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ミーターの大冒険 第八部 地球 第1話 アタカナ

173第1話アタカナ
ミーターの大冒険
第八部
地球
第1話


アタカナ


あらすじ

ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアや同士ジスカルド・ハニスらのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

はたして地球の放射能汚染を除去することができるのか?

そしていよいよ太陽系外縁部のオールトの雲を抜けて待望した太陽系に突入して行く。
 
 鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。

そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。

新たな天体物理学者のミーターは、不死の従僕が月にいる理由を全て「宇宙潮流」理論で纏めあげる。

そしてミーターは人類と「宇宙潮流」との関わりについて惑星環境の土壌「墾化」現象に言及する。

ところが、ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は月の軌道目掛けて一直線のコースをとろうとしたところ、手前の火星地表で有機体とロボット(通常のロボットの反応とは違う)の存在をキャッチした。

ミーターの直感は火星に着陸する選択をする。

直感は当たった。
 ダニール・オリヴォーがいたのであった。あのアルカディアの念願であった、アルカディアに成り代わってミーター・マロウが不死の従僕に会えたのであった。

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ミーター 私とイルミナができることとは?

ダニール そんなに焦ることはない。地球は我らを待っていてくれるだろうからな。
 君の同僚のイルミナ君か。それにしてもあのアルカディア・ダレルは、なんと言う女傑なんだろうか!

ミーター イルミナは「帝国辞書編纂図書館」のイルミネーショナーです。アルカディア家の財産でそれをデータベース化といつでも必要なデータをホノグラフ化できます。
 それが何か?

ダニール アハハハハ、まあいい。そのうちそれについて話す機会もあろう。

とりあえず、君の能力はイオス星の温泉効果で放射能汚染帯でも、十分それの影響から免れるということだ。

ミーター 道理で、あのラヴェンダーのエキスの熱いお湯の中に4年。

ダニール そういうことだよ。わたしはかつて地球に降り立った時には厳重に放射能防御シールドにくるまれていたもんだ。それがなかったらロボットはすぐ機能停止になる。
 地上で活躍できるのは君だけなんだよ、ミーター君。

ミーター そういうことですか。それでまず何から着手するのですか?

ダニール もうすぐ火星での作業が完了する。そしたら月に行く。
 月から地球のウェルスクリークに行って、ゼオライトを採集してもらいたい。それからそれを元大陸の東に位置する島のニフに行ってもらう。

ミーター 驚きですね!ニフとは実在の島だったんですね、ダニール。

ダニール ニフの意味を教えておこう。ニフという国があった。もう一つはそれを後代に伝えようとした23世紀の英雄、ジョン・ナックの命名で、ニフティからということだ。「粋、洒落」という意味だ。ニフ人の生きざまを示している。

ミーター はい、ダニール、シンナックスやアルファ人の故郷ですね。

ダニール そうだ。そのニフの、ある場所に行ってもらいたい。

ミーター なんと言う地点ですか?

ダニール アタカナ湖。

ミーター なんですって!!

ダニール 500年前、私が地球を訪れた時、地表からの怪光を浴びた。
 その場所をもう一度確認してもらうためにガール・ドーニックとウォンダ・セルダンに行ってもらった。
 彼らの報告によると、ある泉だけが、汚染されていなかったと。
 今ではもっと広大な湖になっている。月からも確認できる。

ミーター ダニール、何もかも驚きです。
 なぜ、地球という名前が忘れ去られて、アタカナと呼ばれたのか。結局、シンナックス人ですか、アタカナという故郷の名前を後の時代に遺したのは?
 驚きです。

ダニール すべて、私自身のからくりだよ。歴史消滅にはそこまでやる必要があった。
 もっとも、少しだけは、秘密のベールの抉じ開け方は操作しておいたが。

ミーター と申しますと?

ダニール ハハハハ、アンテンニン庭園とカナの婚礼の絵図だよ。
 オーロラは私の故郷だからね。

ミーター なんとまあ!聴いてるか、イルミナ!

イルミナ アンテンニンとカナでアタカナ!!

ダニール それはちょっとしたニフ人風の洒落だよ。
 アタカナは現実にある地名だ。かつて地球時代には程よい湖だった。

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