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① 続・『人生初めての手術はメキシコでします』

一月初めに『人生初めての手術はメキシコでします』という題でアマゾンから電子書籍を出した。 友人たちが術後の経過を心配してくれるので、「続編」をここに書くことにした。

退院してから5日目に、私の担当医のポール医師から、短いメールが届く。「病理検査の結果が出た。すぐ、会いたい。いつ来れる?」

"más pronto posible"(できるだけ急いで)という言葉が気になる。

翌日ポール先生に会いに行く。

ポール先生は、普段よりもっと真剣な、かなり険しい表情をしていた。

「悪性の腫瘍だったよ」

「すぐにキモセラピア(化学療法)を始めたほうが良い」

なんとなく予想がついたとはいえ、「はい、そうします!」とはすぐに返答できない。

まずは、スペイン語で書かれた医学用語でいっぱいの検査結果を、日本語に翻訳して自分なりに理解したい。 

ポール先生がすすめている化学療法のこととか、他の治療方法についても調べたいし。

「インドへはすぐに行かなくてもいいだろう?」 

春頃には、私がインドへ行く予定であることをポール先生は覚えている。

「今年一年、治療に専念して、三十年、長生きすればいいじゃないか」

心の中で、「そういうものかなぁ」ってつぶやく。なんとなく腑に落ちない。

ちょっと自分の頭で考えたい。

(つづく)








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