2023年11月14日経済教室 賃金の硬直制打破が重要

海外では物価が上がり金利が上昇している。一方日本では賃金や物価が上がらず金融政策も緩和が続いている。この違いがマクロ経済にどのような影響を与えるか検討する。
日本は賃金が上がりにくいという上方硬直性が指摘されている。
名目賃金に上方硬直性があり上限がある場合、実質賃金に上限が生じる。名目賃金が人手不足を反映した形で十分上がらない場合は、経済は供給不足が生じる。需要がどれだけ大きくても供給側の要因で労働量が制限され、経済全体の生産量が左右される。
この状態で物価が上がると、人手不足が拡大し、国内総生産がむしろ減少することになる。
供給制約が表面化している日本で有効な対応は何か?
まず労働力の供給量を増やすことだと筆者は指摘する。女性や高齢者の労働参加を増やすことや労働の質を高めることである。質を高めるためにはリスキリングや人的資本投資が重要である。
また名目賃金を上げるにはどうしたら良いか。日本では制度的に一度引き上げた賃金は引き下げにくい。将来が不確実な環境下では企業は賃金を上げにくい。筆者は労使合意のもとで客観的指標に基づき賃金が増減する契約を許容するなど柔軟に賃金の上げ下げを可能にすることを提案している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?