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微熱を保つ

誰かを好きになるときは微熱でいたいなぁ、と思う。

一方的に「あなたがやっている活動は素晴らしい!!」と、制作物も普段の暮らしも見たことがないのに(多少知ってくれている人は、そんな無責任な褒め方をすることはない)、わたしを肯定してくれる人がいて、ありがたいんだけども、とてもとても苦手だ。

その何も根拠のない「素晴らしい!」はここから上昇しすることはなく、勝手に下降して「がっかり」されてきたから。

初速を上げすぎて、熱烈な感情をぶつけると、そこから時間とともに下がっていく熱のスピードも速くて、勝手に平熱以下になってしまうような気がする。

◇ ◇ ◇

離れてるけど大切な友達が何人かいる。
あまり会わなくても、ちょっと特別な友達。

大人になってからできた友達とは、少し高めの微熱でずっと付き合えるのが理想だな、といつも思っている。

だけど、時折予想だにしない高熱で、急速に距離が縮まるような人に出会うことがある。
時間を忘れて話し込んでしまったり、二人の熱のやり場を持て余してしまうような。

そんな友達ができてしまったものだから、なんだかとても怖かった。急速に冷めたくないし、ずっとじわじわ微熱を保っていたい。

「住んでいる場所が遠い」という物理的な距離は、否応無しに頭を冷やす時間を作ってくれた。「移動」は友達を傷つけない。

◇ ◇ ◇

いつも「また日本のどこかで」と別れる。
でもそれは社交辞令じゃなく、会う人には本当に『どこか』で会い続けてきた。

次に会うまでに恥ずかしくない自分でいようとか、なんとなく背中がぴっとする。

そんな友人に久しぶりに会えて、とても嬉しかった日。


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