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後手中飛車オワコンの時代に

こんにちは、新年あけましておめでとうございます。
2024年こそは将棋倶楽部24の最高レート更新を目標に頑張りたいです。

近頃ではプロアマ問わず、後手番のゴキ中をやる人が減ってきて悲しい限りです。
正直、自分自身も後手中飛車と、先手中飛車の勝率を比較すると随分差があったので、後手番については中飛車以外も指すことが増えました。。。

さて、今回は私が愛用してきた後手中飛車が本当にオワコンになのか検討していきます。


中飛車がオワコン化した?理由

  1. 急戦に対して有力な指し方が出てこない

  2. 角交換型の中飛車の辛さ

  3. 相振り飛車の圧倒的不利さ

個人的には上記3つが原因ではないかと分析しております。(今回は1のみに絞って解説しています。)

まず、1点目については皆さんご存知の通り、超速戦法に対して良い対策が出てこないことにあります。

そもそも超速を知らない方に軽く説明すると、超速とは2枚の銀を活用して中飛車の飛角を抑え込んでいく戦法になります。
まあ、たぶん見た方が早いので、解説を設けました。
超速戦法について知っている人は読み飛ばしてください。


超速戦法の説明

以下図の☖4六銀、☖6六銀、☖8八角の形が超速の形です。
狙いとしては2つありまして、
1つめは、☖5五歩の位を取る狙い
2つめは、☖2筋を突破する狙いです。

下図では☗4五桂馬と跳ねられた局面で、既に中飛車は対応に困ってしまっています。
下図で飛車側が☖2二角と逃げると☗2四歩から飛車先を突破されてしまうので、ここでは中飛車側は☖42角と逃げるしかありません。
しかし、そうすると☗5五銀左!という手で☖5五歩を取られて中飛車は抑え込まれてしまいます。(☖4二角☗5五銀左☖同銀☗同銀が一例で、中飛車の飛と角が相当使いにくくなって勝ちにくい展開になります。)

中飛車失敗の図

このように、超速側としては☖5五歩の位を取ること+2筋を突破することが大きな狙いになってきます。

個人的な感想としては、超速側だけ左桂を使えてズルいです。
中飛車側が頑張って桂馬交換に持ち込めたとしても(将来的に☖3三桂とぶつけるような感じで☗4五桂と交換)居飛車側の方が桂馬の使い道が沢山あって中飛車側はかなり苦労します。


中飛車の方針

中飛車側の超速対策の方針としては大きく分けると以下の2つに分かれてきます。

1.☖5五歩の位を維持して戦うパターン
2.狙われている☖5五歩の位を放棄して、☖5六歩の交換を急ぐパターン


1.☖5五歩の位を維持して戦うパターン

まず、☖5五歩の位を死守して戦うパターンとしては、①銀対抗美濃囲い型②銀対抗金美濃型③銀対抗二枚銀型④銀対抗穴熊型⑤5六銀型があります。

①銀対抗美濃囲い型
一番有名な指し方で現在でもプロで指されている指し方になります。

下図のように☖5一飛車☖3二金の形に組むのが銀対抗美濃型になります。
中飛車の主張としては美濃囲いの堅さにあります。
美濃囲いの方が居飛車の船囲いより堅いので、☖5一飛が捌ける展開になれば中飛車が良くなります。

具体的な手順とかは定跡本が沢山でているのでそちらを見て勉強してほしいのですが、結論としては飛車、角が抑え込まれて捌くのが難しいです。

最近は木村美濃に組み替えたりして頑張るようですが、☖6三銀と木村美濃に組み替える瞬間に☗4五桂馬から仕掛けられてしまいイマイチ中飛車側の勝率が良くないです。

個人的には☖2二角と先に引いておくのがアマチュア的には有力だとは思っていますが、(☗4五桂馬に☖3三桂馬とすぐにぶつけられるようにする狙いで、プロの実践例もあります)これもやや中飛車辛いかなと思っています。

銀対抗美濃型

②銀対抗金美濃型
美濃囲いよりも囲いは薄いものの中央に手厚いというメリットがあります。また木村美濃への組み替えをする際に安全に組み替えられるメリットもあります。

あまり本などでは取り上げられてはいないですが、個人的には美濃囲いよりは有力なのではないかと考えております。

ただ、やはり中飛車側は抑え込まれる系の将棋になりやすいので、細かいテクニックを駆使して攻めを繋げていく必要があり、難易度が高いです。

銀対抗金美濃型

③銀対抗二枚銀型
これはここ4年~5年くらいで出てきた指し方になります。
この形まで組めたら☖5五の歩が取られる心配はないですのでじっくりした将棋になります。☗3七桂と跳ねてくれると居飛車側から全く動けない形になるので、☖6二金☖6三金☖7三桂☖5一飛と右玉調の将棋にして中飛車作戦勝ちになりやすいです。
ただ、☗3八飛と寄られるとかなり難解で、ここからは研究勝負になってきます。経験値の差で十分勝てる将棋ではありますが、中飛車側玉形が薄いため繊細な将棋を指しこなす必要があります。

ここまで組めたら一安心

また、この将棋については一点注意点があり、☖5三銀の瞬間に☗5五歩を取られて大激戦になります。こうなると完全に力戦になるので、かなりの技術と経験が無いと指しこなすのは大変でしょう。

55銀左で大激戦

この将棋についても1年くらい指していたこともありますが、自分の土俵に持ち込めるのでそこそこ美味しいかなと思います。この将棋を知っている居飛車党は稀なので、相手の持ち時間を削れます。
ただ、中飛車側が相当無理をして手を繰り出す必要があるので、研究をしておかないとあっという間に形勢が悪くなります。。。

④銀対抗穴熊型
これはとにかく玉の堅さで有利を取ろうという作戦です。
戸辺プロが公式戦で指しているところを見たことがありますが、知る限りでは定跡書とかは無いです。

方針としては、☖7四歩~☖7五歩~☖7二飛みたいな感じで玉頭で暴れまくってなんとかする感じです。

終盤力に自信にある方、玉が堅い将棋がお好きな方にはオススメですが、この指し方は純粋に攻めを繋げる力が相当ないと難しいと思います。
※私の力量では指しこなすのは難しかったです。

銀対抗穴熊型

⑤5六銀型
銀対抗よりも形よく構えることができますが、角頭が薄くなるため結構大変です。ただ、この指し方については居飛車党もあまり知らなかったりするので、オススメです。

☖3五歩~☖2四歩と仕掛けられてプロの結論としては居飛車よしなのですが、それはあくまで居飛車側が正確に指せたらの話で、アマチュアの居飛車党でそこまで正確にさせる方はおそらくほとんどいないです。

ただ、この変化なかなか定跡書とかには載っていないので、勉強するのが難しいという側面はあります。力戦系を好む好戦的な棋風の方なら、結構おすすめです。

⑥菅井流
菅井ノートで菅井プロが発表された指し方です。正直難解すぎてアマチュアできちんと指し方を知っている居飛車党はほぼいないです。この作戦はかなり前に絶滅したと思われているので、本格派居飛車党の方でも手順を忘れていたりします。菅井流はやられたらめんどくさいという声を居飛車党の方から聞きますので、掘り返してみるのも手かもしれません。
勉強したい方は菅井ノート後手編を読むことをおすすめします。
(※2年くらい前に、奨励会員にやったら返り討ちにされまてからやっていません(笑))

菅井流

2.狙われている☖5五歩の位を放棄して、☖5六歩交換を急ぐパターン

次に☖5六歩交換を急ぐパターンについて解説します。

狙いとしては簡単で、☖5五歩が狙われるなら先に交換しておこうという狙いです。正直今まで紹介してきた☗5五歩を守る指し方よりも有力ではないかと考えています。評価値的に見てもそこそこ中飛車指せます。

今回は2つだけ紹介しますが、☖3二銀型もかなり有力で知り合いの中飛車党はそちらを使っています。ただ、☖3二銀型に関しては私がほとんど指したことが無いため紹介を控えます。

①☖3二金・美濃型

結論から言うと、超大変です。超速が登場した頃は盛んに指されていたのですが、だいぶ頑張っても捌き切るのが難しいです。
玉は硬いものの指しこなすのは大変な印象です。確実に抑え込まれるので、相当勝ちにくい気がしています。プロ並みに捌く技術があったり、持ち時間が極めて短い対局の場合は有効だとは思います。(それに居飛車党の方でこの定跡を覚えている方は少数な気がします)

菅井ノートに載っているので興味ある方はそちらを参考に勉強してみてください。

かつては多かった指し方

②☖3二金・速攻型
私が直近まで愛用していた指し方で最有力とみています。
この変化まで勉強している居飛車党は相当稀なので自分の土俵に持ち込めるのが大きいです。

長岡さんの本に載っているとか噂で聞きましたが、正確に指されて少し中飛車辛いくらいの印象。ただ自分のレート帯(将棋俱楽部24 2300前後)では正確に咎めてくる人がそこまでいないので、全然指せるかなと思っています。

☖3二金型

☖3二金型を見て持久戦に選んでくるのが一番厄介なのですが、これには5筋交換したあとに☖4三銀型で対抗してそこそこ戦えるかなと思います。

この将棋は研究していればそこそこ中飛車側も指せる印象があります。

3二金速攻を警戒して

対超速の現在について率直な感想

正しく指されるとやっぱ辛いというのが率直な感想です。
今回超速の持久戦型についてはあまり取り上げていませんが、実は超速の持久戦型も辛いという事情があったりします。(特に銀対抗は)

個人的には銀対抗は有名になりすぎてしまっているので、アマチュアの方はそれ以外の作戦の方がマイナー戦法の強み(自分の土俵に持ち込める強み)が出て戦いやすいのではないかと考えています。

アマチュア的には負担になる☖5五歩をさっさと交換してしまった方が指しやすい気がしているので、選ぶなら銀対抗よりも☖5六歩交換型かな~と思っています。

ここまで後手中飛車は辛いとばっかり言ってきましたが、一言だけ先輩に言われたアドバイスを残しておきます。

ゴキゲン中飛車のせいで負けたと言っているうちは強くなれません

中飛車党の強豪の某A先輩より

つまりなんの戦法をやろうが、強い人はちゃんと勝てるので、それは忘れずに~

後日覚えていたら、続きを書きます。


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