いかもしれないが、この体積で18kgというのは、普通の平均的な女性であれば、使うのをやめてしまうレベルの重さだと思う。

▶︎走行距離
走行距離40kmとあるが、これはあくまで最長である。走行時は付帯している速度メーターにあるバッテリー残量を見るしか方法はないのだが、最近だと16kmぐらい走行したところ5分割されたバッテリー目盛りが残り1になっている状況だった。この点は1年間利用したからではなく、購入当初からのものであった。果たしてどのくらい走れるのかはわからないが、バッテリーの目盛りが残り1となると、正直不安にもなる。40kmを走行する遥かに前にバッテリーなくなりそうな状況になる点は留意しておいた方が良いと思う。また、バッテリーが減少するにつれてモーターの馬力もちょっとずつ弱くなっていくような印象がある(別にだから不満とかそういうことは一切感じていないが)。

▶︎充電・保管場所の確保・また動線確認
日常利用する場合は、上記の点からも結構頻繁に充電利用することになると思う。目盛りの目減りは早いので、走行時安心して走るためにも小まめな充電をお勧めする。そのため、充電兼保管する場所がどこになりそうかというのを予め考えておいた方が良いと思う。屋外保管であればコンセントを伸ばせる場所があるか?玄関まで持ってきた時に玄関の十分な動線を毀損しないか?はよく考えておくべき。
また、集合住宅住まいで上階に住む人は、おそらく自宅玄関に持ち込むことが多くなると思われる。エレベーターに乗る人は動線において、共用部ルールに違反しないかとか、畳まないで大丈夫かというのを一回考えた方が良い(毎回畳むのは特に女性の場合はかなり負担が大きいと思う)。

ちなみに筆者はこんな感じで玄関保管である。

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▶︎いく先々での保管場所
同じように利用して行く目的地が決まっている場合は、そこの保管場所がどこになるのかというのを予め押さえておくべきである。

▶︎雨天
自分も後から気づいたのだが、FAQにもあるように、防水ではない。これは、ボトルネックにはならないが、駐輪場所が外になってしまう場合は、一緒にカバーも購入した方が良いのでこちらも最後に書き添えておきたい。

ちなみに、自分は雨天で駐輪して放置したり、豪雨の中で走行した経験もあるが、今のところはそれに伴う故障や問題は幸い起こっていない。

その他、耐久性やメンテナンス、かかった費用

▶︎警察
3回くらい留められた。だが、もちろん完全合法なのですぐにリリースされた。

▶︎どのぐらい乗って今の状態はどのような感じか
おそらく筆者の利用は下記のような感じだと思う。
2020年1月から5月くらいまで:週平均5日、1日あたり8km
2020年6月から9月まで:週平均6日、1日あたり6km
2020年10月から12月まで:週平均6日、1日あたり2km
今のところは購入当初と変わらず大満足で乗ることができている。
ただ、上記の走行距離に対してメンテナンスが多少生じているので下記をチェックしてほしい。

▶︎1年間で生じたメンテナンス
- タイヤの交換
空気の補充は1ヶ月に1度程度していたが、半年ほど経ったときに、一度後輪がパンクした。このときはサポート対象だったので、送料だけ負担して、タイヤ交換をしてもらった。だが、そこから1ヶ月後に、まずは前輪が、そしてまた1ヶ月後に後輪がパンクした。空気の補充が面倒だったので、パンクレスタイヤ を公式ショップから注文して購入した。
タイヤ交換は、案内の動画もあり、DIYでできるが、結構重労働である。スムーズだと1時間程度、長いと2、3時間はみた方が良いと思う。また、前後輪合わせて4種類くらいレンチ、ドライバーを準備する必要があった。
走行体験にほとんど影響はないが、細かいことを言うとパンクレスタイヤ は元々セットされていたものと比べると細く公道の塗装部("止まれ"とか)や車線に乗るとタイヤが順応しきらず外に押し出されるような事象が起こるように感じる。パンクするとかなり面倒なので、可能なら最初からパンクレスを指定して購入するのが良いと思う。

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-方向指示器の紛失
方向指示器は、充電・はめ込み式なのだが、走行時に落下することが何回かあり、その内一回は後続車もおり簡単に止まれない状況だったのでそのまま紛失した。コイルを回してゴムを圧迫して厚くして固定するのだが、空気圧によっても多少緩くなったりして落ちることが多いように思う。

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- ハンドル部分の高さ調整
ハンドル部分が高さ調整できるのだが、半年ほど経つと、高さを固定するために締める部分が緩くなってきて、東急ハンズで専用の工具を購入。

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▶︎1年間でかかった費用
本体購入:¥112,495
ヘルメット:amazon ¥4,741
自賠責:¥12,600(3年間分)
パンクレスタイヤ : ¥3,500*2 = ¥7,000
方向指示器(片方) : ¥2,000
修理に必要なドライーバー・スパナ:合計で ¥4,000
高さを固定するための工具:¥1,500
合計:¥144,336

最後に

個人的には、電動キックボードは本当に感動的で、お値段以上の価値を感じることのできた購入体験であった。今、購入検討している方がいれば、本記事が参考になればこの嬉しい限りである。もし、何か懸念事項や他に聞きたいことがあれば、コメント欄から教えていただければと。ありがとうございました。

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