大村ブランドについて

「大村市」を外部に売るのはどうしたらよいのだろう?
こういうのは「シティセールス」といって行政で取り組んでいるところも多い。

簡単に言うと「大村」をブランドとして確立するって事なんだけど、問題は何を主軸にするか?ってとこ。その地方を代表するイメージをどう構成して外向けにアピールするかって事なんだけど、簡単ではない。

まずは現状の分析から。大村在住者に「大村のイメージは?」というと実にさまざまな回答がある。食なら大村寿司・なまこ・果物類・黒田五寸人参など、伝統工芸品なら松原鎌とか、流通なら空港と高速インター、もうすぐ新幹線駅もやってくる。自然なら山と大村湾、長崎ではめずらしく平野部も多い。まあ、実に豊富なリソースを持っているように見える。

でも、こういうのって多分外側から見ないとダメなんだよね。
私は大村在住は10年に満たない。いわば新参者。で、諫早に10年以上、長崎市内にも長く住んでいたけど、近隣都市から見た大村のイメージは「通過する町」なんだよね。

上記の多くのリソースについては、ほとんど知らなかったし、名前ぐらいは知っていてもわざわざ求めるほどの魅力は感じなかった。大村寿司が名物なのは知っていたけど、大村までやってきて食べようと思ったことは一度もない。普通の押し寿司と区別がついてなかった。夏越し祭りにしても花火は見に行こうと思ったけど、帆船祭り・諫早川まつり・ハウステンボスの花火・島原の花火などと比べて特別優位性を感じた事はない。タイミングが合えば見に行くかな?という程度。この辺の事は長く大村に在住している人と議論すると、なかなか通じない事が多い。それなりの自負があるので、「いや、そんな事はない」と反論を受けてしまい、議論が先に進まない。

九州以外の人に聞くと、「長崎」は認知度が高いけど「大村」は格段に認知度が落ちる。前にアンケート取ったことがあるが、長崎の認知度はほぼ100%に対して、大村は10%にも満たない。
県内だと長崎市は鎖国・オランダ文化・出島・坂本竜馬・中華街・原爆・くんち・精霊流し・ランタン祭りなどで認知度が高い。
佐世保は米軍・自衛隊・よさこい・佐世保バーガー・ハウステンボスなどで、
島原はそーめん・原城(天草四朗)・自然で、
五島は釣り・隠れキリシタン・自然で有名。
このあたりまでは九州圏外にも良く知られている。認知度が高いということはブランド価値があるということ。

一方の大村は上記の地方と比べてかなり認知度が低いのが悲しいけど事実。長崎空港が大村にあると知らずにやってくる観光客も多い。それも当然で、空港から下りたらそのままリムジンバスで長崎やハウステンボスに移動しちゃうので、大村を認知する必要がない。

この辺は関空と泉佐野の関係にちょっと近いのかも?
我々もよく関空を利用するけど、橋を渡った先の泉佐野についてはほとんど意識していない。目的地が大阪とか京都なので、泉佐野はたいていの場合「通過する町」である。
以前、朝一で関空を利用する際、泉佐野に宿が取りにくいのに驚いたことがある。多くの人は大阪あたりに宿泊し、時間の余裕を見て関空に移動、もしくは伊丹を利用するのだろう。朝一でチェックアウトできる宿が泉佐野であまりヒットしなかった。
これ、実は大村も似た状況だったりする。大村は宿泊施設が少ないので、国際コンベンションなんかを実施する際には宿の確保が市内ではカバーできない。

空港から下りた観光客に「大村で止まる理由」を作ってあげないと、せっかくの空港の町としての利点を活かせない。
そんな中、「スナメリプロジェクト」という、大村の魅力を映像で発信するという試みがスタートするようだ。これは非常に楽しみ。
映像の拡散効果は高い。うまく大村のアピールができるような作品が生まれればブランディングの手法として期待できる。

できれば、単発ではなく毎年「ショートムービーの祭典」のような位置づけのイベントにすることができればコンベンションとしての集客効果も望めるかもしれない。最初はご当地アピールのクローズドなプロジェクトで出発しても良いので、どこかで定常的に開催される国内イベントに発展させることができればいいな~、と思っている。

突飛な話だが、例えば映像クリエーターに対する優遇措置などを取って(場所・機材の提供・税制の優遇・補助金措置など)、大村を次世代のクリエーターが集まる場所として設計するのも面白いと思う。
映像関連のコンベンションを開催し、映画館などの上映できる施設を整備する、ロケ地としてアピールする、大学の関連学部を誘致するなど。
これ、本腰入れてやると10年ぐらいしたら結構面白い状況が生まれてくると思う。

県立図書館もやってくることだし、いっそのこと「国内最大の映像アーカイブを」なんてプロジェクトを立ち上げてもいいかも? 

文化・地方の自然・伝統などをリソースとしてシティセールスに使うのはいわば「過去の資産を活用」する手法。残念ながら、魅力あるアイテムはあるものの、近隣の長崎や佐世保・五島などの同様のアイテムと競うと勝ち目が薄い。
それなら、新しい価値を将来に向けて開発して行くのが良いかもしれない。以前は大規模宅地開発とか、工場誘致とかいうハード的な政策が中心だったけど、もうそんな時代でもないし。ソフトとネットワークをうまく構築することで地方都市の魅力を構成することができればいいな。

長崎市内では軍艦島という魅力的なリソースがロケ地として脚光を浴びつつあるし、もともと映像化しやすい環境でもある。南島原では有名な映像クリエーターが居住し活動を始めている。佐賀はフィルムコミッションの活動のせいかユニークで魅力的な映像作品を作る事例が最近目立つ。また、NPOが映画館を運営しながらコミュニティを形成しつつあると聞いている。宮崎でも大規模NPOが映画館運営などに成功していると聞く。沖縄の映画祭も定着してきた。
九州各地でもこうした映像関連のプロジェクトがそれぞれに進行しているのを見ると、チャンスは「今」かな?と思う。 

今や、一眼レフ一台あればそれなりのクオリティで動画が撮れる時代だし、情報発信の方法も充実しつつある。あとは企画次第で結構面白いプロジェクトができそう。さて、どっかつついたら乗ってくれないかな?(*^_^*)

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