研究計画書の作り方

はじめに

研究計画書とは、あなたが研究しようとする内容を簡潔にまとめたものです。大学では、卒業論文や卒業研究といった形で、4年間の学びの集大成をつくるところが多いです。これを研究といいます。

では、あなたの研究は誰のためのものでしょうか。
 あなたのため?
 先生のため?
 おうちの人のため?

それらすべてが答えです。

つまり、自分を含めたみんなのためのものなのです。したがって、誰が読んでも中身がわかるものにしなければなりません。

計画とは

研究計画書の計画とはあなたの計画を書いたものです。一般的には、次の項目を含みます。

  • 研究テーマ

  • 研究の背景

  • 先行研究紹介

  • 研究の目的(と仮説)

  • 研究の方法

  • 予想される結果

  • 参考文献一覧

おおよその目安で、研究テーマから予想される結果がA4 で1枚程度、参考文献一覧がA4で1枚程度です。

研究テーマ

研究テーマは、あなたが何について研究しようとしているのかを端的にまとめたものです。タイトルとも言います。

研究の背景

研究の背景は、次の3つの項目を入れるとわかりやすくなります。

  1.  研究の動機

  2.  テーマへの興味関心

  3.  テーマの重要性

つまり、なぜそのテーマに興味を持ったのか、という個人的な理由を示したうえで、そのテーマに関心をもつのは自分だけではないと思わせる社会的背景や理論的興味を説明します。これらをふまえ、そのテーマがなぜどのような点で重要なのかを書いていけばよいのです。

先行研究紹介

先行研究とは、同じようなテーマについて先に出版された研究のことをいいます。あなたにとっては新しいアイデアであっても、ちゃんと調べると似たようなことを考えて出版している人は必ずいます。ですから、必ず前に出版した人の研究には目を通しましょう。そのうえで、自分のアイデアと同じ部分と違う部分を区別しなければなりません。この作業を先行研究紹介といいます。

研究の目的

先行研究紹介が終わったら、研究の目的を決めましょう。最も一般的な方法は、先行研究でここまでわかったが××という部分はわからないので自分が明らかにする、とすることです。これを研究の目的にすれば、先行研究とのつながりもスムーズで、学術的な意義を示すことも容易になります。

研究の方法

研究の方法は、具体的にどのような方法で研究するのかなぜその方法を用いるのか、を書く部分です。多くの場合は、指導教員が得意とする方法か先行研究で頻繁に用いられている方法にします。そして、これらの方法は大きく2つに分けることができます。

  1.  理論・歴史系

  2.  実験系

理論・歴史系は、先行研究や一次資料をたくさん読んで結論を導くものです。読めば読むほど良いといっても過言ではありません。一方、実験系は先行研究などから仮説を立て、実際に実験をした結果を分析します。分析方法は、統計学的な手法を用いる量的分析、テキストコードなどを作成する質的分析、両者を用いる混合分析があります。これらの分析方法は一長一短なので、どれが良いというわけではありません。あなたが明らかにしたいことを最もわかりやすく示すことができる方法が最善でしょう。

予想される結果

特に実験系の方法を用いる場合、あらかじめ仮説を立てなければなりません。仮説を立てて、実験して、その結果をあらかじめ予想しておきます。実験・分析をした結果、予想とは異なる結果が出ることがあります。帰納法的な論証です。そうすると、なぜ予想とは違う結果が出たのか、という新たな問いを立てることができます。こうして研究は発展していくわけです。

もちろん、仮説を立てない場合もあります。結論が決まっていないなかで、根拠を重ねていって結論を導き出す演繹法的な論証です。

参考文献一覧

参考文献は、文献検索エンジンを用います。日本語はCinii Articles、英語はgoogle scholarが良いでしょう。

https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja

これらのエンジンに、自分の興味のあるテーマのキーワードを入力し、検索をかけると一覧があらわれます。ただし、すべてを参考文献一覧に加得られるわけではありません。以下のものに限定しましょう。

  • 書籍

  • 論文(学術機関誌、紀要)

  • 報告書類(官公庁などが発行)

  • 新聞記事

  • 学会発表要旨* *研究分野によっては不可のところもあります

また、参考文献を探す際、困ったことがあれば図書館のリファレンス・カウンターへ行きましょう。大学に所属している場合、大学図書館の司書さんが相談に乗ってくれます。

さいごに、文献の示し方です。これは、研究分野によって異なります。ここでは、シカゴ様式に近いスタイルを例として挙げておきます。

(1)  論文の場合
 著者名 (発行年) タイトル. 機関誌名 巻(号): ページーページ.
(2) 単行本の場合
  著者名 (発行年) タイトル. 出版社.
(3) 単行本の一部引用の場合  
     著者名 (発行年) タイトル. 著書名. 出版社: ページーページ.
(4) 翻訳本の場合
  著者名: 翻訳者名 (発行年) タイトル. 出版社: ページーページ.
(5) ウェブサイトの場合
  著者名 (発行年) タイトル. http://www. xxxx.jp,(参照日 2024年1月1日).
※英数字記号とスペースの表記は半角で統一しましょう。

おわりに

ここで示した研究計画書の書き方はひとつの例です。必ずしも、これと同じように書く必要はありません。そのため、研究計画書の例を添付していません。あくまで手掛かりとして、自分の考えを整理してまとめてくださいね!

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