「辞めよう」と思った時、ありますか

 こんにちは。

 皆さんは何かを「もう辞めてしまおう」って思ったことはありますか?

 私は現在舞台『魔法少女、辞めます。』真っ只中(正確には延期期間中)にこのnoteを書いています。私の解釈てんこ盛りなので、もし違ったら怒ってください。


 今回の舞台は、主人公である横尾成美が魔法少女を「辞める」と決めて、でも「本当のところはどうして辞めるのか!ハッキリと言ってくれ!」と言われて言い淀んでしまいます。
 この世界では、魔法少女/魔法使い/魔女と明確に段階づけられています。17歳から10年経っても魔法少女の成美。20歳なのに魔法使いに昇格した後輩の雪。一生懸命な魔法少女19歳の夢子。そして、成美の最たる対比であるとも言える葵。
 田村葵、彼女は最年少で魔女になりメディアからも大きな注目を浴びています。成美は自身より先に辞めた同期の加奈子と3人で集まり、「葵は才能があった」「葵にとって魔法少女は天職だ」「自分にそんな才能はなかった」と溢します。同期の3人だから溢せた本音。それに対して葵は「やりたいならやればいい」と一蹴します。加奈子は、成美を魔法少女にした妖精のサクライに対して、「成美はこのまま辞めて幸せになれると思う?」と問いかけます。


 “やりたいならやればいい”
 それって、真理だと思うんです。でも、やりたいからってそれが自分に向いているとは限らない。そこで葵に強く言い返さなかったのも成美の優しさなのかなって思いました。


 だって、自分に才能があるかわかんないじゃん。
 才能がなかったら努力すればいいって、その努力が絶対に報われるとは限らないわけで。
 そうやって考えている間に自分の人生は少しずつ終わりに針を進めている。
 やりたいならやればいいって、それはうまくいった人のことでしょ?
 うまくいかなかったら、私の時間はどうなるの?

怖いです。



 私はありがたいことに、まだ自分から何かを“辞める”という選択をしたことはありません。
 唯一したことは、自分から「お芝居を始めてみよう」というスタートラインの選択だけ。でも、仮に、もし仮に自分がお芝居をやめようっていう選択をしたとしたら、成美みたいにちょっとした嘘を吐くんだろうなって思います。まだわかんないですよ、始めたばかりで辞めるなんて想像もつかないけれど。

 そんな中で、葵様が
「私は意地でも続けるから!」
「私の大好きを証明するには……続けることだから!」
って言ってくれた時は自分のミミという役と、私という人間の両方が合わさって舞台袖で涙ぐみました。

 大好きな葵様が続けるって言ってくれたのが嬉しい。
 大好きを証明するために続けるって、宣言してくれて、私の考えが間違ってなかったんだなってわかって嬉しい。


 その一方で、成美は綺麗で大好きな思い出のまま終わりたいから!と言って辞めることにした。

 きっと、2人の選択はどちらも間違っていないと思います。
 残されていく人、残していく人、たくさんの人の気持ちを背負って「続ける・辞める」という選択をするのでしょうけど、本当に大事なのは本人の気持ちです。




  冒頭で、「辞める」って決めたことはありますか?と聞きました。私はやっぱりありません。どうしても仕方なかったという理由で辞めたことしかなくて、一大決心して「よし!もう辞めよう!」って思ったことがありません。辞めるって、どんな気持ちなんですかね。たくさんのパワーを使って、辞めたあとも「本当にこれでよかったのかな」ってきっと思うんだと思います。
 でも、私はどんな選択をした人も肯定したいし受け止めたい。自分がどんな選択肢をしても、自分のことを「よく頑張ったね」って抱きしめてあげたい。……本当は、止めたいけど。辞めてほしくないよって言いたいけど。それを言う権利が私にはないのかなって思っちゃいます。

 もし私が何かを辞める時がきたとしても後悔のないように、今を一生懸命生きたいと思います。


『魔法少女、辞めます。』私にとってとても大事な作品になりました。
携われて幸せです。ありがとうございました。

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