フランクフルト

金融はやはりロンドンではないか

フランクフルトは清潔で良い街です。EUの宗主国ともいえるドイツの金融の中心ですし。

Brexitになると、国際金融の中心がロンドンからこのフランクフルトに移るのではないか、と取りざたされています。パリの可能性もあるが、やはり経済力から見て、ドイツではないか、というわけです。

フランクフルト、ブリュッセル、パリと駆け足で巡ってみると、まあ、どこもいい勝負なのかなあ、という印象でした。

でも、やはり国際金融取引のコアはロンドンに残るような気がします。ユーロパスポートが使えなくなると確かに不便ですし、イギリスの経済力、国力の低下が予見される中では、少しは機能の欧州大陸移転はあるでしょう。名目上の本部を、たとえばフランクフルトかパリに、という選択肢が現実的かも。

しかし、金融の世界では、使用言語はドイツ語でもフランス語でもないでしょう。国際金融のプラットフォームは英語で出来上がっている。日本の国内取引ですら、ホールセールは英語カタカナのオンパレード。単語を並べるだけでも通じてしまいそうです。たとえば「スプレッドをモアジェネラスにできないか?オーバーナイトのマーケットセンチメントをみてダンしよう。いざとなったらフライデーナイト・レイドだ」みたいな会話が日常です。デリバティブ取引はもっとです。そもそも派生商品なんて日本語が死語に近い。

加えて、長年月に作られてきた金融慣行や蓄積は、何と言ってもロンドンです。大陸欧州とは数十年以上の差があると思う。金融取引は、とくにマーケットオリエンティッドの商慣習とそのルール化が大切。これらに通暁することが、第一歩になりますが、その総本山はロンドンです。

さらに、規制は厳しすぎない方が良いし、民間の知恵を活かす余裕が不可欠。そもそもユーロダラーがロンドンで発展を見た要因は、規制の鷹揚さにありました。EUの規制は総じて厳しい。安全かもしれないが、プレイヤーにしてみると窮屈だし、思い切った金融イノベーションにも腰が引きかねない。投資者や参加者の保護は言うまでもなく最重要ですから、甘い規制が良い、ということにはなりませんが、革新的な取引やスキームの工夫には自由度が大切です。

何だかんだいわれても、こと金融についてはロンドンが引き続き重要なのではないかな、と感じています。

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