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魚返明未/照らす(リボーンウッド) 

注目の日本在住若手ピアニスト Vol.3

今、日本には注目すべき若きジャズ・ピアニストが豊富に存在するが、その最先端を走っているのがこの魚返明未(おがえりあみ)さんです。

東京芸術大学作曲科出身。
高橋陸(b)、中村海斗(ds)との若手トリオと組んだ第1作、魚返さんとしては第3作『照らす』に、私は深く揺さぶられた。

冒頭の「曇り空」の涙が出そうになる抒情。それは詩情ある作曲、ダイナミクスに長けたテクニックからなるものだが、聴く者の心に深く染み入り、涙を誘うのでした。

魚返明未さんのライブでの没入感にはすさまじいものがありますが、今作では、聴く者を音楽の中に引きずり込む力をレコーディングに残すことにも成功しました。
この“没入感”こそ、彼のピアノの一大特徴だが、「これに関しては鍛えたことはなく、没入して音楽を聴くのが好きだからでしょうか」とご本人は語ります。

左から中村海斗、魚返明未、筆者、高橋陸

若きトリオの新鮮な呼応が素晴らしいのですが、魚返さんはメンバーを次のように語ります。
「陸くんは音に色々な表情をもたらせることができるベーシスト。海斗くんはまずリズムが柔らかくて心地良いのです。そして美しく、多彩な音色だけではなく、バンド全体のサウンドへの美意識を感じさせてくれるドラマーです」。

この三位一体が生むジャズの醍醐味、3人が同時に高揚していく様子に、感動したのでした。


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