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ハルマゲドン考察3 — メギドではなくシオン
ハルマゲドン考察1 の中で「メギドに関する聖書そのものの記述を見る限り、目立って注目するほどの出来事が記述されていると言える部分があるとは思えない。
「メギド」が神との戦争という未曾有の出来事が行われる舞台として選ばれる理由と思えるものは聖書中に見いだされません。」という文章を書きました。
このシリーズ第3弾では、そもそも、この「ハルマゲドン」がメギドの山を指すという解説が本当に正しいのかという聖書的な疑問、論点について述べたいと思います。
先ず、ヨハネは「ハルマゲドン」はへブライ語であると断っていますが、大文字で始まるこの単語はいわゆる「固有名詞」として扱われています。
音訳してギリシャ文字で記したものと言う事でしよう。
ハルマゲドン Ἁρμαγεδδών (Harmageddon)
※語頭の[']はh音を表します
そして、一般に解説されているのは、これはヘブライ語で「メギドの山(Har-Megiddo)という意味であるとされています。
音訳や造語だったとしても、メギドは固有名詞ですから、頭は大文字で記されるはずでは無ぃかと考えられます。
例えばhar-Mageddon もしくは Har-Mageddon
しかしギリシャ語原文は Ἁρμαγεδδών (Harmageddon)となっています。普通名詞の「山(Ar)」が大文字で、地名(固有名詞)の「メギド(margeddon)」が小文字と言うことは普通 あり得なぃでしよう。
ちなみにそのすぐ前の単語「へブライ語で」という部分は当然、頭が大文字の Ἑβραϊστὶ(Hebrai)となっています。
どうも何らかの間違いが生じている臭いがします。
これから、この語「ハルマゲドン」の綴りが誤写の可能性があるという聖書的な根拠を考察してみたいと思います。前代未聞の試みですが、ご批判は全て読んでからにして下さぃ。
先ず、次の聖句をお読みください。とりわけ「シオン」という語に注目して下さい。
「群がる外敵は砂麈のようになり、群がる暴虐の者らは吹き去られるもみ殼のようになる。そのことは突然、瞬く間に起こる。
万軍の主によってお前は顧みられる。雷鳴、地震、大音響と共につむじ風、嵐、焼き尽くす炎のうちに。アリェルを群がって攻撃する国はすべて夢か夜の幻のようになる。
彼女を攻撃し、取り囲み苦しめる者はすべて。「飢えた者が夢を見た。見よ、彼は食べていた。 だが目覚めてみると、彼は空腹のままであった。
渴ぃた者が夢を見た。見よ、彼は飲んでぃた。だが、目覚めてみると、疲れ果てて渴いたままだ。」 シオンの山に群がって戦いを挑んだ国はすべてこのようになる。」
(※「アリエル」はエルサレムを指すと言われています。この聖句ではアリエル=シオンの山という同意語として扱われてぃます。)
「シオンの山に群がり、戦ぃを挑んだ国は、粗殼のように突如吹き払われる」とぃうような内容になつています。
「どうか、イスラエルの救いがシオンから起こるように。主が御自分の民、捕われ人を連れ帰られるときヤコブは喜び躍りイスラエルは喜び祝うであろう。」詩編14:7
「主は贖う者として、シオンに来られる。ヤコブのうちの罪を悔いる者のもとに来ると主は言われる。」イザヤ59:20
「エルサレムから残った者が、シオンの山から難を免れた者が現れ出る。
万軍の主の熱情がこれを成就される。わたしはこの都を守り抜いて救う。
わたし自らのために、わが僕ダビデのために。」列王記下 19;31,34
「エルサレムから残った者、シオンの山から難を免れた者」とは正に7年の患難期の迫害を生き残った者という意味でしよう。
「聖なる山シオンでわたしは自ら、王を即位させた。主の定められたところに従ってわたしは述べよう。主はわたしに告げられた。「お前はわたしの子、今日わたしはお前を生んだ。
求めよ。わたしは国々をお前の嗣業とし地の果てまで、お前の領土とする。お前は鉄の杖で彼らを打ち陶工が器を砕くように砕く。
すべての王よ、今や目覚めよ。地を治める者よ、諭しを受けよ。畏れ敬って、主に仕えおののきつつ、喜び躍れ。
子に口づけせよ。主の憤りを招き、道を失うことのないように。主の怒りはまたたくまに燃え 上がる。いかに幸いなことか主を避けどころとする人はすべて。」
これらの聖句と、次の黙示録の記述を比べて見て下さい。
特に19:15-16はハルマゲドンに集まった王たちを裁く時の記述です。
「彼は鉄の杖をもって彼らを治める、土の器を打ち砕くように。」(黙示2:27)
「この方の口からは、鋭い剣が出ている。諸国の民をそれで打ち倒すのである。また、自ら鉄の杖で彼らを治める。この方はぶどう酒の搾り桶を踏むが、これには全能者である神の激しい怒りが込められている。
この方の衣と腿のあたりには、「王の王、主の主」という名が記されてい た。」(黙示19:15,16)
キリストはメギドで王として登場するのではなく「シオン」で即位させられます。
そこでシオンに集合した「地を治める者」に対して最後通知として「諭しを受け入れ」神によって立てられた王キリストに対して「畏れ敬い」和解の表明として「子に口づけするようにと諭されています。
そして、そうしない者に対しては「主の怒りが瞬く間に燃え上がる」と警告しています。
「天の全軍は衰え天は巻物のように巻き上げられる。ぶどうの葉がしおれ、いちじくの葉がしおれるようにその全軍は力を失う。まことに、主は報復の日を定められる。シオンにかかわる争いを正すための年を。」
この「天が巻物のように巻き上がられる」という記述と次のハルマゲドンと同じ第6のラッパの時に生じる次の描写と比べて見て下さい。
「天は巻物が巻き取られるように消え去り、山も島も、みなその場所から移された。地上の王、高官、千人隊長、富める者、力ある者、また、奴隸も自由な身分の者もことごとく、洞穴や山の岩間に隠れ、山と岩に向かって、「わたしたちの上に覆いかぶさって、玉座に座っておられる方の顔と小羊の怒りから、わたしたちをかくまってくれ」と言った。
神と小羊の怒りの大いなる日が来たからである。だれがそれに耐えられるであろうか。」
「万軍の主は、そのようにシオンの山とその丘の上に降って戦われる。翼を広げた鳥のように万軍の主はエルサレムの上にあって守られる。これを守り、助け、かばって救われる。イスラエルの人々よ、あなたたちが背き続けてきた方に立ち帰れ。その日、人々はそれぞれ、かつて、自分の手で造り、それをもって罪を犯した銀の偶像と金の偶像を退ける。アッシリアは倒れる人間のものではない剣によって。人間のものではない剣が彼らを食い尽くす。彼らは剣を恐れ て逃げその若者たちは労役に服す。」
万軍の主は、メギドではなくシオンの山に降りて戦われます。
その日人々は神を退け続け、偶像を礼拝していたが、それを退け、立ち返るように勧告され ています。
またその時、人間のものではない剣によって敵を滅ぼすと言われています。
これらの聖句と、ハルマゲドンに関する次の黙示録の記録を比較して下さい。
「これらの災いに遭っても殺されずに残った人間は、自分の手で造ったものについて悔い改めず、なおも、悪霊どもや、金、銀、銅、石、木それぞれで造った偶像を礼拝することをやめなかった。 このような偶像は、見ることも、聞くことも、歩くこともできないものである。」黙示9:20
この記述はハルマゲドンと同じ第6のラッパの時に生じる出来事です。」
「この方の口からは、鋭い剣が出ている。諸国の民をそれで打ち倒すのである。また、自ら鉄の杖で彼らを治める。
この方はぶどう酒の搾り桶を踏むが、これには全能者である神の激しい怒りが込められている。」(黙示19:45)
「世界の住民、地上に住むすべての人よ山に合図の旗が立てられたら、見るがよい角笛が吹き鳴らされたら、聞くがよい。
主はわたしにこう言われた。
「わたしは黙してわたしの住む所から、目を注ごう。太陽よりも烈しく輝く熱のように暑い刈り入れ時を脅かす雨雲のように。」
それはすべて、山の猛禽と野の獣に与えられる。猛禽は、それを餌として夏を過ごし野獣もすベて、それを餌として冬を過ごす。
そのとき、貢ぎ物が万軍の主にもたらされる。背高く、肌の滑らかな民から遠くの地でも恐れられている民から強い力で踏みにじる国、幾筋もの川で区切られている国万軍の主の名が置かれた場所シオンの山へもたらされる。
世界のすべての住民よ。地に住むすべての者よ。山々に旗の揚がるときは見よ。角笛が吹き鳴らされるときは聞け。
そのとき、万軍の主のために、背の高い、はだのなめらかな民、あちこちで恐れられている民、多くの川の流れる国、力の強い、踏みにじる国から、万軍の主の名のある所、シオンの山に、贈り物が運ばれて来る。」ᷯ
(イザヤ18:1-7)
いかがでしようか。焦点とされる地は「シオン」です。
龍、獣、偽預言者が王たちを集めるのは目的があるからです。
神に戦いを挑もうとするのは、手放したくないものがあるからです。
それは他ならぬ「支配権」「主権」です。
では主権者なる主の支配はどこから発せられるでしようか。
その答えは「シオン」以外にはありません。
支配権を巡る戦いの舞台として聖書全体がスポットを当てている場所は「シオン」であり、これは圧倒的であり終始一貫しています。
決して「メギド」ではありません。
「主はあなたの力ある杖をシオンから伸ばされる。敵のただ中で支配せよ。」(詩編110:2)
「こうして全イスラエルが救われるということです。次のように書いてあるとおりです。「救う方が
シオンから来て、ヤコブから不信心を遠ざける。
これこそ、わたしが、彼らの罪を取り除くときに、彼らと結ぶわたしの契約である。」(ローマ 11:26,27)
それで、推測も含めて色々調査してみたのですが、元々は恐らく「ハルマゲドン」ではなく、へブライ語で、「ハル-モアド-シオン」 「シオンの集合の山」だったのではないだろうかと推測します。
イザヤの中に「会合(集合)の山」というフレーズがあります。
これは、バビロンに王なぞらえて龍であるサタンに言及したものと捉えられているものです。
「あなたは心の中で言った。『私は天に上ろう。神の星々のはるか上に私の王座を上げ、北の果てにある会合の山にすわろう。密雲の頂に上り、いと高き方のようになろう。』しかし、あなたはよみに落とされ、穴の底に落とされる。」
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この集合の山をヘブライ語で発音すると「ハルモアド」であり、「シオンの集合の山」は恐らく「ハル・モアド・シオン」となるはずだろうと思います。
これが「ハルマゲドン」の原型なのではないでしようか。
結論ですが、ハルマゲドンという綴りはやはり、どこかで誤写(写本上の誤り)があったとしか考えられません。
出来事の内容から言って、絶対に「メギド」はあり得ないからです。
私には古い聖書写本を参照できるような状況はありませんので、断言はできませんが、恐らく「シオンの集合の山」というようなへブライ語からの音訳が綴られていたのでは無いかと考えます。
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