『においが心を動かす ヒトは嗅覚の動物である』 第3章までのまとめ

『においが心を動かす ヒトは嗅覚の動物である』を読んでいる。
第3章になって、ようやくおもしろくなってきたので、メモ。

1991年に嗅覚受容体遺伝子が発見されたことで、嗅覚の研究は一気に神経科学の主流に躍り出ることになった。これまで容易でなかった研究に、突然に資金が集まり、研究者の数も激増していく。そして観察できないものを視覚化し、不確かなものを測定できるツールが開発されたようになった。つまり、この20年でこれまでの数百年のすべてを合わせたよりも凌駕する成果が得られたのだ。

匂いの化学物質の感知は2通り
鼻から息を吸うときに起こる「オルソネーザル過程」と、飲み込んだあとに肺からくる空気によって、口腔内に風味分子が鼻上皮にたどりついて起こる「レトロネーザル過程」。

このレトロネーザル過程は、ヒトなどの霊長類だけの能力である。
進化の過程で、鼻の中にあった薄い骨がなくなったことによって可能になった。

肺からくる温かい空気の温度、匂い分子の速度など個人差があり、雑に言えば、レトロネーザル嗅覚によって、匂いの感度は個人によってちがうわけだ。

たとえば、コーヒーの香りが約655の揮発性成分があり、その中には強い排泄物臭が含まれている。特定の匂いへの嗅覚感度が強い、たとえば妊婦などが知覚している可能性は高い。

また、知覚処理の問題もある。視覚のように違いがある程度わかる