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『会いにいこう』を、生で聴きに行った。

2023年7月21日から、東海道・山陽新幹線の車内チャイムが変更された。これまで使われた『AMBITIOUS JAPAN』に代わるのは『会いにいこう』。「JR東海」所属(オレンジのJRマーク)の車両で聴くことができる。

原曲は、岩崎太整さん作詞作曲、「UAウーア」さんが歌う。コロナで落ち込んだ需要が戻ってきたのを契機にした「会いにいこう」というキャンペーンのタイアップとして制作。賀来賢人さんが出演するCMにも起用され、新幹線沿線にあるテレビ局で随時放映されている。

2003年から20年使われたチャイムが変更されるだけだが、「日本の大動脈」だけあって注目度は高く、全国ニュースでも取り上げられたほど。

個人的思い出

僕自身も思い出がある。幼い頃に米原から新大阪までよく使い、よく聴いていた。その上、2003年に流れていた『AMBITIOUS JAPAN』のCMを5歳当時ながら覚えている。それだけに消えゆくチャイムの寂しさがある。一方で、心躍る新曲への期待もある。

生で聴きたくなって。

そんなチャイムをぜひ生で聴いてみたいと思い、京都から新大阪という短い区間で聴きに行った。

京都駅。いつも通りたくさんの人。

「スマートEX」というアプリで自由席を予約。「モバイルSuica」をかざして改札へ。そこから「新大阪方面」のホームへ。

悔しいのか、やり過ぎたのか…

余談だが、ホームで新幹線を待っていると中国系の観光客に声をかけられ、翻訳アプリを差し出された。

16:16の「のぞみ」は西明石行きますか?

と聞かれて、発車標を確認。しかし、

  • 直通で行ける「岡山行きの“ひかり”」が直近で無い。

  • 乗りたいと言ってた「のぞみ」は「新大阪行き」

  • そもそも「のぞみ」は始発以外止まらない。

「change(乗り換え)」と説明するなど、複雑化。京都から新快速を使うことを提案しようとしたところで「大丈夫です。他をあたります」と告げられて去ってしまった。

自分の悪いクセがまた出てしまったし、鉄オタのプライドが強過ぎて、ムキになった面もある。ここは「駅員というプロ」に任せといた方がいい。悔しいような、やり過ぎたような。心まで複雑になってしまった。

食べて飲んで待って

JR東海オリジナルのコーヒー。バランスの良いビター感。
「サーティワン」の自販機あんねやぁ。ちなみに、新大阪には「GODIVA」のアイス自販機があった。

そんなこともありつつ、飲んだり食ったり待ってると列車が来た。

N700系
「ひかり」に乗る。

やってきた列車のJRマークが「オレンジ色」であることを確認して乗り込む。これが「青色」だと聴くことはできない。

MVのような、沿線の風景

清々しい晴れ。MVと一緒やん!
阪急と瞬間的すれ違い。
「泉北高速鉄道」って書いたる「トラックターミナル」。こないだ行ったときにこのポスター見たなぁ。こんなとこにあんねやなぁ。
摂津市「鳥飼(とりかい)」にある車庫。検査もできる大きなところ。

景色を見ながら、『会いにいこう』の原曲フルサイズも聴いてみた。曲の舞台である新幹線で聴くのは初めてだったが、快晴と上がるスピード、曲のテンポで気分が上がる。

流れたチャイム

そして、注目の瞬間。

使われている場所はサビの後半部分だと見た。最後の部分が上がってるところが完全にそれ。歌詞にするとこの部分。

会いにいこう どんなときでも

この瞬間のために、SNSやYouTube上にあるこれを紹介する動画を一切見聴きしなかった。20分で京都駅へ来れるところに住んでいるから、己の耳で確かめたかった。故にこの瞬間が嬉しい。

聴いてみると、原曲の明るいトーンがチャイムでも反映されている。旅の始まりに相応しいものに仕上がっている。

違うバージョンある?

ちなみに、途中駅用もあるのかと探してみた。

すると、1本の動画の概要欄に

  • 「始発・終着用」「途中駅用」は全て一緒

  • 「N700A」と「N700S」でアレンジが違う

という記載があった。

1種類だけ、でも違うらしい

『AMBITIOUS JAPAN』や「JR西日本」所属車両(青色のJRマーク)のチャイム『いい日旅立ち〜西へ〜※』は

  • 曲の冒頭(始発・終着用)

  • サビの始まり(途中駅用)

の2種類ずつ用意されていたが、『会いにいこう』は聴いたバージョンのみになっていた。

しかし、形式によってスピーカーの位置が異なることでアレンジは変化しているそう。

※山口百恵さんが歌う『いい日旅立ち』のJR西日本のキャンペーン向けアレンジバージョン。原曲とは一部歌詞が異なる他、鬼束ちひろさんが歌唱している。

確かめよう!

折り返しも新幹線
帰りのきっぷ

それを確かめるべく、戻りの列車でも聴いてみた。行きは「N700A」タイプだったので、今度は「N700S」を狙って、新大阪から乗った。

響きの違う2車種

N700S

乗り込んで新大阪発車後の聴いてみると、確かに響き方は違う。

  • 「N700A」→鉄道でよくある、こもった響き

  • 「N700S」→いい値段のするヘッドホンのような、くっきり広がる響き

音の細かいところまで聴き取れて、アレンジ関係無しに聴こえ方が違う。録音レコーダーをスピーカーにかざせば、さらなる違いもどこかわかってくるかも。

2曲の共通点

『AMBITIOUS JAPAN』と『会いにいこう』は共通点があるように思う。それは

新時代の幕開け

というところ。前者は2003年10月の東海道新幹線ダイヤ改正に向けた曲で「のぞみ」が倍以上に大増発という新時代。後者は「コロナ禍」という未曾有の危機を乗り越えた「ウィズコロナ」になった新時代。

形は違うし、後者は少しネガティブからのスタートという面もある。ただ、新たな時代の節目という点では近しいものを感じる。

復活するかも?

聴き納めにはなったが、復活の可能性もある。

というのも、東京駅では、ホームの発車メロディが、通称「のぞみチャイム※」。

山陽新幹線の新神戸駅から博多駅までの各駅ホームでは、到着放送のチャイムが同じく「ひかりチャイム※」。各々復活している。

※2003年10月まで使われていた東海道・山陽新幹線のオリジナルチャイム。車両の所属会社ごとに分かれている現在とは異なって、「のぞみ」と「ひかりとこだま」でチャイムが分けられていた。

だから、『AMBITIOUS JAPAN』もいずれどこかで、またお耳にかかれたりして…
知らんけど。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。