思想もお洒落じゃん?


1.思想はお洒落だ

 思想もお洒落の一部ではないか、最近私はそう考える。見えない下着も気を使い、香水も振りかけるのなら、やはり思想だって十分にお洒落になりうる。というより、そもそもファッションというものは政治思想を孕んでいる。代表的なのはパンクファッションやヒッピーファッションだろう。もしかしたら最近は、地雷系ファッションも入るかも知れない。その人のファッションを見れば、社会的にどう見られたいか何が好きかが、ある一面だけだとしても、一目でわかる。

2.反戦運動

 現在世界では悲しいことに戦争が起きている。日本国内には反戦運動をしている頼もしい方々もいらっしゃるが、「日本政府ではなくイスラエルに言いに行け」など的外れもいいところな批判を受けている場面を多く見かける。これについての言及は今回は避けるが、要するに反戦運動は「迷惑」だと言われているのである。ここで「迷惑上等!反戦運動するよ!」という人は多くない。時間的・経済的余裕が国全体にないからだ。何も反戦運動を黙ってみている人の多くは、反戦に反対しているわけではない。政治に無関心なわけでもない。その運動に参加するリスクを重々承知しているために、「そちら側」に行けないのだ。


3.相応しい服装

 ところで会社に通勤する際、皆さんはどんな服装をしているだろうか。家や休日と全く同じ服装で通勤する人は多くはない。大体はスーツやオフィスカジュアルを着ているだろう。要するに奇抜ではない、誰の迷惑にもならない服装でいろ、こんなところではないだろうか。思想も同じように考えられるのではないだろうか。わざわざ会社で濃い政治の話をする人に対して、大半の人はとんがっていると感じると思う。そして多くの人はそう思われたくはない。ましてや守るものがある人にとってはなおさら、現状を揺るがすアクションは、今の世の中では取りづらい。相応しい服装でいたいのだ。


4.それでもお洒落に

 しかし反戦運動はするべきである。なぜなら戦争が自然消滅することはないからだ。もっと言えば、戦争は外交でもある。権力側が一つの小さな人権を、大きな利益の前でいちいち大切にすると思わない方がいい。それは何も他国に限った話ではない。私たちの話でもある。
 政治主張よりももっと奥で「いいな」と思える作品、例えば服や装飾品、ステッカーなどを身につけて、ついでに反戦をファッションとして見せるのはどうだろうか。つまり、純粋に素敵だと思えるものを身につけて外に出ることで、他人にほんの少しでも影響を与えようという、消極的運動を提案する。例えば会社や学校で他人に指摘されても、自分の思想を開示したくない相手には、「これ可愛くてつけている!」など言えるものでも、多くの人がずっと付けていれば、十分に反戦運動になりうる。即時停戦させるほどの力はないだろう。しかし心地の良いものは、偏見や抵抗感を和らげることはできる。


5.心地よさ

 以前に左翼的運動を行っている人は、汚らしくて近寄りがたいという意見を見た。人を見た目で判断するなという言葉はあるが、私は身なり服装で人をある程度判断することは仕方がないと思う。それは身を守る術でもあるからだ。
 思想はもっと心地よい方法で垂れ流してもいいのではないだろうか。お洒落の一部として楽しんでもいいのではないだろうか。どんなに良い主張でも汚らしく過激に主張されれば、怖い。その怖さや強さが必要な側面もある。でも一方で、もっとソフトな面で楽しみながら主張していくのもありだと思う。


6.事実の持つ力は強い

 戦争は悪だ。毎日多くの人が死に、子供が泣き叫び、土地は荒廃する。目を向けることは大切だ。一方で、この事実は大きなストレスになりうる。みんながみんな、ズダボロの人間や土地を直視できる心を持っているわけではない。生まれつき、PTSD、日常生活でのストレスなどでこの事実をありのまま受け止められない人もいる。これは人間の誰もが持っている生きるための術であって、この防衛機制の程度に差があるということだけである。戦禍の人々の命を守ることと同様に、戦禍にいない人々の精神も守る必要があると私は思う。反戦運動をする人々は素晴らしい。しかし耐性がない人に剥き出しの事実をぶつけて、悲惨な現実を見ないのはおかしい!見るべきだ!というのも違う。彼らは彼らで、明日を生きるために心を守らなければいけない。彼らは何も戦争を容認しているわけではない。むしろ嫌悪している側だろう。しかし反戦運動が常に戦争と隣り合わせなら、戦争を遠ざけるために反戦運動も一緒に遠ざける行動をとるだろう。もしソフトな反戦運動ならば、彼らにも受け入れられやすいかもしれない。

まとめ

お洒落に反戦運動をしよう。ちょうど夏も近い。スイカグッズを持っていたっていいじゃないか。涼しげで、夏らしく、パレスチナの闘争のシンボルと同じだ。主張はシンプルでいい。人を殺すな、戦争をやめろ。右翼か左翼かなんてなんでもいい。歴史的背景なんて今はいい。主張はシンプルで行こう。めんどくさいことは全部置こう。思想をお洒落に使っちゃえ。少しでもほんの少しでもよくなるように、消極的ながらも運動しよう。

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