NTT法改正の論点(下) なお存在意義、廃止は不適切

NTT法を巡る議論が山場を迎えている。筆者は(1)ユニバーサルサービスの確保(2)公正競争の確保(3)経済安全保障の確保の3点に分けて解説している。
ユニバーサルサービスの確保であるが、NTTは前身の電電公社の資産を引き継いで業務をしているので質の高いサービスを公平に提供するという公共的な役割が期待される。
公正競争の確保だが、通信の競争政策は電気通信事業法のNTT法が両輪となっている。通信の競争は料金だけでなく設備面での競争も公正さが担保されていなければならない。NTT法が対象とする設備競争の観点を抜きにした通信の公正競争は考えづらく、NTT法の廃止は慎重であるべきと筆者は指摘する。
経済安全保障については、外為法での規制は限界がある。外国人等の議決権割合をNTT株式会社の3分の1未満と定めるNTT法6条の規定を維持すれば外資に乗っ取られる恐れはないと筆者はいう。
このようにNTT法は依然として意義があるので廃止をすべきではなく、部分的に時代の変化で実態にそぐわなくなった箇所を改正するというのが現実的である。

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