見出し画像

情報伝達〜シナプスの可塑性から見える情報の違い〜

日々生活をしていると、様々な問題が生じる。
誰も気づかないような小さなものから、地球規模の大きなことまで。

問題が生じたとき、そこには「加害者」「被害者」が生まれる。

しかし、様々な問題の中には「そんなに気にすること?」「それは受け取り方の問題じゃない?」と受信側の過度な受け止めを感じるときもしばしば。

イジメで「受け取り方にも問題がある」というと批判のマトになる世の中だけど、人によって色んな受け取り方があるのは当たり前だとは思う。

同じドラマでも「感動した!」という人もいれば「演技がわざとらしい」という人もいる。同じ音楽を聞いても「騒音」と感じる人もいれば「心地よい」と感じる人もいる。

この「受け取りの違い」って、どうやって起きているんだろう?

「もうちょっと楽観的に考えなよ」というような、意識のレベルではない、身体的な構造レベルで、何か違いがあるのではないか?

そんなことを疑問に思い、「脳はどうやって物事を処理しているのか」を調べてみた。
自分は脳科学者ではないので、色々な研究材料を調べたことを出来るだけ分かりやすく、自己解釈をいれながら説明してみようと思う。

五感で受け取る外部刺激

まず、僕たちは五感で外部情報を受け取る。
「今日は〇〇で事件がありました。」
「××の話って面白いよね」

五感を通して受け取った外部刺激は、神経細胞を通じて電気信号が送られる。
そしてこの「電気信号」は、脳へたどり着く前に一度「化学信号」へと変化する。
なぜかというと、神経細胞同士は実は繋がっておらず、電気信号をそのまま脳へ届けることができないからだ。

細胞同士はシナプスと呼ばれる身体機能で繋がっており、シナプスには20ナノメートルというわずかな隙間がある。
繋がっていない細胞間でなぜ伝達を行うことができるかというと、流れ着いた電気信号が、細胞の間で神経伝達物質を飛ばし、向こう側の細胞が受け取るという作業が行われているからだ。

受け取った向こう側の細胞は、それを電気信号に変換してまた神経細胞の中を流れていく。

このようにして、人は情報を脳へと運んでいくのだ。

シナプスの可塑性

では、なぜ外部からの情報はそのまま脳へと届かないのか
なぜ電気信号は一度化学信号へ変化するのか。

実は、私たちの身体は効率的に情報処理をするために、受け取った全ての情報を脳へ届けない工夫がされている。

それが「シナプスの可塑性」によって実現できるというのだ。

簡単に言うと、電気信号から化学信号へ変化するとき、情報伝達物質の放出量を調整しているらしい。量だけでなく、数も増えたり減ったりしている。

これにより、自分たちが必要だとする情報以外は脳へ届かないようになるのだ。

なんと神秘的な仕組みだろう。

可塑性とは

可塑性とは、力を加えて変化したとき、その変化を維持する性質のことをいう。シナプスが可塑性を持っているということは、神経伝達物質の放出量が維持されるということ。

一度自転車に乗れるようになると、何年かぶりに乗っても乗り方を覚えている、というような具合だ。

ここから分かることは、継続したことは脳に伝わる手前の細胞によって覚えているということ。

そして睡眠不足や栄養不足に陥ると、頭が働かないというよりもまずこの「神経伝達物質」の放出に乱れが出るらしい。

「頭さえ働けば良い判断ができる」訳ではない。糖分を摂って頭を働かせる、というのが以下に非科学的かを実証するような話だろう。


新しい体験が細胞を活性化させる

では、この「シナプス」の結びつきを増やしたり、神経伝達物質の放出を増やすにはどうすれば良いか。

実は、その唯一の方法が「新しい体験」だそう。

新しい本を読んだり、新しい道を通ったり。新しいスポーツを始めたり、新しい料理を作ったり。

それらが細胞の活性化には欠かせないのだ。

つまり、私たちが常に若々しく、細胞を活発に働かせるためには、適度に運動をするより、マッサージに通うより、バランスの良い食事を摂るより「新しい体験をする」ことの方がよっぽど効果があるように思える。

新しい体験がいかに大切か。
逆に、変化のないルーティーンワークがいかに細胞を衰えさせているか。

シナプスの可塑性から教えられる。

受け取りの選択肢

新しい体験は、そこに達するまでの過程も記憶してくれる。私たちが物事の受け取り方に違いが出るのは、この「化学信号の伝達の違い」なのかもしれない。

物事の受け取りが悪い人は、大抵の場合ひとつの考えに固執している場合が多い。

「最近の若者は…」
「東京モンは…」
「女は…」
「年寄りは…」

私たちは、単一に物事を考えてしまうとき、自分がいかに経験不足か、いかに知識不足かを晒しているようなものなのかもしれない。

思考が単一なのは、シナプスの結びつきが少ないことを意味しているのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?