なぜRPAで起業した私がプロセスマイニング領域にピボットしたのか〜日本の生産性を上げるカギ「業務可視化市場」の可能性〜
はじめまして。業務改革クラウド株式会社の代表取締役の与田明です。
私は主に企業のオフィス業務の自動化・業務改革支援、業務可視化SaaS『業務改革クラウド』の開発・運営を行なっています。
その中で現在注力しているのが、業務のプロセスを可視化・分析する「プロセスマイニング」事業です。
業務可視化で得られたデータを収集・分析し、ソリューションまで提供することで、日本企業の業務改革に挑戦しています。
創業して5年目を迎え、あらためて私がこの事業にかける想いについてお話しさせてください。
プロセスマイニングは“ブルーオーシャン”となりえるのか?
創業当時から、自動化支援や人材教育などさまざまなアプローチで業務改革に取り組んできました。そして2020年に「Arkプロセスマイニング(現:業務改革クラウド)」をリリースし、プロセスマイニング事業を始めました。
なぜ、私がプロセスマイニング事業に舵を切ったのか――2つの理由をお話します。
1.成長性が見込まれるプロセスマイニング市場
まず、プロセスマイニングは、今後の成長性が見込まれる市場です。
プロセスマイニングは欧米の先進企業を中心に導入が進んでいます。たとえば、アメリカのライドシェアサービスUberでは、オペレーションの工数削減や顧客体験の向上といった成果が得られています。
ほかにも、ドイツの車メーカーのBMWやテクノロジー企業のシーメンスなども、プロセスマイニングを導入して大きな成果が出ています。
市場規模では2022年の世界のプロセスマイニングソフトウェアは1,582億円であり、2023年から2030年の年平均成長率(CAGR)は49.4%、2030年の市場規模は3兆8,808億円に成長する見通しです。
市場規模から、いま、プロセスマイニングビジネスに参入するメリットは大きいと感じていることが理由の1つです。
2.労働人口減少に伴う「業務自動化」の需要
もう1つは、労働人口が減っていく日本において、業務自動化の需要が見込まれるからです。それに伴い、自動化の前段階にあたる可視化も重要だと考えています。
日本の少子高齢化に伴う労働人口の減少は、多くの企業が認識しているよりも深刻な問題です。実際に、2060年までには日本の労働人口が半数近くまで減少するというデータが、総務省から発表されています。
さらに近年、DXをはじめとする企業のデジタル化のニーズや、これから少子高齢化社会へと向かう日本こそ、より業務の効率化が求められるようになるのです。
そんな日本では、業務自動化の技術である「RPA」の市場は成熟してきています。その一方で、業務を可視化するプロセスマイニングはまだ成長過程にあります。
※RPA…Robotic Process Automationの略。コンピューター上で行われる業務プロセスや作業を自動化する技術。
実際に、MM総研の最新データ「RPA国内利用動向調査2022」によると、RPA導入率は年商50億円以上で45%と、大企業を中心にRPAが浸透しています。
私は、プロセスマイニングはRPAと同じような軌跡を辿ると予想しています。欧米ではRPAの後に、プロセスマイニングの導入が進みました。
そんななか、先駆けて日本市場に参入することで、圧倒的なシェアを獲得できると確信しています。
RPAだけでは業務改革が進まない日本企業
日本企業では業務の自動化以前に業務可視化に根本的な課題が見えてきたことも、プロセスマイニングを取り入れるきっかけでした。
少し話は遡りますが、私は大学在学中にRPAを学び、これまでにRPAの受託開発や事業の立ち上げを行なっていました。起業当初はRPAの専門家として、業務ヒアリングを中心に可視化から自動化を進めていました。
しかし、「誰がどんな業務に、何時間従事しているか」を可視化するまでに非常に工数がかかっていました。そしてこの非効率な方法は、現在多くの企業で行われている“業務可視化”の方法です。
また、自動化できるはずの業務を聞き漏れてしまったり、ヒアリングで聞いた優先順位が高いものは、実際はあまり時間がかかっている業務ではなかったこともあります。
特に日本は海外と比較し人材の流動性が低く、暗黙知の業務や業務の属人化が発生しています。
これらの課題を解消するために、弊社では日本独自のプロセスマイニングツール『業務改革クラウド』を開発。海外製にはない、個人・部署単位で細かい業務ログの分類が可能な仕様にしています。
可視化はあくまで業務改革の“過程”です。業務改革クラウドは、可視化後の業務改革まで導くのがサービスの価値だと考えています。
業務可視化データから新しいソリューションを生み出す
私がプロセスマイニングに可能性を感じているのには、もうひとつ理由があります。可視化された業務データから、どの企業でどのような業務課題があるのか把握することが可能になる点です。
近年、GoogleやAppleでは広告の利便性を高めるために、利用者の閲覧履歴をもとにデータを収集・使用することで、個人の興味関心に基づく広告が表示されるようになりました。
他の企業も同様にユーザー情報を集めていますが、現状、BtoCビジネスでの利用に留まっています。一方で「BtoBビジネスでも活かせるデータがあれば、もっとおもしろいのではないか」と考えるのです。
たとえば、「受注後の申込書をシステム入力する作業に時間がかかっている」「顧客向けての定期レポート作成に時間がかかている」など業務負荷を定量的に把握することができれば、ニーズに合わせた最も効果的なシステム提案ができます。
業務可視化で得られた情報をビッグデータ化したい。
そうすることで、弊社が目指すサービスやソリューションの選択肢がますます広がっていくと感じています。
スタートアップだからこそできる、純国産のプロセスマイニング
ここまでプロセスマイニングについて熱く語ってきましたが、なぜ日本では浸透していなかったのか――それは、海外製のプロセスマイニングでは日本の企業が使っているシステムに適応できないからです。
海外では多くの企業が、SAPやSalesforce(セールスフォース)など有名なシステムを共通して使っているので、システムに接続してイベントログの取得が容易です。しかし、日本の場合は自社で作ったシステムやマイナーなシステムを使っている会社が多く、従来のツールではログを取るのが困難でした。
『業務改革クラウド』では日本の特性に合わせ、システムからではなくPCの全体の動きから業務ログを取得し、分析ができます。
また、効率化すべき業務の時間や手順を明らかにするプロセス解析に加え、費用対効果を定量的に測定する機能も兼ね備えています。これにより、業務改革のPDCAサイクルをしっかり回せるシステムとなっています。
さらに今後は主要な国内ツールとの連携に幅広く対応することで、純国産のプロセスマイニングを掲げ、日本企業に選ばれるサービスを目指しています。
業務改革クラウドが目指す未来
「失敗しない業務改革ができる」
これまでお話を聞く中で、残念ながら「業務自動化に失敗した」「効果が出なかった」という企業様もありました。だから、弊社は何よりも「業務改革に失敗しない」ことが大切だと考えています。
業務効率化のツールはすでにたくさんありますが、弊社を選んでいただけるよう、業務改革の前段階から成功まで企業と一緒に伴走します。
また、創業して4年半経ちますが、クライアントからメール対応にかける時間や長時間の会議を減らしたいといった、従来のツールでは自動化できないようなご要望も聞いてきました。自動化が難しい業務においては、可視化したデータをもとに業務の最適化にも挑戦しています。
業務改革クラウドは、企業の目標設定からコミットし、可視化後もその企業に合ったサービスを今後も展開していきます。
2023年8月29日(火)19:30から2023年9月14日(木)22:00まで株式投資型クラウドファンディングにて資金調達を行なっています。
現在、目標金額の85%まで到達しています。
私の事業や想いに共鳴いただけましたら、ぜひご支援のほど、よろしくお願いいたします。
詳細はこちら▼
https://ecrowd.co.jp/projects/26
業務改革クラウド株式会社URLはこちら▼
https://www.play-company.jp/
執筆協力:Roko(@rokko_arki)
編集:えるも(@chanmoexx)
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