2023年11月6日付経済教室 NTT法改正の論点(上) 通信政策の将来像設計、先決

電気通信事業法は通信サービスの効率的かつ安定的な供給を通じて国民の利便を確保することを目的としている。公正な競争がその手段であることを明記し、事業者が守るべき規律を規定している。
一方NTT法は通信市場のキープレイヤーである、NTT持株会社とNTT東日本、NTT西日本のそれぞれの役割と責務に関する規定とこの3社にのみ適用される特別な法律を定めている。「ダイナミックな環境変化の下で政策目的を常に見直し、電気通信事業法とNTT法のより良い形や機能を模索し続けることは通信行政にとって重要な課題だ。」と筆者は指摘する。
新たな通信政策でもブロードバンドの提供に関して最大の固定網事業者であるNTT東西への規制は残る。一方義務を果たすための必要なコストを社会全体で負担する仕組みも必要である。NTT東西の負担に全て頼るのも不適切である。
NTT法を巡る問題は「予想される環境変化の下で、国民全体の利便を最大化する観点から通信産業やサービスのあるべき姿を確定したうえで、それを効率的に達成する手段としての電気通信事業法を含む通信政策全体の将来像を描くという観点から検討を進める必要がある。」と筆者は主張する。

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