「Hマートで泣きながら」のミシェルに伝えたい、「ミステリと言う勿れ」久能くんの言葉。
Michal DziekonskiによるPixabayからの画像
「ケアする惑星」を読了して、紹介したいと思いつつ、後回しになってしまっている。ケアをする、してもらう、ということへの認識が大きく変わってしまったので早く書きたいのだが。
と思いつつ次に読んだのは「Hマートで泣きながら」(著:ミシェル・ザウナー)。著者である「ジャパニーズ・ブレックファースト」(「リトル・ビッグ・リーグ」のミシェル・ザウナーによるソロ・プロジェクト)彼女を知ったのは、21年のグラミー賞でBTSとの写真。知り合いなのかと思ったら、記念写真を撮影しただけとのことだったが、最近、BTSのジョングクくんの家にこの本があったのが読むきっかけ。
私は本の紹介を誤読していて、彼女が韓国人としてアメリカで成功した即席をたどる内容だと思っていた。確かに父・アメリカ(白人)/母・韓国人のミックス・ルーツを持っていたけど、まさか母親の介護の話が中心だとはまったく思っていなくて、また「ケアラー」の話なの? で、読み始めた。
喪失感のセラピーに効果があったのは、キムチ作り。
著者:ミシェル・ザウナー訳者:雨海 弘美
美しくて繊細でわかりやすい文章。翻訳の雨海さんもセンスが良い。
時々、食べ物に性的な表現をするのは、嫌だけど。
韓国TVドラマ並みの壮絶な激しい母娘関係がこれでもかと描かれていて、過干渉の母親に私は読んでいてうんざりする。どう考えても、娘をコントロールしようとする、いわゆる毒親なんだけど、紙一重で愛情がとてつもなく深いお母さんなんだ、ということが死後少しづつ見えてくる。韓国の家族における、血縁の関係の濃さ、距離感、執着に近い愛情がスタンダードであることをミシェル自身も気づいていない。
反抗期にさんざん逆らったことでミシェルは、介護を完璧にすることで完璧な娘になり、母親への恩返しをしようとする。でも、韓国の言葉や文化を深くは理解していないミシェルは、母親の友人に介護に主導権を譲るしかない。そのジレンマ。美しく、精力的だった母親が衰弱していく姿を見守るしかない、その心情は計り知れない。
そして母親の死。
そこからのグリーフと再生をさぐるミシェルの人生が始まる。
ミシェルは、終わりの方で「介護に失敗した」と書いていて、うん、そうじゃないよね。そんなことはない! と思っていたら、
ちょうど、TVer でTVドラマ「ミステリと言う勿れ」(原作:田村由美)が期間限定再配信23/08/13現在)。
(とても好きでコミック原作も読んだし、ドラマも何度も見ているが、セリフまでは覚えていないw)
久能整くんのセリフをミシェルに聞かせたい!
Tver https://tver.jp/
その5話「 奇妙な入院生活!22年前の未解決事件が動き出す」で、入院中の主人公:久能 整(ととのう)くんの隣の患者:牛田さんが「刑事として負け、長い闘病生活の末病気にも負ける」への回答。
これだ! ミシェルに伝えたい。
患者も負けた訳じゃないし、
当然介護したケアラーに失敗なんてあるはずもない。
すでに彼女はリカバリーしていると思うけれど、家族の介護で傷んだすべての人にこのセリフを伝えたい。
日本語字幕あり。
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