2023年10月24日付経済教室財政・金融政策の針路(中) 正常化は拙速避け慎重に

今後の国際環境の激変が現在の日本のマイルドなデフレ環境にどのような影響を与えるか。筆者は日銀の役割として以下を指摘する。
日銀の政策転換のリスク
日銀が積極財政に転換するとマイルドなデフレ過程を不安定にし物価と金利の急上昇、さらには財政危機を起こす可能性がある。したがって日銀はこのようなアプローチを避け、市場の安定を維持する責任がある。
市場との対話の重要性
日銀は市場との継続的な対話が必要。現在の物価高は一時的なものであり、継続的なものではないことを強調する必要がある。
金利政策の調整
長期金利の上限の撤廃やマイナス金利政策の終了は過度に抑制されていた金利を正常化するための措置であり、継続的な金利上昇のシグナルではないことを市場に明確に伝える必要がある。
日銀の役割は非常に微妙で、市場の信頼を維持しながら経済の安定を確保することが強調されている。市場が不安定になった場合、その結果は経済全体に深刻な影響を及ぼし、デフレ過程を終了させ、より大きな財政と経済の問題を引き起こす可能性がある。
アメリカで今年物価と金利が急上昇している。パンデミックの金融緩和策を正常化させる過程で反動として起きている。日本は30年間デフレが続いてきているのでそれを正常化しようとする時の反動はアメリカの状況よりもさらに激しいものと予想される。近くそのような事態になるかもしれない。

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