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そらるさんの文章が上手い理由がわかった

小説『噓つき魔女と灰色の虹』

昨年、そらるさん作ボーカロイド曲『噓つき魔女と灰色の虹』を原作として、本人執筆の小説が刊行されました。

本人が書いているの、普通にやばくないですか(語彙力)。
ゴーストライター的な話ではなくて、
原案を投げて物書きのプロに文章を依頼する形もできるでしょうに。

2020年冬、世の中が不穏な空気に包まれ始める中で、そらるさんが人知れず小説の執筆を始めていた頃、
まふまふさんにはそのことを伝えていて、「自分でやってるんですね?」ってまふまふさんも言ってたらしいじゃないですか。(2020年3月14日配信

本人は後に振り返って「安請け合いするもんじゃないな」と後悔したぐらい、それはそれは大変な作業だったようです(2023年7月22日ファンミーティング)。
それはそう。小説を書くって本当に大変だと思います。

私は無理です。おそらく日本語歴30年以上経っても無理だと思うのだから、あと30年生きても難しいだろうな。
小学生の頃は毎日図書館に通っているような、一見本好きっぽい少女でしたけど(ついでに図書委員長)、せいぜい翻訳家を夢見ていた時代が一時期あった程度で、自分自身で一から創作をしようとは全く思いませんでした。
自分に才能がないことをよく理解してるタイプの、才能なし人間です。

『噓つき魔女と灰色の虹』はダ・ヴィンチの連載も単行本も読みましたが、
そらるさんってなんでこんなに文章書けるんだろうって純粋に疑問に思いました。

文才って、天性で備わることはありません。
人間の言語はすべて後天的な実力です。

ひらめきやセンスに関しては、先天的なものもあるかもしれませんが、
基本的に文章力は生まれてから身につける以外にありません。

そらるさんの文章が上手い件

今回は『噓つき魔女と灰色の虹』の文章に言及する回ではありません。
それもいつか書いてもいいですね。

そらるさんの文章はなんでこんなに上手いんだろうか?という話をする回です。

文章が上手い人って、たくさんの文章を読んでいる人、そして日頃文章を書いている人だと思います。
はっきり言ってそらるさんはそのどちらでもないと思います。
(私は読書マウントみたいなの野暮だと思っている勢なので、活字を読む量に関してはどっちでもいいと思います。強いて言うなら何冊読むかではなく、そこから何を得たかどうかという指標は参考にしてもいいとは思います。その程度の認識です。)

ちなみにそらるさんは漫画を読むのはめちゃめちゃ速いそうな。
年間1000冊以上買うとかなんとか。(2021年10月15日の配信など)
でも漫画を鬼ほど読めば、小説が書けますよってんじゃあ、苦労しないという話ですよね。そんな単純な話ではないと思います。

じゃ、なんでそらるさんは初めての小説でこんなにまともな文章が書けるんだ。
自分が本当に創作できない人間なので、心底不思議に思うんです。

文章力の理由がついに判明…!

この本読んでて、そらるさんの文章が上手い理由が分かりました。

本当に文章が書けなくて悩んでいる者らしい選書でしょう?
内容に関しては、上記の本を参考に書いている、下の本の方が読みやすいかもしれません。

物事をはっきりと主張したい場合に、明確な出典を提示するというのは大事なことだと思うので、きちんと紹介してみました。

内容をここで私がだらだら説明しても読む気になれないと思うので、詳しくは本を読んでください。
かいつまんで話すと、日本人の文章は下手だと。翻訳文化が盛んになった流れで、欧文スタイルと日本語のスタイルがごっちゃになって、文章の型がない。
かつての日本には、漢文を素読する教育文化があった。暗誦する。意味も分からないが繰り返し読んで覚える。これが文章を書く上で大事だという話。

文章をひたすら暗記することが、どう文章力につながるのかと思う人もいるかもしれませんが、
私は結構納得できる話だと思いました。

脳みそは筋肉と同じです。
昔やっていたスポーツを久しぶりにやったときに体で覚えているという現象ってあるあるだと思いますが、
筋肉と同じ原理で、言葉の使い方を頭で理解して覚えるのではなく、言語の感覚を脳みそで覚えるという発想はしっくりきます。

たぶん私はいろんなものを雑多に読みすぎています。いろんなジャンルの、いろんな文体の、いろんな文章を読んでいては、いつまで経っても自分の中で文章の型が身に付きません。

これが私が文章が書けないと悩む理由。

MIXで文章が上手くなるという説

そらるさんが文章を書ける理由はシンプルに、MIXをするからだと思います。

そらるさんは活動歴15年を越えた古参歌い手。
長く第一線で活躍してきていますが、特筆すべきは早い段階で自分の歌ってみたのMIXをする歌い手だった点です。
文章が上手い理由はこれです。これだけではないですが、絶対にこれは大きい。(いや、こういう理由だと思うという別の要素を発見した方は、それはぜひ書いてください。お願いします。)

私はMIXのことはわかりません。MIXどころか音楽自体ド素人です。
ただ、MIXってこういうことしてるんだよって見せてくれる配信を、ちょくちょく活動者さんがされているじゃないですか。
それを見た私のMIXのイメージは、同じフレーズをめっちゃ聴くんだな、です。
言葉を聞いているわけではなく、音を聞いているのだと思うので、作業している本人は歌詞を聞き飽きるということはないのかもしれませんが、
配信で端から見てると何回聞くねんっていう印象が強く残ってます。
MIXをこだわればこだわるほど、めちゃめちゃ聞き倒すことになるわけですよね。
そらるさんは9割完成!というところからが長いそうです。(2020年05月22日配信
もはや素人が音源を聴いてもわからない細部まで本当にこだわっている人だと思います。
ということは相当聴いているでしょうし、無意識下に頭に残っていると思います。

ざっと見積もって、そらるさんは自分が歌っている動画で500~600曲以上、CDでたぶん100曲以上、私の把握してる範囲で人の分も200~300曲はMIXしてますし、MIXの経験値は1000曲を軽く超えているでしょう。
公開してる分だけでこれですからね。

1000曲歌ったことがある人はいても、1000曲をしつこいほど聴きこんでいる人はなかなかいないのではないでしょうか。

となると、MIXを専門とするエンジニアは文章が上手いという話になるところですが、
文章の型の話には続きがあって、型を身につけて、自分で書いてみる、という工程がセットです。まあ当然といえば当然の話です。

そらるさんはMIXをするし、自分で作詞もする。
といっても、活動の比率的にはあまり創作活動は多くなかったのですが、2019年にアルバム『ワンダー』で13曲の作詞をしました。
そこで仕上がりきった状態で、2020年から小説の執筆に入ったのですから、それはもう初めての執筆にして、しっかりした文章をつむげるわけです。

日本語の流れを脳みそが覚えているのだと思います。
だから癖の強くない読みやすい自然な文章が書けるのも納得できます。
昔の長いブログなんかを読むと、それ以前からそらるさんは文章読みやすいですけどね。
もともとセンスがあったところで、歌詞の反復経験により、さらに語感に磨きがかかったという考察でいかがでしょう。

もちろん小説も最初の連載の時は、文章に初々しさもあります。手探り感もあります。それでも十分上手いです。描写が緻密だし、流れがいい。私には真似できない。
連載された分を本人がじっくり手直しして、より洗練された単行本は、本当に感服の一言に尽きます。


今回はそらるさんのすごさのほんの一側面をピックアップしただけに過ぎませんが、
歌い手としての活動を続けてきた中でそらるさんは一朝一夕には得られないものをたくさん身につけていると思います。

そういうことにもっと気づいていけるリスナーでありたいと思います。


文章を書くのが下手なので、長くなってしまいましたが、
ここまでお読みくださりありがとうございました!
今後の励みになるので、
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AY

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