見出し画像

幻想の狭間にある虚空。

3月、過去のエネルギーを軽やかに捨て去った私は、再び新たな世界を創造し始めた。

登場人物は一新され、それまでのわたしを作り上げてきた人物は誰もいない。

強いていうならば家族だけが、新たな世界においても存在を許可されている、という感じだ。

ようやく新しい世界の基盤が整ってきた今、「生きる世界の移行の瞬間」に起こったこと、感じたことを、記録として残しておきたい。

「わたし」を作り上げる世界から、「わたし」を作り上げる世界に移行するその一瞬の狭間で、「わたし」は不在を感じている。

そこにはたしかに肉体としての「わたし」は存在しているのだけど、過去の意識の産物である「わたし」は存在していない。

その瞬間、世界に静寂が訪れる。

まるで、「わたし」の存在しないところで、映像が動いているかのような感覚を覚える。

「わたし」は「わたし」を見失う。

一才の感情を失ったロボットのように、ただその瞬間に存在する。不在として存在するパラドックスだけが生まれる。

その一瞬が過ぎ去ると同時に、焦燥が現れる。

それは「わたし」という意識体がもうこの世界に戻ってくることができなくなってしまったのでは?という焦燥である。

必死で「わたし」をわたしたらしめる何かを確かめようとする。

「わたし」の喜びは?情動は?感動は?悲しみは?怒りは?苦しみは?

どこへ行った。

しかし、何も湧いてこない。

湧いてくるのは、感情のない空虚だけである。
数日の間、それをただ味わう。

突然、「わたし」が戻ってくる。

いや、急に引き戻される。
の方が近いかもしれない。

ホログラムが突如動き始め、
目の前のスクリーンに新しい景色が映し出される。

「わたし」はまだ、その動きに適応することはできない。しばし動揺が続く。

しかし、映し出された景色は徐々に馴染みのあるものへと変化する。

「わたし」は新しい世界に恐る恐る触れ始める。
触れては、五感に問いかけ、それは確実に触れることができるものであるのだと思う。

「わたし」は世界の実体を感じ始める。

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは自分自身の感性を磨き、より豊かな表現活動をしていくことに充てさせていただきます。