診療・介護報酬改定の課題(中) 制度の枠越えた資源配分を

筆者は診療報酬改定の課題を2つ取り上げる。一つ目は医療と介護の連携の課題だ。医療と介護がお互いに影響を及ぼすことは少なくない。高価だがよりよい医薬サービスが健康を増進し、結果介護サービスの費用を抑える場合がある。レカネマブという認知症の進行を遅らせる医薬品が開発された。医薬品は医療費で支払われるが、認知症の進行を遅らせることにより、将来の介護費用を削減できる可能性がある。
経済学では市場の生産や消費が他の市場に効果を及ぼすが、対価を払ったり得られたりしないことを外部効果という。
外部費用が大きい場合は医療保険と介護保険の枠組みを超えて適切に資源配分されるように医療保険と介護保険を俯瞰する機関での決定が必要と筆者は主張する。
二つ目は医療DX推進で開示すべき情報と情報活用に関する課題だ。
新制度で開示されるのは医療の機能についてであり、医療の質についての情報は乏しい。先行する外国の例に参考に質の情報についても開示をすべきと筆者は指摘する。患者の選択を増やすだけでなく、医師にとっても他の医師と比較が可能になり、技術向上の機会が提供され質の改善を促されるという。
また集められた情報をどう健康と結びつけていくかはこれからの課題と筆者は指摘する。データ活用を通じて健康の改善、状態悪化を遅らせるなどの成果の可視化も必要である。
医療保険と介護保険の枠組みを超えた連携が必要という筆者の指摘はその通りである。社会的に最適になるよう制度を設計してもらいたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?