オタク街コンのメロス

 メロスは戦慄した。必ず、この無味単調な生活を変えねばなければならぬと決意した。メロスには恋愛がわからぬ。メロスは、オタクの喪女である。Twitterのタイムラインに張り付き、画面の中の男を追いかけて暮して来た。けれども若手俳優の匂わせに対しては、人一倍に敏感であった。

 こんにちは、メロスです。
 題の通り、人生で初めて街コンに行った話です。特定防止のためあることないこと書きますが、ベースは実体験です。なお、この記事は予告なく加筆修正、または削除される可能性があります。

 きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれたこの街コンにやって来た。

 最初はなるべく近場で開催されるものに行こうと思っていたのですが、諸々の条件(後述)を踏まえて「別に行けるけどまあ遠いわな」くらいのところへ行きました。せっかく参加するなら人が集まる都会の方が効率良い気がします。

 事前に調べているうちにメロスは、オタク街コンなるものの様子を怪しく思った。どのサイトも「気が合う人がいたらいいなー」のテンションではない。恋愛前提の出会いの場というのは当たりまえだが、けれども、なんだか、婚活を押し出したイベントが多い。
 のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。

 どれに参加するかは結構迷いました。
 街コンは各地で毎週ばんばん開催されていますが、プログラムにワガママ言い出すとどこにも参加できないんですよね。
 当初の希望としてはこんな感じでした。

  1. 20代限定(メロスも20代であるため。また30代は婚活目的の人も増えるため)

  2. 近場で開催(遠いと移動中に気が変わってドタキャンしてしまうかもしれないため)

  3. 可能なら2時間以内で終わる(よく知らない人と何時間も一緒にいるのは疲れるため)

  4. マッチング成立した人とのみ連絡先交換(むやみに連絡先を教えたくないため)

  5. 複数対複数のグループ制ではなく、1対1で話すのがメイン(会話についていけない気がするため)

 当たり前ですが上記をすべて満たす街コンはありませんでした。自分の中で条件に優先順位をつけて、実際に参加したのはこんな感じのやつです。

  1. 20〜32歳限定

  2. 電車で行ける圏内で開催

  3. 2時間以内に終了予定

  4. 連絡先交換は原則自由

  5. 全員と1対1で話す(回転寿司形式)

 メロスは、単純な女であった。スマホと財布しか入らないような小さなバッグを、手に持ったままで、のそのそ会場にはいって行った。たちまち彼女は、身分証明書の提示を要求された。調べられて、特に問題がなかったので、プロフィールカードの記入を求められた。メロスは、参加者の前に引き出された。

 会場へは時間に余裕を持って向かうのがおすすめ。開始時間ぎりぎりの受付だとプロフィールカードを記入する時間がなくなってしまいます。これをお話しするときに見せ合うんですね。

 項目としては名前、年齢、職業、年収、好きなタイプなどのように定番のものから、好きな漫画、アニメ、ゲーム、映画などオタク街コン特有のものまでぎっしり書く欄がありました。
 のんきなメロスとしても、好きなコンテンツに例えば「あんスタ!ツイステ!うたプリ!ヒプマイ!」と記入するのが悪手であろうことはわかりました。要は会話の取っ掛かりになればいいので、「知名度の高い作品(性別問わず人気の作品)」かつ「自分がちゃんと好きな作品」を書くのがベターな気がします。にわかはオタクが一番嫌いな生き物です。
 メロスは全身の骨が反り返っているので、鬼滅の刃やスパイファミリー、呪術廻戦や東京リベンジャーズなど近年の有名タイトルを見たことがありません。ワンピースfilm REDも観ていません。内心「やべ〜ぜ」と焦りながら、チェンソーマンやTIGER&BUNNYなどを挙げました。メロスの会社じゃチェンソーマンはみんな好き。いいよねカレ!
 アニメ放送中のチェンソーマンの食いつきがいいのは予想通りでしたが、アニメ化されていない比較的マイナーな漫画を添えておいたところ、思ったよりも知ってる人がいたので嬉しかったです。あと想像以上にワンピース好きな人が多くて慄きました。

 メロスは、未来の友に自分のプロフィールを語った。セリヌンティウスは無言でうなずき、メロスもまたセリヌンティウスの話を聞いた。友と友の間は、それでよかった。

 前述の通り、数分ごと(5分くらい?)にセリヌンティウスが席を移動する回転寿司方式で、全員とお話しできました。ちなみに参加していたセリヌンティウスは全部で8名、メロス側も8名でした。ちゃんとチェックしていないのですが、そのなかでも著者のメロスが一番年下だったと思います。
 自己紹介が一巡終わった後、三人までアプローチカードを渡せます。Twitterのいいねみたいなことです。そのカードを集計してそれぞれの参加者に配った後、その結果も踏まえていよいよ本命を指名します。筆者が参加したときは第三希望まで書けました。
 最後にスタッフの方からマッチングしたカップルを番号で発表されます。参加したときはマッチング率は50%以上でした。メロスもセリヌンティウスとマッチングできたので、二人で会場を出て近くのカフェで茶をしばきました。

私は信頼されている。私は信頼されている。

 結構満足のいく結果ではあったので、ポケモン新作やる時間を割いて行ってよかったなーと思いました。ただ後で気付いたことが色々あって、マッチングしたセリヌンティウスが三つほど年上なのもあって結婚願望がっつりあるタイプっぽいんですよね。対して筆者は結婚とかまだ全然わかんね〜ぜというか、現実的に検討できない状態にいます。

 セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。

 あと初対面だったので相当猫被って振る舞ってしまい、若手俳優のオタクであることも今年のクリスマスが両日現場で埋まっていることも言えずじまいでした。ついでに過去の恋愛遍歴も聞かれて「喪女です」とは言えず、適当に捏造したので次会うとしたらその設定覚えてるか不安です。

 私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! メロス。

 メロスの明日はどっちだ!
 ご清覧ありがとうございました。

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