見出し画像

空気階段「fart」感想

空気階段第5回単独公演「fart」が素晴らしかったです。奇抜な登場人物たちの言動に爆笑しながら、彼らの生き様や秘められた思いに触れることで人間の温かさ、生きることの美しさを再発見し、ラストは何とも言えない幸福感に包まれました。以下、ネタバレなしの感想です。

画像1

fart=おなら・愚か者
fartと名付けられた今回の単独ライブ。くだらなさや下品なジョークの象徴として扱われがちな「おなら」ですが、誰もがする生理現象だからこそ「生」の象徴として肯定的に捉えることもできる。タイトルに込められているのは「くだらなさや愚かさの肯定」であり、これまでも様々なコントで多種多様なはぐれ者を演じてきた空気階段だからこそ説得力を持つ見事な逆転の発想だと思いました。
また、各コントに登場するのは、はたから見たらどうしようもない愚か者たち。一見クレイジーな彼らですが、コントが進むにつれ彼らなりの動機や行動理念が浮かび上がってきます。このように、突飛な登場人物が単に「変な人」で終わらず、その人物のバックボーンや生き様を感じさせる世界観の奥行きが空気階段のコントの大きな魅力だと思います。さらにそれらの人物が出合い、交流することで不思議な優しさが場の空気を満たす。取るに足らないはずの人生が交差するとき、そこに生まれるのは優しさであってほしい。そんな願いが込められているように感じ、爆笑のコントライブを見ながら何度か感極まりました。

前回の単独ライブ「anna」は弱さの肯定だと感じたのですが、今回の「fart」ではさらに裾野を広げて生きることそのものを肯定しているように見えました。終演後の舞台挨拶で「単独ライブは来年以降も続けていく」と語っていた空気階段のお二人。来年はどんなコントを見せてくれるのか心から楽しみにしつつ、これからも応援し続けます。素晴らしい単独ライブをありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?