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觔斗雲

あなたを救えなかったこの世界は、今日も何かに追われるように、夜へ向かってせわしなく、休むことなく進んでいます。

伝えなかった言葉も、伝えきれなかった想いも、後悔と共に、時間が連れていってくれるでしょうか。

できるのにしなかったことをそれぞれに抱えた僕達は、笑って見送ることしかできなかったから、分け合いながら、できるだけ沢山持っていこうと決めました。

当たり前のように、自分のものを分けてくれるから、擦り減らしていることに気づけなかった。

損得を計算しないあなたには、この世界の居心地は、僕らが思うよりもずっと、良くなかったんだろう。

絶望の中で、最後に描いた景色は、僕の知らない、誰にも見せなかった、誇り高いものだったと信じたい。

あなたに見限られたこの世界で、どうしようもなく弱虫な僕たちは、今日もあるはずのない答えを、探したふりをしています。

話したかったこと、聞きたかったことの上に、話したいこと、聞きたいことが、今はまだ増え続けています。

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