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抗がん剤による「悪心(気持ち悪さ)」はここに注目!症状を聞く時の重要ポイント

こんにちは、薬剤師よっちゃんです。

今日は久しぶりに朝カフェしながらパソコンをカタカタして優雅な時間を過ごしています。

話はがっつり変わりますが、抗がん剤治療を受けている患者さんと話をしたときに、「気持ち悪さ」の訴えを聞くことって結構ありませんか?

がん患者さんの悪心を聞いたときにキチンと対応できるぜ!という人もいるかもしれませんが、抗がん剤の悪心ではない可能性も考えることが出来ているでしょうか?

この問いに「……」っとなった方は見てほしいです。

インスタグラムにも投稿しているのでそちらの方が見やすい方はご覧ください。

抗がん剤の悪心を聞き取る必要性

抗がん剤の悪心を聞くときに、薬剤師の悪い所の一つは問答無用で化学療法によるものと考えてしまう事です。

そもそもがん患者さんには抗がん剤以外にも悪心になる原因が多く存在しています。

  • 高Ca血症

  • 脱水

  • 排便状況の変化

  • がんの状況(腹膜播種や消化管狭窄など) など

「化学療法の悪心」を聴取するのであれば実は3つのポイントが挙げられます。

悪心を聴取する時の重要なポイント

「いつ」症状が現れているのか

個人的には一番重要なことがこの「発現時期」です。

化学療法していつ頃に症状が出るのか、あるいはずっと継続しているのか、というのは非常に重要です。

化学療法の悪心には主に4種類の悪心があります。急性、遅発性、予期性、突発性などです。

しかし、それらと合致していない悪心ではないかというのを必ず考える必要があります。

それはそうです。だって原因が違えば対応が異なるんですから。

  • 急性:化学療法投与24時間以内に発現

  • 遅発性:化学療法投与後よ24時間~約5日前後までに発現

  • 予期性:投与前日や投与前に発現

  • 突発性:予防投与に関わらず発現

このあたり時期を把握しながら聴取することをおすすめします。

例えば、大腸がんでCAPOX療法を実施している患者さんであれば、以下の画像のようなスケジュールになります。

東和薬品株式会社 作 カペシタビンの治療を受けられる患者さんへ より

このレジメンであれば投与後1週間以内に急性、遅発性、突発性の悪心が出そうな感じですが、3週目のタイミングで悪心を発現したときはどうでしょうか?

先ほどの化学療法による悪心の特徴と合致しないため、化学療法の可能性は低いと考え、さらにどのような時に症状が強く出るのか、あるいは楽になるのかを聴取していきましょう。

「どのような」症状なのか

気持ち悪さと一言に言っても様々な感じ方があります。

「ムカムカするような感じ」「ぐるぐるして気持ち悪い」「食欲が出ないような気持ち悪さ」などなどあるでしょう。

症状によってはH2RAやPPI、抗ヒスタミン薬が適する場合もありますので、どのような症状かは聴取するようにしましょう!

「どの程度」の症状なのか

これはいわゆるグレーディング(症状の重症度)を確認します。

悪心は主に食事の摂取に関して聴取すると良いでしょう。
気持ち悪さはあるがある程度いつも通り食事ができる状態ならGrade1。
大幅な食事摂取量するようならGrade2、体重減少がみられ、経管栄養の投与が必要な状態(食事形態を変えてもほとんど食べれないなど)はGrade3に分かれます。

Gradeが1だから薬の提案は出来ない。というわけではありませんが、患者さんにとってその症状が許容できるものなのかという点で医師への情報提供も考慮していくと良いと思います。

悪心をきちんと聴取できれば対応策を考えられる

お伝えしてきた通り、悪心の「発現時期」「性状」「程度」を確認することが出来れば、症状に対する対応もより明確になってきます。

必要に応じて患者さんへの適切な指導や医師への情報提供に繋げていけると良いですね!

気になることなどあればいつでもメッセージ頂けますと幸いです。

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