『アンディくんと太一くん』
アンディ君は、とおい国からお父さんのおしごとで日本にひっこしてきました。
そして、まちなかようちえんに通うことになりました。
先生が、みんなにアンディくんをしょうかいしました。
「今日からみんなといっしょにすごすおともだちのアンディくんです。なかよくしましょうね。」
みんなは、「はーい」とおへんじをしました。
けれども、みんなアンディくんをジロジロ見て、話しかけません。
なぜなら、アンディくんは肌の黒い「黒人」だからです。
アンディくんは、とてもさみしい気持ちになりました。
次の日、同じクラスの太一くんが話しかけてきました。
「ねえねえ、あたま、触らせて。」
アンディくんはいやでしたが、つい、「いいよ」と言ってしまいました。
太一くんは、アンディくんの頭をさわりました。
太一くんは、
「わあ、ふわふわしているんだね!」
と、言いました。
すると、次から次にほかの子供たちもきて言いました。
「わたしもさわらせて」
「ぼくも!」
アンディくんはとってもいやでしたが、いやだと言うことができませんでした。
すると、さいしょにさわった太一くんが言いました。
「さわらせてくれてありがとう。ぼくのも、さわっていいよ。」
アンディくんは、太一くんの頭をさわってみました。
「わあ! つんつんしてる!」
太一くんの髪は短くて太いので、ツンツンしていました。アンディくんの手の平にささるようでした。
その様子をみていた他の子供たちも、口々にいいました。
「ぼくのもさわっていいよ。」
「わたしのも!」
アンディくんはみんなの髪を順番にさわっていきました。
やわらかい髪、ツヤツヤした髪、太い髪、細い髪、まっすぐな髪、ウェーブしている髪……
みんなそれぞれ、いろいろな髪をしていました。
それからというもの、アンディくんは太一くんとあそぶようになりました。
給食もいっしょに食べるようになりました。
そのうち、他の子もいっしょにあそぶようになりました。
そして、それぞれ仲よしの子ができました。
アンディくんと太一くんは、今ではときどきあそぶくらいです。
アンディくんは、もうさみしくありませんでした。
おしまい
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