猫同士の言葉ではない意志疎通を観察する
猫サイトでは、大人の猫は、ヒトに対してしか鳴くことはないと言われています。一方、猫同士はというとまた別な方法をもっているようだ。
猫同士のケンカとか興奮のあまり声を発するのとはまた別な話のようです。そんな中で見える、猫のコミュニケーションの現場を書いていきます。
猫の紹介
保護団体から仲のよい猫二匹を譲りうけた。血縁はない。おそらく同い年だろうとのこと。
ゴブは家の階級では最上位に君臨する。なでたいときにしかなでさせない。冬場は膝にのる。なでてもらいときはかわいい声をだすが、ごはんが欲しいときは、ヒトが気にさわる声をあえて出す。爪切り、歯磨き時などイヤなときは、全力で立ち向かう、あるいは逃げる。外猫がきたら自宅警備員として立ちはだかる。
ガボは小心者。ヒトが話かけると必ず返事をする。おねだりの際、声も出すが、さわってもくる。しかし、爪があたって、痛くて叫んでからは、そっと手をおくようになった。膝にのるのは苦手だが、なでられるのはいつでも大歓迎。爪切り、歯磨きなどイヤなときは逃げる、あるいは無抵抗。外猫がきたら、ゴブの背後にまわる。
ケース1 マウンティング
ゴブとガボでは体重の差は1kgあるが、ゴブの方が強い。毎晩、小競り合いもしているが、ほとんどゴブが勝つ。
その後、しばらくするとゴブがガボの首根っこを噛んでじっととまる行為が発生する。は2、3年前から始まったこの行為には儀式めいた手順がある。
夜、冬場は風呂場で、最近は二階の廊下で行う。ガボが寝ているとゴブがやってくる。しばらくゴブがガボに寄りそい、ガボをなめ始める。そうするとガボがしっぽを床に何度もリズミカルにたたく。やがて、ガボのウニャウニャという声が聞こえ、静かになるとマウンティングが始まる。
ただ最近は、ゴブがずっとうるさいと、「うるさいっ」的な声をあげてこうなるようにもなった。
ケース2 ごはんを譲る行為
強い者がご飯をいっぱいとるというのは、よくあることだ。ただ、その際、妙な間合いが観察された。
ごはんをあげるとまずひと口、ふた口食べる。そのあとお互い見つめあう。また食事に戻る。半分くらい食べると、ゴブがガボを見つめ、ガボは去ってゆき、ゴブはガボの分を食べ始める。ゴブが残したものをガボが食べる。
これがウェットフードの場合。
夜のドライフードの場合は、一緒にごはんの催促をするのだが、あげるとゴブが食べるあいだはガボは退場。ちょっと遠くでゴブが食べる様子を観察したり、二階にあがる。ゴブが退場すると、ささっとやってきて少し食べる。その様子をゴブが遠くで見てまた入れ替わる。それが2回ほどつづく。
ガボがゆっくり食べる環境を作るのはなかなか難しく、逃げた場所であげるなどはするが、あまり食べたがらない。分けて食べさせようともしたが、うまくいかなかった。
ただし、フードが気に入らなければ、この行為はどちらにもない。また、ほんとに大好きなフードであれば、ゴブがどんなにメンチをきってもガボはゆずらない。
さらにいえば、ガボの体重はゴブよりも1kg重い。
ケース3 外猫がきた
なんの手入れもしていない庭にときどき、猫がやってくる。ヒトは気づかないが、ガボとゴブがものすごい勢いで階段を下りてくるので、猫がきたのだとわかる。
ある日、一階にいたガボが大急ぎで二階に駆け上がると、すぐにゴブを連れてきた。外猫がやったきたのだ。この場合、どういう方法でガボはゴブに知らせたのだろうか。
まとめ 猫の観察はおもしろい
最初の数年間はガボの方が強かった。なので時間がたてば立場も変わるかもしれない。上下関係はそれなりにあるけれど、仲よくやっている。
どちらかが病院に行って帰ってくると、まずグルーミングをする。あるいはいないと騒ぐ。
この二匹もシニアになりましたが、今後の猫医学や猫研究情報を気にしながら長生きしてもらいたいと思います。