【ペルソナ】これから開業をかんがえる獣医師が知っておいた方がいいこと⑥

獣医大学を出て、臨床を5-10年程経験して、よし!開業するぞと思っている方には馴染みのない言葉だと思いますが、ペルソナとはビジネスマンであれば当たり前に使っているごくごく初歩的な言葉です。

今回は、そんな動物病院を開業するにあたり避けるべきではないペルソナの設定について一緒に考えていきたいと思います。

1 ペルソナとは

 ペルソナとは、病院の利用してくれる具体的で典型的な人物像です。

自分がこれから開業する動物病院に来るお客さんをリアルに想定したことはありますか?

お客さんの人物像をよりリアルに考え、この人がどういう行動や思考をするか想定していき、その人に刺さるような病院のコンセプトや病院の雰囲気、コンセプト、サービス、ホームページとブランディングしていくというのが集客する上で大事な考え方なのです。


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2 ペルソナの設定する前に

開業したいと考えている方々は、得意分野やどういう動物病院を作りたいか等の夢があると思います。

しかし、実際に理想どおりに立派な病院を地元で開業して、トリミングサロンやペットホテルを併設して、自分の腕を信じてこれからやっていこうと始めたけど、1年、2年経ってもお客が増えず、スタッフや賃貸の支払い、借金の返済が出来ずに潰れていく。

これが今の日本であまりにも多く起こっています。もう昔の常識とは違います。地元に帰ってとりあえず動物病院を開業してがむしゃらに頑張ればいずれ成功するという時代はもう終わってしまいました。これに気が付かずに開業するのはかなり危険です。せっかくの夢が失敗に終わって欲しくないのです。

では最低限何をするか。まずペルソナを設定する前に以下の3つを考える必要があります。

① やりたいことを明確にする

② やりたい場所を決めてそこに市場があるか(市場規模)

③ 競合がどういうところの飼い主が抱えている課題や期待を満たせていないか。その課題や期待を自分たちがやろうとしていることが満たせるか。


例えば、犬専門の動物病院を田舎に建てたいと考えているします。その地域の犬の飼養頭数が5千頭だとして、すでに4件動物病院があったら、どうでしょう?

シェア20%にいったとしても1000頭しか病院に来ない。年間平均1回受診してくれるとしても月80件程度、1人あたり平均1万円だとして、月80万円の売上、原価と人件費、家賃等を引くと、、、悲惨です。

・場所にこだわりがあるのであればやりたいことを変える。(またはブラッシュアップする)

・やりたいことがあるのであれば場所を変える。

そして、犬の飼養頭数は年々減少しているため、衰退市場です。衰退している市場は売り上げが落ちていくばかりなのでかなり厳しい経営が待っています。


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3 ペルソナの設定

それでは実際に具体的な事例を交えてペルソナの設定を行ってみましょう。

ペルソナの設定を間違えたり、課題の仮説を間違えると、誰の心にも響かないサービスを提供する動物病院やそもそも客がいない動物病院が出来上がってしまいますのでかなり重要なポイントです。

正直獣医師が働きながら調査をするのはかなり手間がかかるところなので、外部委託して良いところだと思います。

*アンケート調査やデータリサーチした結果の見本*

1  地域にペット可のマンション増え(駅100m以内に5年で20棟400世帯)、猫を飼っている人が増えている。単身世帯が多い。

2  都内に働きに出ている人が多く、日中はほとんど人の動きがない

3  動物病院は駅周辺に3つあるが、20時までの病院が多い。

 ①2次病院:獣医師数10名。診察料が高い。MRIやCTがあり、高度な医療を提供している

 ②1.5次病院:獣医師数4名。古くからある地元密着型。犬猫を中心に診察し、親子2世代で経営している。主に不妊手術やワクチンなどで収益を上げている

 ③1.5次病院:獣医師数1名。エキゾチックアニマルなど幅広い種類を診察している。

4  猫の飼い主は30代後半の女性がマス層、犬の飼い主は高齢者の男性が多い。

5  地域にはペットショップが5件あり、ブリーダーは10件、猫カフェが3件、動物愛護団体が10団体、トリミングサロンが7件、ペットホテルが3件ある。

6  犬の飼養頭数は1万頭、猫の飼養頭数は1万5千頭、鳥千羽、ウサギ600匹、ハムスター500匹、その他5000(魚、モルモット、チンチラ、ヘビ、イモリなど)

7  買い物は働いている人は駅周辺の24時まで開いているスーパーかコンビニ、主婦層は近くのショッピングモールでする人が多い。

この結果から“猫”に特化した動物病院に決めたとします。そこでどんな人がこの猫特化動物病院を利用するかと考えると、

「37歳女性、ペット可のマンションに住むOL,都内勤務、平日の帰宅時間は20時、10時出勤。車は持っていない。趣味は旅行とスイーツ巡り。年収は500万で家賃は7万円。趣味、美容、ペットにお金をかけている。」

こんな感じでペルソナを設定し、この人が具体的にどう行動するのか(カスタマージャーニーマップ)を考えて、この人に選ばれるような病院にしていく(ブランディング)という形で動物病院を作っていくという流れです。

こう決めておくことで、ロゴデザインや名称、看板、病院の内装、ブランディングなどの軸ができ、この人だったらこういう雰囲気の方が好きそうとか可愛い感じのロゴよりもシンプルな方が響くかも!といった形でブレない経営判断ができ、選ばれる動物病院になっていきます。



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