見出し画像

学生最後の1ヶ月・放浪記【2024/3/7】

今、僕は小淵沢に向かう中央本線に乗っている
そう、予告通り僕は、旅に出ている
ただ予告と違うのは昨日体調を壊してしまったため日程が1日ずれてしまった
3/6スタートが3/7スタートになってしまった
そんな中、多少の着替えと多少の現金と青春18きっぷ2枚を持って、今朝家を出た

青春18きっぷというのは、特急や新幹線を除いて、日本全国のJR全線が1日乗り放題になる切符だ
1枚に付き、5個スタンプを押す欄があり、窓口にて日付のついたスタンプを押されるとその日が乗り放題になる
つまり1枚で5日間JRが乗り放題というわけだ
値段は12000円ほど
日割りだと2500円である
これほど格安で日本全国を移動できる手段はなかなかない

ライブ大好き常に金欠な僕にとって、遠征の時に青春18きっぷは欠かせない相棒なのだ

でも今回はライブのためではなく、”自分のため”に青春18きっぷを切った


今回の旅のテーマはいくつかある


① 旅の目的地はその日の気分で決める

② 宿泊費食費色々込みで、使えるのは1日1万円まで

③ 移動中は、テーマを決めて自分の人生を振り返る

④ 移動中は、今まで聴いてきた音楽を振り返る

⑤ 旅行期間中はSNSを見ない


以前の記事にも記したのだが、去年の12月から今年の1月まで短期の倉庫バイトをしていた
深夜の10時間シフトで内容はただ指定されたものをカゴに詰めるだけ
本当に脳死だった
単純作業を深夜にぶっ続け10時間やってると気が狂うなんてもんじゃない
自分の将来だったり、恋愛事だったり、友人のことだったり、有る事無い事を考えたり考えなかったり…つまり病むということだ
思考が絡まりに絡まって普段とは全然違う思考レベルになる

そんな中でふとこの旅のテーマが浮かんできた

最初はなぜこのアイデアが出てきたのかわからなかったが、学生最後だから学生の時にしかできないことがしたい、時間を気にせずのんびり気ままな旅がしたいと思ったのだろう
①は学生じゃないとできない、青春18きっぷとの合わせ技なら尚更だ

②はずっと金欠だったからという理由もあるが、逆に旅行で1日1万円しか使えないという制約をつけた方がメリハリが出ておもしろいのではないかと思って設けた
父親から15万円を借りて15日間(の予定だった…)だ

③に関して
大学で卒論を書いていないからというのもあるのだが、その倉庫バイトをして嫌というほどわかった
人間は脳みそを暇にさせておけば、させておくほど思考レベルが高くなり、思考回路がこんがらがって病んでいく
青春18きっぷの鈍行旅、丸一日移動なんてこともある
その最中に、高い思考レベルで自分の人生を振り返りたい
そして至って純な感情で、自分の生きた証を記したい

④について
そうやって僕の人生を振り返るにあたって、音楽はなくてはならない存在だ
きっと自分の過去を遡るにあたっていいヒントになる
のと同時に、最近ライブに行きすぎていて、好きな曲を自由に聴けなくなっている
自分の人生に影響を及ぼしたアーティストを今一度ゆっくり聞く時間が欲しかった


back numberのsilent journey in Tokyoという曲がある

スマートフォンをどっかに投げ飛ばして
夕暮れ羽田発で飛んだなら
多くを失う代わりに何が手に入るだろう


という歌詞から始まるのだが、初めて聴いた時本当にその通りだと思った
SNS息苦しすぎる‼️
僕は普通にツイ廃なのだが、Twitterなんて特にそう
情報量が凄すぎて、知らない間に頭がパンクしている
一旦、流れ込んでくる情報を全て遮断して、自分について、自分の好きな音楽、旅を楽しみたい
と思った

つまり自分がずっとこうしたいなって思っていたことを全て詰め込んだ旅だ
そういう意味で今回は自分のための旅なのである

そんな旅は朝10時から始まった
本来なら満員ラッシュ前に首都圏を抜ける予定だったが、事情が変わったので朝はのんびりになった

スーツケースを引きながら最寄りへ
私鉄を経由して新宿に出た

さぁ新宿だ

ここから青春18きっぷを使うと決めていたが選択肢がいかんせん多い

この時頭にあったのは

①静岡を通り名古屋、大阪へ抜ける東海ルート
②高崎や宇都宮を経由し、仙台か山形に行く東北ルート
③山梨や長野を経由して新潟、石川に抜ける北陸ルート

だった

①の東海ルートは青春18きっぷで何度もやっているので無し、②か③で前日まで迷っていたが、行きたいと思っていたところが西に固まっているため、東北に出てしまうと少し面倒だ
結局③を選び中央線に乗った

中央線を選んだのは長野や石川に行きたいと思っていたからだが、それだけではない

途中下車したのは西八王子駅

バスに乗り込む
行き先は法政大学

卒業してしまう大学を最後に一目見ておきたかった

僕が大学に入学したのは2020年
ちょうど入学した途端にコロナ禍になった

小中はスクールカースト最底辺、高校は男子校、途中で転校して通信制
青春なんて何も経験してなかったから、せめていい大学に入って、4年間は謳歌するんだと思っていた
そのために高校3年間はほとんど勉強に捧げた

それなのにコロナでオンライン授業
ただ送られてきた動画をみてそれをコピペして提出する
勉強モチベがちゃんとあった僕はこんなのに学費年間100万円払うなんてふざけてると不貞腐れていた
あとはバイトに行って家でゴロゴロするだけ

そんな時にお母さんが統合失調症発症
悲惨だったなあ

家にいなきゃいけないのに家にいるのが苦痛で苦痛で仕方なかった
せっかく目標にしてたMARCHに入れてここからだって思ったのに、絶望通り越して何も感じなかった

当時の彼女が毎日電話してくれて話を聞いてくれたことが唯一の救いだったな

結局2年になって週2回の登校が始まり、2年、3年と2年間週2回の登校生活をしていた

そんな大学に何の思い入れもないやーと軽い気持ちで向かった

合格通知をもらって初めて法政大学に下見に行った日を覚えている
その時バスの中でリトグリのBRIGHT NEW WORLDを聴いていた
初めて大学に行く時と同じように、最後に大学に向かっているバスの最中に同じアルバムを流した
当時のことがたくさん蘇ってくる
当時の自分が今の自分を見たらどう思うだろう
笑って、いいじゃん!って言ってくれるだろうか

終点が近づくと多摩キャンパスの名物、エッグドームが見えてくる
懐かしい、ここで授業終わりによくビリヤードをしていた
芝生の広場を抜けブイブリッジへ
ここの桜は毎年綺麗だった
行った時期がまだ早く咲いているところは一個もなかった
橋を渡るとそこが経済学部棟だ
春休み期間で全く人がいなくてがらんとしていた
ここまで人がいないのは見たことがないのですごい新鮮だった
食堂や教室はもちろん閉まっていた

何だこんなもんかーと思って反対の社会学部棟へ向かう
実は英語を使って活動するESSサークルに所属していて、社会学部棟はサークルの集まりで教室に集まっていた

そのいつもの教室の前に立った途端急に哀愁に包まれた

毎週用もなく集まってたわいもない話をして、一回だけできた学祭は出店の売り上げランキング売り上げ2位まで昇り詰めて、その打ち上げでめちゃくちゃお酒飲みまくってカラオケで死んだように歌って、あの日だけだったな二日酔いしたのは
真面目そうな先輩の恋愛相談したり、意外な2人が実は付き合って1年のカップルだったり

いろんな思い出が急にフラッシュバックしてきた

大学以外のところで十分青春をしたからそんなものにこだわってはいないが、確かにあの日々はまた戻りたくなる青い日々だった

2週間後に卒業してしまうことを考えるととても寂しくなってしまった
この旅の最初に大学を選んで正解だったかもしれない

卒業旅行として気持ちを改めて、駅へ向かうバスへ乗り込んだ

ちょうどお昼時だったのでご飯にしようと思い、大学の近くに二郎があるのを思い出した
そんな近くにあるのに二郎ブームが来るのは行かなくなった4年にくるなんて、、、
勿体無い感じがして行こうとしたらまさかの定休日、、

泣く泣く西八王子に戻り、ラーメン弥栄というお店に入った
二郎食べ逃してラーメンの気分でせっかくなら八王子ラーメンを食べようと思い入店した
実はここ、大学の友達にたくさんおすすめされていて、一度行った時は麺が切れて食べれなかったのだ
その時の後悔を晴らす時!
特製ラーメンは海苔3枚にチャーシューがロース、バラの2枚ずつでスープから食う
濃厚だ!あっさりしてそうなのにガツンと魚介類の旨みがくる
麺を啜るとうまい!スープとの絡み合いがバッチリだ、すかさずチャーシューを食う、うまい!ガツンと醤油の旨みがくる
そりゃ友達みんなおすすめしてくる、納得だ
薬味の玉ねぎとネギがいいアクセントになる
卓上の胡麻と胡椒をかけるとこれまたいい味変だ

二郎の濃い味に慣れている舌で他のラーメンが満足できるかと思っていたが、とても洗練されたラーメンで満足だった

店を後にし、駅へ向かう
まずは高尾行きに乗り込む
一駅なのですぐに着いた

次の乗り換えまで40分以上あったため、高尾駅を散策した
高尾と聞くと高尾山の登山を思い浮かべるが、実際はただの住宅街で、とても住みやすそうな街だ
いろいろ揃っている
歩き終えて駅に戻るとちょうど電車が来た
オレンジ色の中央線の車両ではなく、青色のラインの中央本線だ

ワクワクと同時に絶望に包まれた

なんとオールロングシートだ
これから5時間程度乗るというのに、、、

せめてトイレの車両に座ろうと歩いていたところ、なんと、トイレの横の座席だけ、進行方向を向いている
これはなんて救いだ
すぐに座席を確保し快適な旅と心の安らぎを手に入れた

実際西八王子までは大学でよく行ってたし、高尾までは乗り慣れた車両だったので、全然旅してる感はなかったが、中央本線の古臭い車両、ボタンを押さないと開かないドア、寂れた駅を見ていると、やっと青春18きっぷ旅をしているなと感じる
本格的に今回の旅の実感が湧いてきた

この文章を書きながら、時々松本の観光地やグルメを見ながら過ごしていた

電車は終点の小淵沢駅に到着した
降りると空気が一気に変わる
雪景色がちびちび見れたが、やっぱり雪降る地域の空気は違う
美味しいとは少し違うが吸っていてとても心地いい
すぐさま長野行きの列車に乗り込んだ

長野行きの列車に乗り込んで1時間少々、今回の旅の目的地に到着した

新宿でどの方面に行こうか悩んでいる風の記載をしたが、実は朝松本の宿を取ってから出発していたのだ

すぐに宿に向かい荷物を下ろす
今回泊まらせて頂くのは「旅館 松風」
畳4.5畳の素泊まりで3800円だ
安い、すごく安くて助かる
ネカフェにプラス1000円でちゃんとした布団で寝れて、お湯に浸かれて、荷物も預けられるなら万々歳だ

荷物を下ろし、夜の松本に繰り出す
目的は3つ、馬刺し、山賊焼、そして日本酒だ
そのどれもが楽しめて評価の高い、「卯屋」にお邪魔した

メニューを見てみると、おひとりさま限定でおつまみ3種盛りがある、内容は馬刺しか、信州サーモンで選べるそうだ
それで値段は何と880円!安すぎる、そんな値段で馬刺しを食べていいのか、、、
もう一個目につく、山賊焼だ
「サイズはこのくらいです!」と書かれたメニューには成人男性ほどの手の大きさの模写がある
何だよそれ、その大きさで何と880円
頼むしかねえだろ、、、

以上2つと日本酒熱燗を頼んだ

まず日本酒がくる
慎重にお猪口に注いで神経を研ぎ澄ませる
いざ!

アルコールが強い、ん?意外と癖ある?と思った瞬間アルコールも癖も全て引いていった
恐るべし信州の水
旨みを引き立てながらも後味はすっきりで飲みやすい割に満足できる味わいだ
そしてなにより外気1℃で冷えた体に熱燗が染み渡る
幸せだ

すぐさまお通しがくる
きのこの南蛮漬け、とのこと

いただく、うまい!唐辛子が効いている
これだけでお酒全部飲み切ってしまいそうだった

いよいよお待ちかね、馬刺し含む3種盛りの登場だ
竹の子の数の子、春菊のおひたし、きのこの漬物に馬刺しである
あれ?3種なんじゃ、、、笑笑

そんなことはどうでもいい
馬刺しを目の前にしてIQが2になっている僕はすぐさま食らいついた

なんだこれ、、、
馬刺しってこんなに美味いんか、、、、

全く臭みがなく新鮮な味わい
肉肉しさはないがとろけるような旨みをニンニクと生姜のおろしがブーストさせる

これだけで終わらせない

日本酒だ
美味いものには美味い酒だ

日本酒と一緒に飲み込むと、、、、

男には泣いていい時が3つある
生まれたとき、親が死んだ時

そして、この上なく美味い馬刺しをこの上なく美味い日本酒で流し込んだ時だ

幸せすぎる
こんなに身近に幸せはあったのか
気づかなかった、、、

他のおつまみも日本酒を飲めと言ってるようなもの
合いすぎて困ってしまう

黙々と食べ飲みしていると何やら大きな影を察する
顔を上げると自分の顔の2倍くらいのお皿に大量の山賊焼が乗っている、、、、、
たぶん鶏もも肉2枚分だろう、、、880円で元は取れてるのかい、、、、???

マヨネーズにディップしてすかさず喰らう
うめえ、、、、やっぱり男はガッツリ肉を食わねえと
はらぺこ男子な僕も圧倒される量
食べものは2種しか頼んでないのに、満足感も満腹感も半端じゃない

満足してお会計を頼む
は?思わず二度見する
2800円!?!?

は?????
こんなに美味い馬刺しと日本酒と大量の山賊焼を食べて?????

本当に大優勝だった
ここにきて3時間、一夜にして松本が大好きになった


宿に戻って大浴場に入る
まさかの貸切で、冷えた体に染み渡った

この旅初日はとんでもない満足感と共に幕を閉じた

使った金額

・コンビニ 528円
・ラーメン 1100円
・居酒屋  2816円
・宿    3850円

計 8294円

残り金額 121706円(!?!?)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?